アメリカが抱える民主主義のジレンマ。中間選挙を前に苦悩するバイデン

 

これは何を意味するのか、私は民主主義ではなく造語をさせて頂くと「Me-ish主義(=私的主義)」なのだろうとみています。

結局、国民が置かれている立場はかつての資本家と労働者という単純明快な区別ではなく、二桁もあるであろう数多くの帰属の中でそれぞれの権利と地位改善や地位保全を求める自己利益保身型になっているとも言えます。

とりもなおさず、これがポピュリズム政治の原点であり、政治家は政治屋というビジネス稼業と貸すわけです。

となれば今年の中間選挙、24年の大統領選共、数多い帰属集団のうち、どの声を拾い上げるか、最大公約数を求める新民主主義的戦略が選挙対策上は最も有利な展開となります。

トランプ氏はキリスト教福音派や全米ライフル協会といったキーとなる帰属集団をうまく取り込み、当選したと理解しています。

これが正しい方向なのか、私には判断つきかねます。そもそも民主主義という言葉を我々はあまりにも不用意に使いすぎているとみています。

多くの政治家が「民主主義の根幹を揺るがす…」という表現をしますが、それが常に正しい意味で使われているとは思えないのです。

安倍氏が凶弾に倒れた際も多くの政治家がその言葉を発しましたが、あの事件と民主主義を結びつけるのは困難であります。

世界では権威主義の国が増えています。それは民主主義が壁にぶつかっているから、とも言えます。その最先端を行くのがアメリカであり、バイデン氏の苦悩とはそこにあるとみています。

これはバイデン氏の手腕だけの問題ではなく、アメリカが建国以来持ち続けてきた伝統、歴史、文化そのものへの挑戦ではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

プロフィール:岡本裕明

Blue Tree Management 株式会社取締役社長。ゼネコンで不動産事業、秘書を経たのち、1992年からカナダ・バンクーバーの不動産開発事業に従事。2004年にカナダ法人を買収、現在同地にてマリーナ運営、商業、住宅不動産事業、日本の書籍輸入販売などの他、東京でも不動産事業を展開するなど多角的な経営を行っている。「外から見る日本、見られる日本人」の人気ブロガーとしても広く知られている。

記事提供:『外から見る日本、見られる日本人

image by: Drop of Light / Shutterstock.com

『外から見る日本、見られる日本人』

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