2019年の10月以来7回に渡り、高知県南国市で発生した小学校2年生男児の水難事故を取り上げ、県警や市教育委員会らの対応の異常さを訴え続けてきた、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さん。事故から3年以上が経過した現在も、その「異常さ」は何ら変わっていないようです。阿部さんは自身のメルマガ『伝説の探偵』で今回、2年以上も第三者委員会を開こうとしない市教育委や、数十万の嘆願書も無視し再捜査に手を付けぬ県警の姿勢を厳しく批判。さらにご遺族からのメッセージを誌上で公開するとともに、事故の風化防止を強く訴えています。
この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ
高知小学生水難事故を知っていますか?
2019年8月22日、高知県南国市の小学2年生の岡林優空くんが遊びに出た後、行方が分からなくなり、翌日、自宅近くの生活排水などが流れる下田川から遺体で発見された事案。
当時一緒にいたという小学1年生から5年生までの児童らは、助けも呼ばずにその場から去り、優空くんの自転車を乗り回すなどしていたことが明らかとなっている。
また、優空君は、上級生などからいじめ行為を受けていたという証言が多数あり、保護者は学校にも相談していた。
遺体の司法解剖はされなかったが、医療記録から、優空君の肺はレントゲン写真などからガラス状に映っていたことから、ほとんど肺には水が入っていないことが明らかになっている。
この件を知らなかったという方、改めて確認したいという方は、下記の記事を参考にしてほしい。
● あまりに多い嘘。探偵が調査で見抜いた高知小2水難事故の深い闇
現在、2022年の10月である。
これまでのおよそ3年間、様々なことがあった。
下記は「伝説の探偵」でまとめた記事の一覧である。
● 高知小2水難事故に「事件性」示す新事実。捜査を妨害する者の正体とは
● 高知小2水難事故、南国市教育委が遺族に姑息な対応。隠蔽許さず真相究明を
● メディアすら偏向。高知小2水難事故に見た田舎町の静かな全体主義
● 高知小2水難事故の遺族宛にDMで送られた死者を冒涜する「許し難い画像」
● 理解不能。無断で「高知小2水難事故グッズ」をECサイトで販売した人物の倫理観
● 高知小2水難事故に新展開。14万筆の「再捜査嘆願署名」が動かす警察庁
だらだらと第三者委員会を引き延ばす南国市教育委員会
南国市教育委員会は、第三者委員会を開催することを決定しているが、当初は、教育委員会自体の対応が調査対象になっているにもかかわらず、市の関係者であるスクールロイヤーを委員長にして第1回の委員会を非公開で始めてしまった。
これに気が付いたご遺族が説明を求めても、スクールロイヤー職と委員長は関係ないと支離滅裂な説明を繰り返したのだ。結果、解散要求をせざるを得なくなった。
こうしたことから、ご遺族側の反発を受け、再度設置、委員の選定となっているが、南国市教育委員会は、担当者が変わるたびに引継ぎを無視したり、連絡を怠るなど、設置に向けて仕事をしている素振りすらないのである。
これが民間企業であったら間違いなく倒産レベルだろう。仕事のできない課長や担当者、そもそもやる気もなく、血税を居ればもらえるお金だとでも思っているのだろう。
そもそも設置を決め第1回の第三者委員会を非公開で開催したのは2020年の8月のことだ。現在は2022年10月である。すでに2年以上経過しているが、他の地域であったなら、その異常な遅さはニュースになるだろうし、市議会でも問題視されているのが普通である。
これが問題にもならないのが、この地域の異常さとも言えるだろう。
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バレたくない高知県警の大ポカ
2022年9月、千葉県松戸市の小学1年生が行方不明になった事件で、10月5日に江戸川で遺体が見つかり、8日には本人と確認されてご遺族のコメントがニュースで流れた。
報道をみれば、警察は河川敷に上がる南朝芽さんの姿を捉えたドライブレコーダーを見つけている。一方、高知県小学生水難事故は、ドライブレコーダーの捜査などは「そ」の字も出ていないという。
結局、ご遺族の岡林さんがSNSなどを使って求めたのだ。
司法解剖についても、医療記録では、司法解剖が望ましいと書かれているが、遺族には解剖しても無駄だと刑事が言ってのけているのである。遺族は何時間も水に浸かっていた我が子の遺体を傷つけたくない、こう言われれば、司法解剖をしないものだ。
高知県警は再捜査という概念はなく、未だに捜査中のようなものだというのだ。
全国から何十万人の署名が届こうが、どうせ風化するとたかをくくっているのである。
岡林さんからのメッセージ
2019年8月22日
この日、私たちは遺族となりました。
最愛の息子を亡くし、その後を取り巻く環境に翻弄され、早3年が過ぎました。
数々の証言や目撃情報も多数あり、事故当日の背景が少しずつ見えてきました。
そして、事故以来続くSNSでの誹謗中傷。
そんな中、唯一の救いは地元での中立の立場の皆様とSNS等で「頑張れ」と支援して下さる皆様のお陰で、今を頑張って生活出来ています。
敢えて、今置かれている状況は説明しません。
日を重ねる毎に、募る優空との7年間。
共に喜び、笑い、泣き、喧嘩もしました。
それでも、もっともっと一緒に居たかった。
前を向き進んだとしても、この思いは深まると思っています。
応援して下さる皆様に。
これまでの感謝と引き続きのご支援を宜しくお願いします。
岡林 宏樹
最後に
1人でも多くの方に、この理不尽な事件を知ってもらいたいと思う。
絶対に風化させてはならない。
そして、ダラダラと第三者委員会の設置を引き延ばす南国市教育委員会には、いい加減に白を通り越して、これがまかり通る「いじめ防止対策推進法」とはなんだ?と言わざるを得ないだろう。
他人事ではなく自分事で、そう考えて行動しなければ、この世界は嘘まみれになってしまうだろう。
編集後記
高知小学生水難事故の公式ホームページは下記の通りです。
ぜひともSNSなどでシェアしていただき、疑問と思うことをそれぞれに呟いたり、共有したり、話し合ったりしてもらえればと思います。
また、ご遺族の岡林宏樹さんのTwitterは下記のアカウントになります。
ぜひともフォローして頂ければと思います。
本件については、本当に不可解なことや行政の機能的破たんとも言える問題、また、妨害勢力や実際の嫌がらせが未だに発生しています。
この件を取り上げている私にも、多くの誹謗中傷や直接の嫌がらせが未だに絶え間なくある状態ですから、闇の深さがよくわかります。
かなり多くの方が知って頂けているようですが、未だに知らない人も多いので、ぜひとも知らない人にも伝わるようにご協力頂けたらと思います。
さいごに
優空君のお母さんが言った言葉が未だに私の心に刺さっています。
「お母さん、ただいま。遅くなってごめんね。って帰ってくるような、今はもしかしたら夢なのかな」
亡くなっているんだ、その認識はハッキリあります。身内を亡くした方は共通するものがあるかもしれません。こう思うときは誰にもであるのではないでしょうか。
少しでよいのです、ほんの1分でも、目をつぶって想像してみてもらえればと思います。
その悲しみの深さを。
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image by: 伝説の探偵