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褒められるとつい謙遜。素直に喜ぶにはどんな心持ちが必要なのか

人間関係をぎくしゃくさせてしまう「余計な一言」にもいろいろありますが、日本人にありがちなのが“謙遜しすぎ”による一言。自分や家族、自分の持ち物を褒められたときに、卑下するような言葉を返してはいないでしょうか。メルマガ『公認心理師永藤かおるの「勇気の処方箋」―それってアドラー的にどうなのよ―』著者で公認心理師の永藤かおるさんは、「私なんか」「うちの家族なんか」といった考えが、自分や家族を雑に扱う言葉に表れると分析。褒められたことを素直に喜び感謝するには、ある心の持ちようが必要になるとアドバイスしています。

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ちょっと御相談がありまして:余計な一言をつい言ってしまう

皆様からお寄せいただいたご相談や質問にお答えしたり、一緒に考えたりしていきます。

Question

40代女性、Y子です。夫と娘がいます。私の悩みは、いつも余計な一言をつい言ってしまうことです。

例えば、周りの人からなにかをほめていただいたときなどです。先日も、たまたまつけていたネックレスを「とても素敵ですね」と言っていただいたのですが、「やだ、これ300円ショップのなんですよ。〇〇さんみたいに高いもの買えないから」と言ってしまいました。

また、「娘さん△△高校合格したんですか。すごいですね」と言われた時も、「勉強できても全然気が利かなくって困ってるんですよ」と答えてしまい、言ってくださった方も困惑させるし一緒にいた娘も怒らせたりしてしまいました。

「どうしてそんなに余計な一言が多いの?」という言葉を、昔から親にも周りにも言われます。自分でも言ってから「しまった!」と思うこともよくあります。どうしたら私は「余計な一言」を言わないようにできるのでしょうか。

【永藤より愛をこめて】

おお、なかなかに「やっちゃった感」がありますね。

まあ日本で生まれ育って日本文化にどっぷり染まっている私たちは、持ち上げられたときの、ある程度の謙遜というのは身についた技術ではあるのですが、Y子さんの場合は相手が想定しているラインをウルトラ超越した卑下というか自虐というか。しかも、ネックレスの時の「〇〇さんみたいに高いもの買えないから」はかなり高レベルの「いらん一言」ですなぁ。

もしかして、ですが、Y子さん、自己肯定感低めではないでしょうか。「私『なんか』がほめられるなんてとんでもない。ほめてくるこの人にはきっと裏があるに違いない」と思い込んではいませんか?「ほめられて有頂天になったら裏で何言われるかわかったもんじゃない。とにかく自分を下げておけば安心だ」とも。

さらに言えば、自分のごく身近なもの、人たちも同一視してしまっていて、今回の娘さんのみならず、例えばパートナーのこととかも、「うちのダンナ『なんて』もう全然ダメで」と普通に言ってたりしませんか?

これ、「余計な一言」を言う言わないの問題ではない気がします。Y子さんに必要なのは、自分と、自分の身近なものを大切だと思うこと。自分と、自分の身近なものを大切に取り扱うこと。

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「私なんか」「うちの家族なんか」「私の持ち物なんか」と思っていると、自分も、自分の周りの人も、自分を取り巻くもの全ても、ゴミやがらくたみたいに見えてしまいます。ゴミやがらくたは誰だって雑に扱います。

でも、「私」も「私の家族」も、「私のもの」も、すべてが本当に大切なものだと思ったら。たとえそれが300円ショップで買ったプチプラのアクセサリーだとしても、それを「いいな」「自分に似合うな」と思って数あるアクセサリーの中から選んだという大切な物語があるものだとしたら、たぶん前述の言葉は出てこないでしょう。

「ありがとうございます。気に入ってるんですよ!」となるでしょう。娘さんの件だって、「ありがとうございます。娘が頑張って合格できて、私もうれしくなっちゃって」みたいな言葉が出てきませんか?

自慢したり見せびらかしたりすることではなく、ただ「大切だ」と思うこと。そして常日頃から大切に扱うことを意識する。なんだかそれだけで、余計な一言は出てこなくなると思うのですが、いかがでしょう?

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image by: Shutterstock.com

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有限会社ヒューマン・ギルド 取締役研修部長 公認心理師(登録番号: 29160号) 。日本アドラー・カウンセラー協会認定シニア・アドラー・カウンセラー。日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメント・ファシリテーター 平成元年 三菱電機株式会社 入社。その後、ビジネス誌編集、語学専門学校専任教師など、20年以上にわたるビジネス経験を経て、自身が働く中で壁に当たった際に出会ったアドラー心理学を修得。 現在、日本におけるアドラー心理学の一大拠点であるヒューマン・ギルドにて、アドラー心理学研修講師(企業・自治体、教育機関、個人等)、カウンセリング、書籍執筆などを担当。

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【著者】 永藤かおる 【月額】 ¥440/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 第2金曜日・第4金曜日

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