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“売らない”企業「レンティオ」が競合他社よりも強くいられるワケ

今の時代は「買う」よりも「借りる」ことがお得だと考える人も多いかもしれません。一時的にしか使わないものなどはレンタルのほうが楽だったりしますよね。今回のメルマガ『週刊145マガジン「腹割って話そうぜ!」まぐまぐ!出張版』では、Webメディア『ECのミカタ』元編集長で株式会社「team145」代表取締役石郷学さんが、レンタルに特化し成功を収めている「レンティオ」の戦術について語っています。

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レンタルの「レンティオ」がメーカーにもたらした“売らない”革命

・稟議が通らぬアイデアこそ革命の匂い

今までで家電を使うとすれば、誰しもが「購入する」事でそれを満たしていました。でも、レンティオという会社は「買わない」顧客に焦点を当てたのです。たかが「レンタル」でもされど「レンタル」。

例えばまずは3泊や1ヶ月など期間でレンタルします。そのままその商品はレンタルし続けていくこともでき、気に入れば買い取っても良い。でね、メーカーにもできないのは、コストがかかりすぎるんです。「普通の企業では稟議は通らないでしょうね」。そう言って、代表取締役の三輪謙二朗さんは笑います。

彼曰く、やはり一番コストがかかるのは送料。単純に通常のECより2.5倍程度はかかります。ECのように片道ではなく、往復ですから。

また、行きは「まとめて出荷」できても返ってくる時は「バラバラ」。スケールメリットを活かすことができません。ちなみに下記の写真は返却された商品で、概ね彼らが送った箱で送り返す事で共通化しています。

今でこそ「ルンバ」も何万台と出荷していますが、入荷時の120サイズの箱を取り外して出荷時に自分達の100サイズの箱に入れ直します。なぜなら、それだけで送料が600円程度安くなるからなんです。

・管理やメンテのコストも並でない

月に3から4万件出荷して一方で3から4万件返ってきて、倉庫の管理のコストを絶妙にコントロールしているのが注目。また1日単位で1000件程度はメンテナンスをしていますから、その対応もしないといけません。

つまりメンテナンスの質を上げつつ、それに対してのコストをいかに抑えるかを考慮していくわけです。三輪さんはとてもオープンで、返品を受け入れて、棚に収め、それをスタッフが一つ一つ、メンテナンスをしているその姿も見せてくれました。

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上の写真がまさにメンテナンスを終えたカメラなどの棚です。メンテナンスを終えた商品は、新たな出荷に備えて、また別の棚に並べられていたが、新品のようでした。

・斬新な着想も地味な裏方で成り立つ

何より倉庫における商品の回転率がこの会社の肝になっています。意外と蔑ろにされますが、倉庫代は置いておけば置くほど、お金がかかりますからね。

EC同様にいかに回転させるか。倉庫の中身が常に変わっている事は重要な要素です。

すると、この回転率をベースに仕掛けを考えることになって、彼らはどの商品が常に動いているかに目を向けます。長くその倉庫に滞在している商材は敢えてキャンペーンを打って、早く出せるような環境づくりを意識していくわけです。

下記のようなマップを作成して、回転率と所有年数をチェックすることでいかに安定的に商品が動いているかを見るわけですが、結果的にそれはメーカーの信用に繋がります。新しい入荷を好条件で得る結果になるわけです。

・買わない顧客にアプローチした先見性

改めてここまで拡大してくると、もはや会社が果たす役割が変わってきて、それが冒頭話した事です。単なるレンタルではなく、メーカーすらできない「使う前需要」を触発できる強みを手に入れることになります。

結局、多くの人は給料に限りがありますから、なんでも買えるわけではありません。つまり「使ってみたいけど、買うには躊躇する」という消費者が一定数、存在します。

だからレンティオは「レンタル」という手段で「試しに使ってみたい」というニーズを発掘することとなります。これはメーカーすらできない「商品の活用の仕方」を引き当てることになるわけです。

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言うなれば、それはメーカーのマーケティング要素へと変わって、新たなビジネスを構築したのです。

・メーカーにもできない新しいマーケットを発掘した

そんな風に拡大を果たしてきた彼らの成長を見て、競合も生まれてきました。でも、彼らにはやっぱり地道に培ってきたメンテナンスの質があって、それらは徹底的にマニュアル化されているから、新品同様になります。

アパレルなどであれば洗濯するだけで新品に近い状態にできるけど「カメラ」や「家電」ではそうはいきません。だから、新品に近い状態にできるという知見は特に家電などにおいてはメーカーすら知らない事なので、競合どころかメーカーすら同じことができません。日々、彼らがそのメンテナンスを専門に繰り返していくことで、得てきたから、それ自体が彼らの最大の付加価値となったわけですね。

これこそベンチャーの面白さで、最初、二人で、しかもわざわざ通販サイトから商品を買って「レンタル」を始めたといいます。そんなこの事業は今やメーカーからも一目置かれ、消費者に全く新しい気づきをもたらして、革命を起こしたのです。

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