7月10日に投開票が行われる参院選の台風の目になりうると言われるのが、2020年に結党したばかりの参政党。ネット上を中心に盛り上がりを見せ、新宿での街頭演説には1,000人を超える聴衆を集めるなど、彼らの勢いは既成政党が無視できないものとなっています。そんな参政党に注目するのは、ジャーナリストの上杉さん。上杉さんは自身のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』で今回、同党の出現は今後の選挙のあり方を占う一つの材料としてその理由を解説。さらに3年後の参院選の展望についても自身の見解を記しています。
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参政党現象
参政党がアツい、らしい。
主にネット上での現象だが、「#参政党現象」が参院選の告示日にツイッターのトレンド入りを果たし、その影響は座視できないものになってきている。
ネットの影響力が相対的に増す中で、果たして参政党は、7月10日の投開票で結果を残せるのか。個人的には参院選の楽しみのひとつである。
というのも、参政党の出現は、今後の日本の選挙のあり方を占う、ひとつの材料になるといえるからだ。
少数政党の幹部らは「マスコミは我々を公平に扱わない」というが、自浄作用を失っているメディアに対して何を望んでも無駄だ。約20年間のマスコミ改革の挑戦の中で、それは短い人生において無意味なことだと忠告したい。
マスコミに注文を付けて貴重な時間を浪費するよりも、政党の目指すべきところは、結果を残すことに尽きるだろう。ここで1議席でも獲得できれば、当のマスコミの対応も変わるにちがいない。「れいわ新選組」や「NHK党」などへの扱いをみれば一目瞭然だ。
政党の歴史を紐解けば、新時代に出現した小政党の存在が、その後の政治の風景を変えることがある。今世紀に限定してみれば、まずは、ローカルパーティの出現を記さなければならないだろう。
まずは新党大地があった。2005年、北海道の地域政党として鈴木宗男氏が設立した新党大地は、その後、国政での議席獲得に至る。2010年には、橋下徹氏の大阪維新の会、河村たかし氏の減税日本など各地に地域政党が誕生し、国政に議員を送り込むようになった。
2019年には、山本太郎氏のれいわ新選組が登場、立花孝志氏のNHKから国民を守る党(2013年設立)も同年の参院選で国会に初めて議席を獲得した。この両党の出現、とくに、NHK党の立花孝志氏の戦略である「参院選の全国比例で得票し、その票の集積で国会に議席を獲得する」という負けて勝つ戦略は選挙戦略の革命といえる手法であった(実は、この選挙手法は佐野秀光氏の支持政党なし(安楽死党)が考案し、最初に国政選挙で実践したものである)。
今回の参政党の戦略も、この戦略を踏襲するものであり、仮に、一議席でも獲得すれば、日本の選挙の風景を変える「追試」となるだろう。参政党の戦略が功を奏した場合は、次の3年後の選挙では、少数政党の乱立の起こる可能性がある。保守系だけではなく、リベラル系の少数政党が出現したときに、初めて日本の選挙の転換点となるにちがいない。
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