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ドラゴン桜の指南役が教える、年度末を迎えた我が子との接し方

コロナ禍に翻弄されつつも、今年も巡り来た3月。学年の締めくくりを迎えた子供たちは少なからず心に揺れ動きを感じているものですが、このような時期に親として彼らとどのように接するべきなのでしょうか。今回の無料メルマガ『親力で決まる子供の将来』では漫画『ドラゴン桜』の指南役として知られ、23年間の公立小学校勤務の経験を持つ親野智可等さんが、子供の来年度への意欲が高まる接し方を伝授。加えて事故が起こりやすい春休みの理想的な過ごし方をレクチャーしています。

学年末と春休みの過ごし方

3月は子どもたちにとって締めくくりの月だ。なかには卒業を迎える子たちもいるだろう。この時期の親の役割は、子どもたちの1年間のがんばりや成長を振り返って、4月からの新学年へのやる気を育てることである。

終業式が近づくと、子どもたちは学校からいろいろなものを毎日、持ち帰る。授業で作ったものや記録、図工の道具など、多いときは1週間ほどかけて持ち帰るほどだ。

持ち帰った作品や記録などの扱い方一つで子どものやる気を引き出すことができる。

なかには、「ものが増えるから」とすぐゴミに出してしまう家もあるようだが、これでは子どもを伸ばすことができない。

これらを使って子どもを褒め、自らの成長を自覚させ、自信をつけさせることが大切だ。

例えば、読書カードには1年間に読んだ本がずらりと書いてあるので、その本を話題にしながら、「ずいぶんたくさん読んだね」「どの本が面白かったかな」などと会話をする。

あるいは、お父さんやお母さんが子どものころに読んだ本や、いま読んでいる本を話題にするのもいい。

図工で描いた絵があれば、その絵のいいところを「色がきれいだね」「動きがあるね」など具体的に褒める。子どもの絵にはいろいろなお話が込められていることが多いので、それを引き出してやり、子どもが絵についていろいろなことを話したくなるようにする。

決して、「なんでもっとうまく描けないの?」「お前はヘタだね」などと冗談でも言ってはいけない。その子は一生懸命描いたのだから、けなされるとがっかりして自信をなくしてしまう。

作文や日記は中身を読んで褒める

子どもの絵は心の成長を示す足跡のようなものだ。一生で、そのときしか描けない。それを大切に取っておくことがいい思い出にもなるし、親が自分の作品を大切にしてくれるということ自体が子どもにはうれしいことだ。

褒めるところがないなどと思わずに、何でもいいから探して褒めてやろう。作文や日記もしっかりと読んで中身を褒めることだ。

子どもの作文や日記に対して「習った漢字をちゃんと使いなさい」「字が雑だ。もっとていねいに書きなさい」という親が多い。字がていねいに越したことはないが、大切なのは中身だ。

中身をしっかり読み、共感し、書き方を褒めることが大切である。特に褒めるポイントは以下の3点だ

なかにはこの3ポイントとも我が子の作文は弱いなと思うかもしれないが、それでもけなしてはいけない。ちょっとでもいいところを見つけて褒め続けていれば、必ず期待に応えてくれる。

褒めるのと同時に大切なのは、子どもの書いたことに共感したり、自分の体験を話してやったりすることだ。例えば、「こういう気持ちよく分かるよ。本当にそうだね」と共感したり、「お父さんもほんの少しの差で負けて悔しかったことがあるよ。5年生の時の運動会で…云々」などと話してやるのである。

子どもは親に共感してもらうと、とてもうれしくなる。また、親の子どものころの話を聞くとすごく喜ぶ。このような親の共感と体験談は、親子の距離をグンと近づけてくれる。

ノートやドリル類も振り返って、がんばったところを探して褒める。ノートの中でたくさん書いているところ、ていねいに書いているところ、丸がいっぱいついているところ、先生の赤ペンが入っているところなどがポイントだ。
そこを話題にして褒める。

健康診断の記録を使って成長を自覚させることもできる。1年前の身長と体重を最近の記録と比べると、どのくらい大きくなったかが分かる。

1年生の入学時と比べてもいいだろう。何センチ伸び、何キロ増えたかを数字で示すと、子どもはけっこう喜ぶので、ぜひ試してほしい。

学校でもらった賞状、皆出席賞なども大切にして、しばらく壁などに飾ってやるといいだろう。

できれば、がんばったことが思い出になるように、記念写真を撮っておくとさらにいい。

例えば、がんばった絵や工作、習字、作文、あるいはノートや賞状でもいいが、それらを手に持って記念撮影し、その写真を壁などに張っておくと、来年度への意欲につながる。

春休みは事故が起こりやすいので注意

春休みは子どもたちにとって一種独特で、一番開放感がある休みである。なぜなら、学年が終わったり、学校を卒業したりすることで、自分の居場所や所属感が少しあいまいになり、糸の切れたたこのようになるからだ。

卒業した子たちは小学生なのか中学生なのかはっきりせず、4年生だった子もまだ4年生なのか、5年生なのかよく分からない。

担任の先生も元担任というイメージになり、担任の見えない手綱がだんだん細くなっていく。「ゲーセン(ゲームセンター)には行かない」「自転車に乗るときにはヘルメットをかぶる」といった担任との約束の拘束力が日増しに弱まっていく。

実際、この時期にはヘルメットをかぶらなくなったり、ゲーセンで補導員に声をかけられる子が増えたり、万引き事件なども多くなる。

この時期の子ども会の行事なども、子どもたちが一種の無法状態に近くなっていて苦労したという世話人さんの話を聞いたこともある。

このように春休みは子どもたちの気持ちが緩みやすくなる。事故も起こりやすくなるので、親は十分に気をつける必要がある。

そのためにも、1年間の歩みと成長を自覚させた上で、新しい学年の目標や夢を考えさせることが子どものけじめになり、間違いも少なくなる。

まずは親子で新しい学年の夢や目標を話し合ってほしい。勉強、生活、運動、お手伝いや仕事、習い事などなど、いろいろな面から話し合おう。

ただし、いきなり夢や目標を言ってごらんという切り出し方ではいけない。それでは、子どもは構えてしまうし、何かお説教されたような気持ちになる。

楽しくおしゃべりするなかで、自然に夢や目標が形になっていくのがいい。

初出「親力養成講座」日経BP 2008年3月21日

image by: Shutterstock.com

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5年連続でメルマガ大賞の「教育・研究」部門賞を受賞!家庭教育メルマガの最高峰。教師生活23年の現場経験を生かし、効果抜群の勉強法、子育て、しつけ、家庭教育について具体的に提案。効果のある楽勉グッズもたくさん紹介。「『親力』で決まる!」(宝島社)シリーズは30万部のベストセラー。

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【著者】 親野智可等 【発行周期】 不定期

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