関東で120店舗を展開するスーパー『サミット』。そんなサミットが販促として企画する取り組みが面白いと話題になっています。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』の著者でMBAホルダーの理央 周さんはその取組についてピックアップ。顧客を巻き込むマーケティング方法に思わず感嘆しています。
この記事の著者・理央 周さんのメルマガ
小売業は価格以外のどこで勝負をすべきか?サミット検定に学ぶ顧客巻き込み方の施策
スーパーマーケットのサミットの取り組みが面白い、と話題になりました。サミットは、関東の1都3県に、約120店舗を展開するスーパーマーケットです。私も行ったことがありますが、比較的お値打ちな値段での品揃えをするスーパー、という印象です。
話題になっているのは、まず3月に実施された「サミット検定」とよばれる、サミットの検定試験。
検定なので、英検なんかと同じで、「どれくらい細かくサミットのことを知っていますか?」という問題に答えて、マスターという資格をとるというもの。
「うちのスーパーのこと、どれだけ知っていますか?」という、なんだかとてもマニアックな、検定試験ですよね。
この検定の問題用紙が、店頭に置かれて持って帰り回答して提出するもの。また、ネットでも回答ができるようになっています。
ネット上に、問題と解答集がでていて、例えばサミットスーパーのマークがあり、「サミットの若葉マークにある三本線には、どんな意味が込められているでしょうか?」という問題に、3択で答えていくのです。
日経新聞によると、この検定で、81点以上なら1級で、2級、3級にも認定証を届け、満点の人には「サミットマイスター」の、称号が贈れられるそうです。
受験者数が意外と多くて、ウェブでの受験が4,837人、紙で書いて郵送した人が582人なので、合わせて5,000人を超えています。
うち、マイスターは596人にもなるそうなので、かなりなマニアというか、ファンですよね。ちなみに、社長は85点だったそうなので、意外と難しい問題だったのかもしれません。
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サミットでは通常の割引などの販売促進では面白くないと考え、この検定や「惣菜選手権」をやったりしています。
これは、都議選に合わせて企画したもので、総菜部門のバイヤー7人が政党の党首になったと仮定して、公約を掲げて立候補しました。そして、来店者が投票して、勝敗を決めて、1位になった総菜の公約を実現してそれを特売したそうです。
サミットも選挙も、大きな会社では、「まじめにやりなさい!」と叱られそうで、なかなかできない、一見不真面目な企画に見えますが、しっかりと実施しています。
やはり珍しく面白いので、話題にもなっていて集客につなげています。
そもそも、スーパーは商圏が、大体歩いて行ける範囲と言われていて、その辺りに新聞折込やポストに、特売のチラシを入れて集客する、という販売促進が大半です。
このように値段だけでの勝負だと、目玉商品が被ったり、値段で他に負けたり、ネット通販にとられたり、ということになりかねません。そこでサミットは、何か楽しいことをやって、お客様に来てもらおうと考え、これらの施策を打ってきました。
検定は、お客様が実際に問題を読み込んで、自分で書き込むので、どれだけ知ってもらっているのか?を測れますし、逆にやったお客様は、「こんなこともサミットではやっていたのか!」と新しい自社の魅力に気づいてもらえます。
検定も惣菜選挙も、お客様巻き込み型、双方向性のある企画ですよね。どちらも、お客様は楽しくできるし、これからもいきたい、という気持ちになります。
値引きや割引、ポイント還元に頼らない、お客様とのコミュニケーションが取れる施策、色々な業態の企業で参考にできますよね。
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