政治の世界では未だに『世襲』という時代遅れともいえるものが蔓延し、それぞれの子孫たちで牛耳られています。そんな人間が国のトップを牛耳っている以上、日本は何も変わらないと言わざるを得ません。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』で評論家の佐高信さんは、世襲が日本を滅ぼすとして徹底的に批判。何も国の実情がわからないまま育ち、上に立つようになってしまった人たちの内情を晒しています。
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「世襲」がこの国を亡ぼす
世襲という民主主義に反するものが女性議員の進出をも妨げている。
上杉隆氏の『世襲議員のからくり』(文春新書)に、安倍晋三の若き日の姿が次のようにとらえられている。秘書官だった晋三についての別の秘書の匿名での証言である。
「父親の死期が近づき、無念の臨終を迎えるという時期に、隣の部屋でゲームに興じていた。もちろん時間つぶしというのもわかるが、なにかしらやることはあるんだろうと思った。彼が後継者なのかと思うと、どこかしら頼りなさを感じた」
晋三はエスカレーター式の成蹊学園の高校生の時、創価学会の池田大作の次男と同級生だった。この次男は早くに亡くなったが、祖父の岸信介以来の学会との結びつきは、これによってさらに強められた。
社民党の福島みずほが格差是正について質問し、非正規雇用をなくすよう迫った時、世襲議員から、こんな野次が飛んだという。
「がんばって働いてマンションぐらい買え」
「がんばって正社員になれ」
がんばっても非正規の人が正社員になることが絶望的に難しいといったことがまったくわかっていないのである。
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麻生太郎が首相になった時、ハローワークへ視察に行った。高級車で乗りつけた麻生は特設された「緊急相談口」に陣取り、肘をつきながら、相談者にほざいた。
「今まで何してたんだ。これがやりたい、というのがないと相談される方もな・・・。何かありませんかね、と言うんじゃなかなか仕事は見つからないよ。目的意識がないと雇う方もその気にならない。何をやりたいかを決めないと就職は難しい」
選挙民に向かって“下々のみなさん”と呼びかけたという麻生に“下々の生活実態”は金輪際わからないだろう。
安倍や麻生は政治家は公職であり、私有すべきものではないということは絶対にわからない。彼らには公け、パブリックという観念がないからだ。ないから、世襲できる。
上杉氏はテレビ局に子女を入れている政治家は年々増加していると指摘し、鈴木宗男(NHK)、小渕恵三(TBS)、加藤紘一(TBS)らの例を挙げている。
この中で、鈴木と小渕の娘は自民党議員となった。「本来は入社に際して倍率が高いはずのテレビ局が大量に政治銘柄社員を抱えている」のである。
たとえばイギリスでは、チャーチルの子孫さえ特別視されることなく、「むしろ、二世政治家は胡散臭いものとして、ジャーナリズムからの厳しい批評の対象にさえなっている」とか。
後援会は利権団体となっているから、世襲を望み、組織そのものも相続される。つまりは利権の世襲なのだ。
会社も息子に社長を継がせる例が多いが、それをやらなかった本田宗一郎は「相続って何だ」と問い、「そんなバカな。そりゃおかしいよ」と声を高くしている。
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image by: 安倍晋三 - Home | Facebook