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父から子への事業継承。連帯保証をせずに借り入れを引き継ぐ方法は?

前回の記事で経営者保証について紹介した無料メルマガ『税金を払う人・もらう人』。今回は著者の現役税理士・今村仁さんが、事業継承の際に必要とされていた「旧経営者の経営者保証を外す術」を伝授しています。

事業承継時に連帯保証を外す術

■原則二重徴求は禁止

以前は、お父様である旧経営者から息子や娘の新経営者に事業を承継するに当たって、会社の借り入れがあれば、お父様及びその子供が連名で連帯保証に判を押すことがよくありました。

しかし、「事業承継に焦点を当てた経営者保証ガイドラインの特則」が策定されて以降、【原則として前経営者・新経営者の双方からの二重徴求は禁止】とされました。

■例外の事例

例外的に二重徴求が許容される事例としては、以下の通りとされています。

1.前経営者が死亡し、相続確定までの間、亡くなった前経営者の保証を解除せずに後継者から保証を求める場合など、事務手続完了後に前経営者等の保証解除が予定されている中で、一時的に二重徴求となる場合

2.前経営者が引退等により経営権・支配権を有しなくなり、後継者に経営者保証を求めることが止むを得ないと判断された場合において、法人から前経営者に対する多額の貸付金等の債権が残存しており、当該債権が返済されない場合に法人の債務返済能力を著しく毀損するなど、前経営者に対する保証を解除することが著しく公平性を欠くことを理由として、後継者が前経営者の保証を解除しないことを求めている場合

3.金融支援(主たる債務者にとって有利な条件変更を伴うもの)を実施している先、又は元金等の返済が事実上延滞している先であって、前経営者から後継者への多額の資産等の移転が行われている、又は法人から前経営者と後継者の双方に対し多額の貸付金等の債権が残存しているなどの特段の理由により、当初見込んでいた経営者保証の効果が大きく損なわれるために、前経営者と後継者の双方から保証を求めなければ、金融支援を継続することが困難となる場合 など

■旧経営者及び新経営者の保証解除

以下のような状況であれば、事業承継時に旧経営者の保証が解除され易くなります。

・旧経営者が、形式的にも実質的にも経営から退く場合

・旧経営者が、法人から社会通念上適切な範囲を超える借入等を行っている場合には、これが返済される場合

・法人の返済能力や担保が乏しく、金融機関が旧経営者の資産を、信用補完上保全価値があるものと認識していた場合には、後継者等から同等程度の保全が提供される場合

一方、新経営者である後継者において、連帯保証をせずに借り入れを引き継ぐには、経営者保証ガイドラインにある3つの要件(法人個人の一体性の解消、財務基盤の強化、財務状況の適時適切な情報開示)を満たしていくことが大切です。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 マネーコンシェルジュ税理士法人 【発行周期】 週刊

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