自民党政権を批判する国民を監視。侮辱罪の厳罰化で“言えなくなること”

 

また、三原じゅん子参議院議員は、別の人からのリプライに対して、次のようにツイートしました。


三原じゅん子 @miharajunco
政治家として #批判(物事に検討を加え、判定・評価する事)は甘んじて受け止めますが、#誹謗中傷(他人への悪口、罵声等により名誉を毀損する事)は違います。
付け加えるなら法的場面では誹謗中傷そのものではなくその結果としての名誉毀損、侮辱、信用毀損、業務妨害が罪に問われることになります。
午後3:01 2020年5月25日

これらの発言から、今回の「侮辱罪の厳罰化」を推進した自民党は「政治家に対する侮辱発言も一般人と同様に法的に対処すべき」と考えていることがはっきりと分かります。そして、これには、現在の特命大臣も兼任する自民党の二之湯智・国家公安委員長も「NO」とは明言しませんでした。

今年4月27日の衆議院で、この「侮辱罪の厳罰化」を前提として「閣僚や国会議員を侮辱した者が逮捕される可能性はあるのか?」と野党から質問された二之湯国家公安委員長は、初めは「ありません」と否定していました。しかし、さらに法的根拠を示すように問い詰められると、「ありません」が「あってはならないこと」へと変わり、最後には「侮辱罪を犯した者は逮捕される可能性が多少は残っている」と答弁したのです。

それでは、実際にどのような場面で、どのような発言が「政治家への侮辱」に該当するのでしょうか?同日の衆議院で、無所属の米山隆一衆院議員が次のような質疑をしています。

「たとえば、私が『総理は嘘つきで顔を見るのも嫌だ。早く辞めたらいいのに』と言った場合、この発言は侮辱罪に該当しますか?また、これを私の妻(室井佑月氏)がコラムで書いた場合には該当しますか?また、新潟県で精肉店を営んでいる私の母が、お客さんにこの言葉を言った場合には侮辱罪に該当しますか?それぞれ法的根拠を示してお答えください」

この質疑に対して、法務省の川原隆司刑事局長は、次のように答弁しました。

「具体的な事例を示して犯罪の成否をお尋ねになりましたが、犯罪の成否は収集された証拠に基づき個別に判断される事柄ですので、この場で法務省としてお答えをすることは差し控えます」

おいおいおいおいおーーーーい!「一般人が『総理は嘘つき』と言っても侮辱罪には該当しないし逮捕もされない」と答弁するのが普通なのに、こともあろうに「犯罪の成否は個別に判断」などと抜かして「逮捕の可能性」を匂わせるなんて、どこまで権力に忖度すれば気が済むのでしょうか?そんなに内閣人事局が恐いのでしょうか?

時の首相や大臣に対して、あたしたち国民が「嘘つき」「早く辞めろ」と言うのは日常茶飯事であり、他にも「バカ」「無能」「ポンコツ」など、一般的には侮辱罪に該当する言葉が全国で発せられ続けています。SNS上にも、こうした発言は数えきれないほどありますし、あたしだけでも大嫌いな安倍晋三元首相に関しては、少なくとも数百回は「嘘つき」とツイートしています。

しかし、為政者は公人なのですから、こうした言葉も「批判」として受け止め、自らの行ないを顧みる義務があります。それに、安倍元首相の場合は、首相在任中に分かっているだけでも1年間に118回も国会で大嘘の答弁をしたのですよ?そのような人物に「嘘つき」と言うことが、どうして侮辱だと言うのでしょうか?

「嘘つき」と言われたくなければ、嘘をつかなきゃいいだけの話。「税金泥棒」と言われたくなければ、税金を私的流用しなければいいだけの話。こんなこと幼稚園児でも分かるのに、自民党の国会議員は幼稚園児よりも知能が低いのでしょうか?

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