MAG2 NEWS MENU

羽生結弦だけじゃない。中国で大人気を誇った歴代の日本人たち

中国でも数年前から熱心なファンがその姿をひと目見ようと競技会場に殺到し、北京五輪では圧倒的な人気を見せつけた男子フィギュアスケートの羽生結弦選手。今や中国においてアイドル的な存在とも言える羽生選手ですが、これまでも多くの日本の著名人が中国の人々から愛されてきたことは、我が国ではあまり語られません。今回のメルマガ『黄文葦の日中楽話』では、2000年に来日し現在は日本に帰化されている中国出身の作家・黄文葦さんが、そんな日本人たちの名を挙げつつ、彼らの人気ぶりを紹介しています。

日本と中国の間の「楽話(らくわ)」を評論する黄文葦さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

日本と中国の間、ずっと共通のアイドルが存在している

フィギュアスケート日本代表の羽生結弦選手は北京冬季オリンピックで最も人気のあるスターとなり、すべての中国人のアイドルであることは間違いないだろう。中国マスコミが毎日随時、「羽生結弦ニュース」を発している。

「羽生現象」から、日本と中国の間には、ずっと共通のアイドルが存在していることを思い出した。彼らは日中理解と日中友好を築いてきた。

昔、俳優の高倉健さんが中国で大変人気を博した。中国女性のパートナーを求めることに影響を及ぼしていた。「高倉健さんのような性格の男性は理想な男だ」という認識が普遍的になっていた。もう一人の大スターである山口百恵さんの生きざまは、今もなお大きな興味の対象である。

現在、日本であまり芸能活動をしていない栗原小巻さん、中野良子さん、荒木由美子さん、紺野美沙子さんは中国の人々に長く美しい印象を残した。80年代中国で荒木由美子さんが主演のドラマ『燃えろアタック』が放送された。健康、清純な少女の役が中国人を魅了した。現在の中国でも、荒木由美子さんが演ずる「小鹿ジュン」は40代以上の中国人にとっては、青春時代の褪せない記憶である。

2年前、当方は一度、荒木由美子さんの介護内容の講演会を申し込んだ。しかし、思わぬコロナのせいで講演会がキャンセルされてしまった。昔のアイドルに会えなくてとても残念でたまらなかった。

紺野美沙子さんが、80年代日中合作映画、日中国交正常化10周年記念作品の『未完の対局』に出演され、かつて中国の映画雑誌の表紙に飾られたことを当方は未だに克明に覚えている。その時、紺野美沙子さんの佇まいは美しくて優雅で、理想的な女性だと子供頃の当方は思っていた。現在国連開発計画親善大使である紺野美沙子さんがよく開発途上国を訪問しているらしい。

栗原小巻さんは中国で「女神」と見なされている。1979年日本映画代表団のメンバーとして初めて中国を訪れた後も80年代に入ると頻繁に中国を訪れるようになり、中国を訪れた回数は実に36回にのぼったという。2002年には中国中央テレビの『芸術人生』という番組のインタビューで登場した。

21世紀に入って、日本のアイドルたちが自らSNSを通して、中国のファンに向けて発信しているわけである。中国人が身近に日本アイドルの芸能活動と日常を知る。時には双方向コミュニケーションができる。

現在、多くの日本の俳優・タレントが中国版ツイッター「微博」(ウェイボー)のアカウントを持っている。木村拓哉さん、福山雅治さん、浜崎あゆみさんなど大物芸能人も中国で広報を行い、中国語圏の発信力を目指している。「微博」にアカウントを持っている芸能関係の日本人が段々増えて、現在100人近くになっている。

日本と中国の間の「楽話(らくわ)」を評論する黄文葦さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

近年、中国で多大な人気を得ている日本人というと、まずタレント・元セクシー女優の蒼井そらさんを紹介したい。蒼井さんの「微博」で、1,900万人を超えるフォロワーを持っている。日本の芸能人の中、蒼井さんのフォロワーが堂々の一位である。

蒼井さんが中国で人気を得たのはそのセクシーな姿だけではない。中国人の立場から、蒼井そらのすごさを語ってみたい。まず、蒼井さんは中国語力を常に鍛えているようである。時々、当方は彼女の「微博」を読んでいる。蒼井さんは結構独特な表現でかわいい中国語を発信し、懸命に中国語でフォロワーたちとコミュニケーションを取っている。誠心誠意に等身大の自分を相手に見せる努力が垣間見えた。その謙遜さがファンの心を掴んだらしい。

また、フォロワーからどんなに揶揄されても、蒼井さんは怒らず、根気よく理解を求め続ける。異文化の人たちと向き合い、中国人と仲良くなろうという姿勢に大事な自信と勇気が見えた。

因みに、羽生結弦選手が多くの中国の人々に賞賛されるには、一番のポイントは中国や中国人に対してきちんとリスペクトと礼儀をもって対応しているということだ。

他の二人のアイドルは、中国社会に溶け込み、流暢な中国語を話し、あたかも中国人の一員になることを特徴としている。一人は福原愛さん、福原さんは中国人には違和感が全然ない中国語を喋れる。この2年間、福原さんのネガティブなニュースが出されても、中国のファンは彼女を家族のように接して、これまで通り彼女を応援している。

もう一人は当方がかつて取材した中国の芸能界で20年間以上にわたって活躍する俳優の矢野浩二さん。矢野さんは映画やテレビドラマのほか、バラエティー番組の司会で活躍し、中国で「最も有名な日本人」として知られている。矢野さんは2000年から中国に渡って活動を開始し、2016年からは日本に拠点を再び移し、日中両国で活動している。同年、日中の懸け橋として、相互理解に貢献したことが認められた矢野さんが日本の外務大臣表彰を受賞された。

矢野さんが語ったことが忘れられない。「中国人にとって、私はお客ではなく、むしろ『内の人』です。これから、2人目の矢野浩二が出てほしい。特に若い役者に期待しています」。

これからは、日中間で活躍するアイドルがアーティストだけでなく、他の業界の人たちにもなってほしい。いろんな職業の方々が日中の間に活躍してほしい。

一方、日本で人気ある中国人アイドルが少ない。当方は日本で活躍している中国人アーティストを紹介したいと思っている。日本と中国の間、共通のアイドルの役割は政治家より何倍も重要だろう。

 

日本と中国の間の「楽話(らくわ)」を評論する黄文葦さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

image by: Iurii Osadchi / Shutterstock.com

黄文葦この著者の記事一覧

在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 黄文葦の日中楽話 』

【著者】 黄文葦 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 第1月曜日・第3月曜日(年末年始を除く) 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け