北京五輪の報道に騙されるな。その裏で虎視眈々と進む中国の思惑

 

これは中国を批判する、というよりはメディアの習性を私たちが冷静に受け止め、正しい判断をするための視点である。

中国だけではない。先日、米国のバイデン大統領もシリア北西部での米軍の特殊作戦部隊がイスラム過激派組織「イスラム国」の指導者アブイブラヒム・ハシミ・クラシ容疑者を自爆に追い込んだことを発表した。

「我々は世界中のどこであろうとテロリストたちを追い詰める」との主張はとても抗戦的であり、ロシアへのけん制もあるだろう。トルコ国境に近いイドリブ県で約2時間にわたったという軍事作戦はまさに戦争だ。

AP通信によると作戦で13人が死亡したようだが、米国側の犠牲者はいなかったという。13人の犠牲は憎悪の連鎖となる。

正当な戦いを主張し、13人の犠牲の致し方なさをメディアも私たちも受け入れなければいけない雰囲気は、結局暴力の連鎖を止める難しさを示している。

メディアが拡声器の機能を持った時から、戦争とメディアは一体化してきた。それは第一次世界大戦から始まり、日中戦争、太平洋戦争でもそうだった。

米国が敗北したベトナム戦争は反戦の雰囲気をメディアが演出したが、湾岸戦争は米国から遠く離れた場所で的確なメディア映像を流し勝利を演出し、その成功体験はアフガニスタンやイラクに流用された。

ユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴビナ紛争はメディアが民族浄化への憎悪を訴えかけ、戦争が残虐化した。

最近の日本でもミャンマーでの軍事クーデター以降、「独自の交渉パイプを持つ」日本が外交努力で軍事政権と話し合うことを一部政治家も主張しメディアも推奨してきたが、事態は動かない。今月で軍事クーデター1年が経った今でも私たちは何もできていない。

メディアの多様化は拡声器の作用とともに、サイバー攻撃と連動し攻撃という行為を「聖戦」と仕立てていく。

この悲しい現実の中、私たちは何をすればよいのだろうか。

世の中をやさしい視点で描く引地達也さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

image by: Mirko Kuzmanovic / Shutterstock.com

引地達也この著者の記事一覧

特別支援教育が必要な方への学びの場である「法定外シャローム大学」や就労移行支援事業所を舞台にしながら、社会にケアの概念を広めるメディアの再定義を目指す思いで、世の中をやさしい視点で描きます。誰もが気持よくなれるやさしいジャーナリスムを模索します。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ジャーナリスティックなやさしい未来 』

【著者】 引地達也 【月額】 ¥110/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 水曜日 発行予定

print
いま読まれてます

  • 北京五輪の報道に騙されるな。その裏で虎視眈々と進む中国の思惑
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け