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Couple with mortuary urn and flowers at funeral

事故で死亡した家族。遺族は年金と損害賠償を同時に貰えるのか?

交通事故や殺人など、加害者がいる状況での死亡。家族がそうなってしまったら、遺族は遺族年金が貰えるのでしょうか?今回のメルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』では、著者で年金アドバイザーのhirokiさんが、被害者として死亡した場合の損害賠償と年金の関係について詳しく解説しています。

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損害賠償と遺族年金が受給出来ると思ったら…

1.第三者の事故で損害賠償金が支払われるのであれば、それによる遺族年金は一定期間支払わない。

遺族年金は本人が死亡した時に年金の受給権が発生して、一定の遺族の請求により遺族年金が死亡日の翌月分から支払われます。

死亡する事で年金が発生する事になりますが、多くは病死などの時というイメージであります。

ところが死亡の中には誰か第三者のせいで死亡してしまう事も当然あります。交通事故などは毎日のように起こってます。場合によっては殺人事件などもありますよね。

他人のせいで死亡してしまうと、多くの場合は加害者側に対して損害賠償の請求を行える事になります。

例えば車の交通事故で死亡させた場合は自賠責保険や任意保険から高額の保険金が支払われる事があります。その保険金の中には遺族の生活保障のお金としても支払われます。

ところが「死亡」という事実が起こってしまったから、社会保険の年金からも生活保障としての遺族年金が支払われる事になります。

そうすると損害賠償での遺族の生活保障と、社会保険からの遺族保障が2重に受けられる事になります。

死亡という事故が起こってしまったので国は年金を支払わないといけないのですが、そもそも加害者が本人を死なせなければ支払う必要の無かった年金です。

そこで、損害を受けた本人または遺族が損害賠償金を受けた時は最長36ヶ月間、国は年金停止を行います。

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2.被害者に年金を支払ったから、年金機構は加害者にその年金分の請求ができるが事務的には…

ところで、年金と損害賠償金の調整方法としては2つあります。1つ目は「損害賠償請求権の代位取得」と呼ばれるものです。

事故が第三者のせいで起こった場合に年金機構が年金を支払ったら、その支払った年金の限度で加害者側に対して遺族年金受給者が持っている損害賠償請求権を取得するという事です。

条文としては、「政府は事故が第三者の行為によって生じた場合において保険給付をした時は、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する」という損害賠償請求権の代位取得を規定しています。

つまり、年金受給権者Aさんが加害者に「おい!損害賠償しろ!」という損害賠償請求権を、年金機構がそのAさんの権利を代わりに取得して加害者側に、「Aさんにこの間年金を払ったから年金機構に年金のお金返せ!」って言えるわけですね。

しかし年金においてはこの代位取得は行われていません。

なぜかというと、年金を支払うたびに加害者に「この間の偶数月に年金を支払ったから、その分返してね」って毎回毎回言わないといけないからです(求償という)。

示談が終わるまで、ずーっとそんな面倒で事務的にも手間とコストがかかるような事をやるので代位取得は全く年金機構ではやっていません。

3.損害賠償まで待てないから、さっさと被害者に年金を支払う。でも後で年金は返さなければならない。

次に、2つ目は「保険給付の免責」という方法があります。

年金機構は損害賠償の限度で年金を支払わない事が出来るという事ですね。

ただし、実際は先に一旦年金を支給してその後に損害賠償を受けたら、損害賠償金の範囲で年金を支払わない流れになっています。

(『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』2022年7月27日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by : Shutterstock.com

年金アドバイザーhirokiこの著者の記事一覧

佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

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