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Electrical power lines and towers at sunset.

猫組長が「これからの日本はもう一度石油やガスに戻るべき」と語る理由

ロシアのウクライナ侵攻により、戦時経済に移行したいま、これからのエネルギーと食糧を確保していくために日本はどう動くべきなのでしょうか。元山口組系の経済マフィア「猫組長」が教える、常識の外の話を記した一冊をメルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』の中で紹介しています。 

【一日一冊】正義なき世界を動かす シン地政学式

正義なき世界を動かす シン地政学式

猫組長(菅原潮) 著/ビジネス社

山口組系経済マフィアであった著者が教える地政学です。

著者はロシアがウクライナに侵攻したことで「グローバリズム」が終焉し、戦時経済に移行したとしています。戦時経済とは何かといえば、暴力によって、エネルギーと食糧を奪い合う世界です。

各国がウクライナを支援するのは、仮にロシアが勝利すれば、核保有国は何をしても勝つという戦時経済の常識が成立してしまうからです。

戦時経済に移行したことで、暴力に対抗できるのは、同量の暴力によってのみです。フィンランド、スウェーデンのNATO加盟はそうした認識の元で判断されているのです。

著者は、「中立国スウェーデン」を例にして日本の防衛費拡大に反対を訴えてきた人たちが、この状況をどう説明するのか、と嫌味に問いかけるのです。

国際社会には「信頼」など存在しない。「強大な暴力」から自分たちを守るためには、同量の「暴力」を保有するしかない(p130)

この本で興味深いのは、世界のエネルギー事情についての分析でしょう。

まず、グリーンエネルギーへの傾斜によって、石油開発への投資が減少し、エネルギー供給力が減少しました。さらに新型コロナ対策で、金融緩和が行われ大量のマネーが供給されたのです。これらはすべて資源・エネルギーの価格を押し上げることになりました。

エネルギー価格の上昇によってオイル・ガスマネーを手に入れたプーチン氏が、アメリカの軍事介入はないと判断し、「帝政ロシアの復活」という長年の目標達成のためにウクライナ侵攻を決断した、というのが著者の見立てです。

生前の安倍元首相はロシアとの緊張を緩和し、「インド太平洋構想」でインドを取り込み、中国包囲網を構築しようとしていました。EUとロシアのウクライナでの対立により、ロシアとの緊張緩和は崩壊しましたが、安倍元首相としてはEUとロシアの対立は残念なことだったのでしょう。

著者は自称文化人や左翼メディアが「反安倍」を煽ってきた結果、山上という暗殺者を生み出したことは、世界の外交にとって大きな損失であり、日本の未来を奪ったとまで表現しています。

朝日新聞、毎日新聞は安倍氏がスベっても転んでも攻撃を続けた…もはや病気である(p57)

石油取引の現場にいただけあって、正確な日本のエネルギー関係の知識、現状認識に驚愕しました。

日本の再生可能エネルギーについても、期待通りには絶対に動かない「ポンコツ」と断罪しています。そのポンコツを高額で買い取る「再生可能エネルギー買取制度:FIT法」によって、高額の賦課金がプラスされ日本の電気料金は上昇し続けているのです。

戦時経済となった今、資源、エネルギーの安定確保のためにも、再生可能エネルギーの高額での買い取りの見直しと提言しています。今、投資すべきなのは不安定な再エネではなく安定した石油・ガス・石炭などのエネルギーなのです。

マスコミが報じない現場に近い情報だと感じました。★5とします。猫組長さん、良い本をありがとうございました。

【私の評価】★★★★★(91点)

<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
★★★☆☆(読むべき一冊です)
★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
☆☆☆☆☆(こういう本は掲載しません)

image by: Shutterstock.com

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