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中国経済に飲み込まれる前に。日本を救う「家康の時代」の再来

長きにわたり上向かない景気に、ますます広がるばかりの格差。もはやプラスの要素を見つけることすら難しいと思えてしまう日本経済ですが、現状を打破する方法はないものでしょうか。今回のメルマガ『 ねずさんのひとりごとメールマガジン ねずさんのひとりごとメールマガジン 』では作家で国史研究家でもある小名木善行さんが、現代日本に待たれるのは「家康の時代」の再来として、その根拠を解説。「下層の者ほど富を得る仕組み」を作り上げた家康の手法こそが日本を救うとの持論を展開しています。

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信長の時代、秀吉の時代、家康の時代

前回のメルマガで、現代はごく一握りの大金持ち個人の利益のために、世界が破壊されようとしているということを書かせていただきました。日本もまた、そうしたいわゆる世界政府なるものに取り込まれ、多くの庶民の生活が犠牲となり、不便や不快を強要されています。

そうしたなかにあって、先だってある方と対談させていただいた折、その方は、「現代日本に最も望まれるのは秀吉なのだ」とおっしゃられていました。

理由は明確で、信長、秀吉、家康の三者を俯瞰したとき、

と見ることができるからです。そしてその方がおっしゃられるには、「日本の30年間の不況、世界の経済成長から取り残された日本を救う道は、秀吉の時代の再来、つまり秀吉の政策に学ぶのが一番である」とのことでした。

なるほど日本経済は、世界の進運に大きく遅れを取っています。しかも30年と言いますが、実際には2000年から2010年までの、わずか10年の間に大きく水を空けられています。実際、2000年には日本と中国の経済格差は、日本のほうが8倍もあったのです。ところが2010年には逆転し、中国が日本経済の3倍に成長しています。もし、この差がこれからもっと大きなものになれば、日本経済は完全に失速し、たいへん恐ろしいことですが、下手をすれば日本経済が中国に呑み込まれることになります。

するとどうなるかといえば、日本に若者の就職先はなく、日本人の新卒の若い男女が、中国働きに出ることになる。実際、工業分野などにおいて、それはすでに始まっているともいえます。

先日、女子アナが中国に働きに渡航するという報道があり、多くの人が中国の不穏な動きに警戒して「どうして!?」と心配しましたが、現実にすでに日本で働くよりも、中国に渡った方が、最低でも3倍以上の収入になると言われているのです。そしてこのことは、今後、ますます現実化しそうな状況になっています。

このことは同時に、経済格差や国家の経済的成長は、政策ひとつで、急成長を遂げることもできるし、大幅な失速を招くこともできる、ということを示しています。たった10年で、24倍に成長させることも可能なのです。

だからこそ、その方は「いまこそ秀吉に学べ。秀吉の積極策に打って出よ」とおっしゃられるわけです。

それもおもしろい案だと思います。しかしそこには、解決しなければならないひとつの大きな問題があります。それが「富の集中」です。

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米国や中国の状況を見たらわかりますが、いわゆる経済成長というものが、ひとにぎりの大金持ちの財産の増加だけを意味し、その恩恵が大多数の国民にまわることがない、というのが世界の現実です。いわゆる格差が増大し、ごくひとにぎりの富裕層と、それ以外の貧困層とに社会が大きく二分されてしまうのです。このことは400年前の秀吉の時代も同じです。

実は戦国時代から信長の時代にかけての日本は、戦後の復興期と同じで、あらゆるものに破壊と再生が繰り返された時期にあたります。そしてこの時期、最も進歩したのが国内の農業生産高で、食糧事情の好転を目指して、実際に競争(戦い)が激しく起こった時代でもありました。そして同時に、庶民の暮らしが、たいへんに大きく成長した、これは一億総中流化と呼ばれた戦後の高度成長の時代が始まる前の状況と、実は同じものであったということができます。

続く秀吉の時代は、そうして生まれた富が、寡占化された時代です。まさに秀吉は、その寡占化された富の偏在に税をかけることによって、秀吉自身が莫大な財力を得たのです。

けれどいまの日本において重要なことは、むしろ家康の時代の再来です。家康は、佐渡の金山を抑えることで、それまでの国内の富とはまったく別次元の富を創造し、それによって国内の体制をいっきにあらため、世界最強の財力と軍事力を手に入れた上で鎖国を実施し、富と権力を切り離すことで、下層の者ほど富を得るという仕組みを作り上げました。そして日本社会を完全に安定させ、財力よりも徳が大切という日本の国柄を築き上げています。

よく縄文文明に学べという言葉を聞きますが、縄文期の社会構造に最も近い社会を築き上げたのが、実は家康の時代であったともいわれています。

秀吉の時代(高度成長経済)の時代ではなく、いま人々が求めているのは、これまでとはまったく異なる枠組みの経済と、政治社会の構造なのではないかと思います。そしてそれは実現可能なことです。

日本をかっこよく!!

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image by: Shutterstock.com

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静岡県出身。国史研究家。倭塾塾長。日本の心をつたえる会代表。日本史検定講座講師&教務。インターネットでブログ「ねずさんのひとりごと」を毎日配信。 著書に「ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人」第1巻~第3巻。「ねずさんの日本の心で読み解く百人一首」がある。

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