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防虫や殺虫にあらず。新ジャンル「逃虫」を形にした企業の大戦略

春先から急に増えて困ることも多い、家の中に入ってくる虫たち。生き物だとはわかっているけれど、家の中に出てくるとついつい退治してしまい後悔…そんな気持ちになったことはありませんか? 今回、MBAホルダーで無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者である青山烈士さんが紹介するのは、虫を簡単にキャッチ&リリースすることができる「逃虫」という画期的なアイディアを形にしたアイテムです。

虫を簡単にキャッチ&リリースできる「触らず むしキャッチリー」を分析

今号は、虫を簡単にキャッチ&リリースできる商品を分析します。

● 日本大学 商学部 水野ゼミナール メンバーの企画・開発商品でありプラスティック加工メーカーである「旭電機化成」が展開する「触らず むしキャッチリー」 

虫を触らずに外に逃がしたい方をターゲットに「“逃虫”という画期的なアイデア」に支えられた「虫を触らずに、外に逃がすことができる」等の強みで差別化しています。

殺虫や防虫ではなく“逃虫”という画期的なアイデアが、SNSや様々なメディアでで話題になり、注目を集めています。

■分析のポイント

家の中で、蜘蛛(くも)を発見!あなたは、どうしますか?

私は、それほど、虫が苦手ではないので、ティッシュで掴んで、外に逃がしています。しかし、優しく掴んでいることもあり、外に持っていく前に逃げられてしまうことも多く、わりと苦戦します。

私の周りにも虫が苦手な方がいますが、そういった方の場合は、戦々恐々としてしまいますよね。

虫が苦手な方が、虫に遭遇した時の選択肢としては殺虫スプレーなどで戦うか、見なかったことにするか、誰かを呼ぶか、くらいでしょうか。

ですが、戦いたくない方も多いでしょうし、見て見ぬふりをしても、全く安心できないでしょうし、家に虫が得意な誰かがいるとは限らないですよね。

そういったシーンで、救世主と呼べるようなグッズが、今回、取り上げた「触らず むしキャッチリー」です。

苦手な虫と戦う必要もなく、外に逃がせるので、安心感を得ることもできますし、一人でも対応可能ですから、虫が苦手な方には、ありがたいグッズだと思います。

今回のポイントとして取り上げたいのは、虫を外へ逃がす派の方は、一定数いるはずですが、それは、あくまでも虫が大丈夫な方の選択肢であったということです。

一般的に多くの選択肢があったとしても、現実的に、その人が選べる選択肢は限られているものです。

選択肢を並べてみて、選びたいけど、選べない、という経験をしたことがある方も多いと思いますが、限られた選択肢を広げるためのサポートしてくれる商材は、大きな価値があります。

まさに「触らず むしキャッチリー」は、虫が苦手な方にも、虫を外へ逃がす選択肢を選べるようにした商品、お客さんの選択肢を広げる商材ということになります。

お客さんが選ぶことを諦めた選択肢を知る、ということは商品開発のヒントになるかもしれませんね。

今後、「触らず むしキャッチリー」がどのように拡がっていくのか注目していきます。

◆戦略分析

■戦場・競合

・戦場(顧客視点での自社の事業領域):虫のキャッチ&リリース
・競合(お客様の選択肢):虫取り網、殺虫剤 など

■強み

「虫を触らずに、外に逃がすことができる」

・蜘蛛やカメムシなど触りたくないけど家に居られると困る虫を簡単にキャッチ&リリースできる(虫にもやさしい)。
・殺虫剤を使わずに虫をキャッチできるので小さな子どもがいる家庭でも安心して使用できる
・殺虫剤などで、やむを得ず殺してしまった虫(ゴキブリなど)も触らずに処理できる

★上記の強みを支えるコア・コンピタンス

・「Student Innovation College 2020」(Sカレ)で優勝し、商品化した実績
・殺虫や防虫ではなく、”逃虫”という画期的なアイデア
・販売元のプラスティック加工メーカーである「旭電機化成」は、発明家を応援するというコンセプトを持つ

上記のような、実績や発明が強みを支えています。

■顧客ターゲット

・家の中に入ってきた虫を触らずに外に逃がしたい方
・虫が苦手な方
・虫を殺したくない方
・虫を外に逃す派の方

◆戦術分析

■売り物

逃虫グッズ 「触らず むしキャッチリー」

虫を簡単にキャッチ&リリースできる商品

・サイズ:約32×8×6cm(組立時)
・虫を見たくない方向けに目隠しシール付き

■売り値

・660円 (税込) ※ 楽天市場での価格(調査時)

■売り方

・「Student Innovation College 2020」(Sカレ)で優勝
・SNSで話題に。各種メディアで取り上げられている
・キャッチコピーは「虫は触らず逃がしたい!!」

■売り場

・Amazon、楽天市場などで販売

※ 売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 青山烈士 【発行周期】 ほぼ 週刊

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