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“どす黒い心”に自己嫌悪のあなたへ心理師が助言する「チビチビ作戦」とは?

周囲とうまくやっていくために、本音を押し殺して従順さを装っていると、それをいいことにムチャぶりされたり、嫌な仕事を押し付けられたり…仕事場ではよくある話です。「みんなに罰が当たれ」と、心の中で呪詛している自分のことも嫌いになっては苦しくなるばかり。メルマガ『公認心理師永藤かおるの「勇気の処方箋」―それってアドラー的にどうなのよ―』著者で公認心理師の永藤かおるさんが、最近流行りのアナログレコードのA面B面に譬えて、ときにはB面も出していく作戦を伝授しています。

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「みんなに罰が当たればいいのに」と思ってしまうあなたへ

Question

30代会社員N子です。周囲の人からは、いつもニコニコしていて、明るくて、いい人だと言ってもらうことが多いです。自分でも意識して、にこやかに朗らかにふるまっています。

でも、本当の私は、そうではありません。両親も、妹も、会社の上司も、同僚も大嫌いです。父は子どもに無関心な人で、母は過干渉だし、自分の価値観だけが正解だと思い込んで、それを私に押しつけてきました。妹はものすごく要領がよくずるがしこく、損するのはいつも私ばかり。

上司は、私がニコニコしているのをいいことに、何でも言っていいかのように仕事をムチャ振りしてきますし、同僚たちも面倒な仕事は私に来るように仕掛けている気がします。

腹の中は煮えくり返っていますが、それを表に出さないのでみんな私のことを舐めているんだと思います。本当に腹が立つし、大嫌いなみんなに罰が当たればいいのにと思っています。でも、こんなどす黒いことを考えている自分も嫌です。私はどうしたらいいのでしょうか?

【永藤より愛をこめて】

うーーん。「どうしたらいいのでしょうか?」というN子さんは、心の奥底ではどうしたいんでしょうか。

ほぼ死語になっていますが、昔のレコード盤にはA面とB面がありました。N子さんのA面は「朗らかでいい人」。でもB面は「怒気や苛立ちを抱え、他人に罰が当たればいいと思っているどす黒い人」。どっちもN子さんですが、今、意図的にA面の曲しか聞かせていないんですよね、周囲には。

「こんなどす黒いことを考えている自分も嫌です」とおっしゃっていますが、それって本当はこういう自分なのに、それを覆い隠している、そのうしろめたさに罪悪感みたいなものを感じているのかな、と個人的には思います。

そうだとしたら、A面の曲を5回掛けたら、B面も1回くらい周りに聞かせてもいいんじゃないですかね。いきなりサビの部分を大音量で、ではなくて、イントロ部分をカフェのBGMくらいのボリュームでうっすら流してみるとか、A面の曲を流している後ろでうっすら小さくフルコーラスかけてみるとか。

具体的には、ムチャ振りする上司に対して、いつもの柔らかい口調、でも目は笑わずに「これだけ仕事抱えているから物理的にムリですね~」ときっぱり断るとか、価値観を押しつける母親に対しても同じ表情で「もう30過ぎだし自分で決めるね~」とか。

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何が言いたいかというと、押し殺して苦しくなっている気持ちを、正当に解放すること。そして、周囲に抱いている
「私を舐めんなよ」
の感情を、暴発させることなくとにかく小出しにしていくのです。難しい?

いやいや、それだけのどす黒さを抱えて、今までチラリとも見せずに演じ切ってきた名女優のあなたです。少し演技の路線変更をするだけです。おっとりニコニコだけのアイドルから、「この人、こんな深みのある、裏表使い分ける役ができる女優になったんだ」に変わるだけです。

自分の抱えている重たいどす黒いものの袋の底に穴をあけて、普通に歩きながらチビチビ出していくのです。この「チビチビ」が肝心です。一気に「ドバッ」と出すのはあまりいい手ではありません。

多分周りはあなたが出した少量の毒気とか黒さ……個人的には、私はそれが毒とも黒さとも思いませんが、あなたの周囲の人はおそらくそう見えるでしょう……に最初に気づいたとき、「えっ?」と思うでしょう。

「気のせい?」と思うかもしれません。でも、それをじわじわと浸透させていくうちに、「あ、なんかN子さん怒らせたらヤバいかも」となっていきます。というより、なっていくように仕込んでいくのです。

まずは3か月、チビチビ作戦やってみませんか?3か月後、ご自身の気持ちが少しでも楽になっていれば、それは周りの人もあなたを見る目が変わってきているということになるのではないかと思います。

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image by: Shutterstock.com

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有限会社ヒューマン・ギルド 取締役研修部長 公認心理師(登録番号: 29160号) 。日本アドラー・カウンセラー協会認定シニア・アドラー・カウンセラー。日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメント・ファシリテーター 平成元年 三菱電機株式会社 入社。その後、ビジネス誌編集、語学専門学校専任教師など、20年以上にわたるビジネス経験を経て、自身が働く中で壁に当たった際に出会ったアドラー心理学を修得。 現在、日本におけるアドラー心理学の一大拠点であるヒューマン・ギルドにて、アドラー心理学研修講師(企業・自治体、教育機関、個人等)、カウンセリング、書籍執筆などを担当。

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【著者】 永藤かおる 【月額】 ¥440/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 第2金曜日・第4金曜日

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