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「ゆっくり茶番劇」商標登録は炎上商法?ネット民激怒で爆破予告、使用料0円の方針転換も批判噴出は“狙い通り”の展開か

ネット上で誰もが使用できるはずの動画スタイル「ゆっくり茶番劇」が突然、第三者によって商標登録され話題となっている。今後、「ゆっくり茶番劇」を使用する場合、年間10万円を登録者に使用料を払わなければならないという。クリエイターの善意を悪用した卑劣な行為にネットでは批難の声がうずまき、当事者以外にも犯行予告が届くなど、騒動はネットを飛びこえて広がっている。

そもそも「ゆっくり茶番劇」とは?なぜ商品登録?

「ゆっくり霊夢(れいむ)だよ」「ゆっくり魔理沙(まりさ)だぜ」

お饅頭のような丸顔の二人のキャラに、テキスト読み上げソフトの棒読み口調。YouTube動画やニコニコ動画で霊夢と魔理沙キャラクターを見かけた人は少なくないだろう。

霊夢と魔理沙のゆっくり動画が量産されたのは、著作権フリーで、無料で使えたからだ。

元々、日本の同人サークル上海アリス幻樂団が製作した著作物「東方Project」のキャラクターで、原作者ZUN(ずん)氏の好意によって、偏った政治思想などでなければ、自由に使うことができる。

そこから「ゆっくり茶番劇」「ゆっくり実況」「ゆっくり解説」など多くの動画が作られていった。

しかし、5月15日にネット界隈に激震が走った。

他の配信者と同じように「ゆっくり茶番劇」を配信しているYouTuber柚葉氏が「柚葉企画」名義で「ゆっくり茶番劇」の商標登録したことをネット上で発表。

今後、「ゆっくり茶番劇」を使用する際には、柚葉企画とライセンス契約をし、年間使用料10万円を支払わなければならいといけないという。

霊夢と魔理沙のキャラクターを使ったということではなく、今後「ゆっくり茶番劇」というタイトルをつけた動画は全てライセンス契約が必要だとした。

「ゆっくり茶番劇」の登録広報発行日は3月4日で、異議申し立て期間の2ヵ月を過ぎてから発表しており、計画的な商標登録だったことが窺える。

一度、登録されてしまった商標登録は無効審判を行うことで無効にできるが、そのためには原作者ZUN氏やゆっくり動画制作者の協力と、“長い年月”が必要となる。

暴挙を知ったネット民は悪質な商標登録だと批難し、やがて「#ゆっくりを返せ」運動に発展した。

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しかし、柚葉氏はむしろ炎上を楽しんでいるようで、Yahoo!ニュースのコメントランキング「IT・科学」ジャンルで1位を達成、人気YouTuberのチャンネルに取り上げられると、自身のTwitterに貼り付けていた。

爆破予告&殺害予告に発展して「使用料0円」方針転換

法律を盾にとった柚葉氏の完全勝利かと思われたが、事態はこれで収まらなかった。

爆破予告や殺害予告のメールが柚葉氏だけでなく、商標登録出願を代行した特許事務所や柚葉氏の住む周辺の駅にも届いた。

特許事務所は公式サイトで爆破予告があり、警察に通報したことと、「ゆっくり茶番劇」が公共に使われていたものと知らず商標登録出願したことを謝罪し、権利行使については一切関与していないことを明かした。

さらに、原作者ZUN氏がTwitterで「法律に詳しい方に確認しますね」とツイートすると、これを重く受けた柚葉氏の所属するライバーコミュニティ「Coyu.Live」は、柚葉氏に対して所属規約および所属契約の違反があり、警告処分にしたと発表。

改善の見込みが見られない場合は、契約を解除するとしている。

事務所の警告を受けたせいか、柚葉氏は一転して、「ゆっくり茶番劇」の使用料を無料にすると発表した。どうやら「ゆっくり茶番劇」の名前はそのまま使っても使用料は無料で済みそうだ。

だが、権利に関しては「当社のもの」と語っている。

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今回の件でネット上で使われている用語が第3者に商標登録される危険が露呈されてしまった。

たとえば「切り抜き動画」「歌ってみた」などのYouTube上でしか使わない言葉も狙われる危険がある。

今回の件の反省から著作者も法律で武装し、特許庁や特許事務所も商標登録の際には慎重になるだろうが、ネット上のフリーの素材や流行の言葉も使うときには、もっと慎重になるべきかもしれない。

Twitterの反応

※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

image by : shutterstock

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