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Baked vegetables, avocado, tofu and buckwheat buddha bowl. Vegan lunch salad with kale, baked sweet potato, tofu, buckwheat and avocado in a white bowl. Vegan concept.

なぜ?オイシックスとコロワイドが「シダックス」争奪戦を繰り広げた訳

食品宅配大手のオイシックスと外食大手のコロワイドがシダックスを奪い合っています。その理由をメルマガ『次世代ニューノーマルに売れるサステナブルビジネス~第3の持続可能なビジネス 全貌解説!!』が詳しく語っています。 

コロワイドVSオイシックス、給食大手シダックス買収に動いた本当の理由ヴィーガンとは?

直近メディアでは食品宅配大手「オイシックス・ラ・大地」と外食大手「コロワイド」が「シダックス」に対し相次いで買収を提案し、シダックス争奪戦が繰り広げられていると報道されていました。

事の発端は、シダックス創業家が懇意にしている「オイシックス」と組んでTOB(株式公開買い付け)に踏み切り、シダックス筆頭株主の投資ファンド「ユニゾン・キャピタル」が保有する株式27.0%を手に入れ、創業家が「シダックス」の経営権を握りたい!という思惑によるものでした。

その後「ユニゾン・キャピタル」はインサイダー取引の可能性がありTOBを受けないと決定、又「コロワイド」は敵対的買収者になるイメージダウンを理由に買収提案を取り下げました。

今号のメルマガは投資ファンドユニゾンがオイシックスを評価した本当の理由を、持続可能なビジネスモデルを軸にヴィーガンとは何か?を通して深堀解説します。

題して、「コロワイドVSオイシックス、給食大手シダックス買収に動いた本当の理由ヴィーガンとは?」です。
持続可能が具体的ビジネスになる事例、是非ご期待ください!!!!

投資ファンドが見抜いた企業価値を向上させるオイシックスの経営戦略とは?

本争奪戦を、シダックス創業家と反創業家による取締役会での対立が問題だったとメディア向けに注目されやすい文言で発信していましたが、シダックスの事業としての将来性の有無については深く分析、言及はしていませんでした。

投資ファンドユニゾンは、オイシックスがシダックスの経営に関与するようになると企業価値が向上(=株価がアップ)し、自社がシダックスの持ち株を売却する際、売却価格もアップすると読んでいたと思われます。

そのため創業家との当初の契約によるシダックスの売却価格では、オイシックス関与によるシダックスの将来性の価値が付加されていないと判断し、満足できなかったためTOBを受けなかったのではないかという憶測は否定できません。

ユニゾンがインサイダー取引を理由に契約の沿った売却をご破算にしてまで、シダックスの売却価格にこだわったとすると、それは投資ファンドユニゾンがオイシックスのヴィーガン事業への(米国のヴィーガン食材の宅配会社を買収)参入にリンクした日本におけるヴィーガン市場拡大の将来性に着目したからです。

工場菜園や人工肉しか、食せないヴィーガン(肉や魚、卵や乳製品を使った料理を食さない)に投資ファンドが着目した!!

シダックスの祖業は給食で、社員食堂、病院給食共に売り上げ上位10位以内に入っていますが、トップとの差は大きく、成長の伸びしろのある保育園や高齢者施設を含む有望な給食市場4兆円のシェアーを獲得するだけでは、プライム市場に上場の同社の企業価値は高い評価を受けません。

なぜならプライム市場での株価は今の給食市場を獲得できる可能性だけでなく、今後環境保全を見据えたSDGsへリンクする事業を展開する将来性に反応するからです。

シダックスがヴィーガンを掲げるオイシックスの関与により経営がかじ取りされることは、これから特にアフリカ、中国の中間層の人口増により増え続ける牛肉需要で品薄となる精肉の代替として、工場菜園の野菜や人工肉を提供できる流通ルートを確保することへ向けた、巨大なパイの層を獲得できる可能性も秘めています。

企業のパーパズ(存在意義)が環境保全を目的とすることが上場企業のビジネスの在り方となった今、投資マネーが、ヴィーガン志向のビジネスを展開するオイシックスが経営に関与するシダックスの将来性に向けて流れ込むのは間違いないでしょう。

ではヴィーガンは、単に上場企業が企業価値を向上させることで、投資マネーを呼び込むだけのツールでしかないのでしょうか?

ヴィーガン料理は美味しい!!次世代に支持されるかっこ持続可能なライフスタイルが環境保全を促す?

19世紀べジタリアンという言葉が英国で誕生し、20世紀半ばには原点に戻り動物性のものを避けるヴィーガンという呼称が生まれました。

その後米国で健康・環境意識の高いヴィーガンを志向する若者層が年々増加し、特にヴィーガンは食を切り口に「意外な素材から予想外の美味しさに巡り合える」料理となり、サーフィンや音楽という料理以外の分野とリンクすることで、持続可能を志向するライフスタイルが、憧れるファッションとなり始めました。

ヴィーガンは、SDGsを掲げる企業が投資マネーを流入させる打ち出の小槌になっている反面、実は、ヴィーガンは、ヴィーガンと知らず食べてみて、「美味しい!、これってヴィーガンなの?」という驚きから、自然な環境が育んだ食材は、体にもよくて、自身の健康を考える、気づきを醸成しています。

米国ではヴィーガン料理には使用できない素材があるため、オーナーシェフ達は様々な工夫を凝らし、フレンチを超えるヴィーガンメニューを世に出し、素材の風味を抽出した自然が放つ美味しさでヴィーガンを志向する消費者以外も魅了しています。

ヴィーガンにしかない、美味しい!が驚きの体験になれば、持続可能は企業ビジネスとして成り立つ!!

オイシックスがシダックスの経営に関与することは、日本市場を相手に、食を入り口に、タンパク質を畜産素材に頼るだけではなく、米国のように、ハーブやスパイスといわれる野草を活かし、調理を工夫することで、大豆などのタンパク質で代替し、世に存在しないイノベーティブなレシピを生み出すことを意味します。

そして、オイシックスがシダックス、又コロワイドとも、ヴィーガンレシピをB TO BやB TO Cで通用する商品として提供する仕組みをつくれば、ヴィーガンは健康とともに環境も保全できる、持続可能なビジネスとして成り立つでしょう。

ヴィーガンに進出するオイシックスがシダックスの経営に関与することになれば、持続的に供給できる素材を活用し、自然を破壊することなく、ごみを出さず、素材も含め再利用される形で循環する持続可能なビジネスモデルを成り立たせた日本で唯一の持続可能で社会に大きなインパクトを与えた企業となるのは間違いなさそうです。

image by: Shutterstock.com

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日本の上場企業トップと同行し米国優秀企業を紹介した米国ビジネスモデルコンサルタントが、そのトップだけが持つ独自の視点で利益を生み続ける現場演出から分析。日本の優秀企業が、米国企業から導入し、顧客を喜ばせた「オンリーワンになる法則」を事例で解説。<少量生産・高付加価値を可能にする3rdビジネス>を発信する

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【著者】 清水ひろゆき 【発行周期】 不定期

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