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お金のプロが警告。クレジットカードの“放置”が招く「5つの大問題」

作ってはみたものの、ほとんど使うことがないクレジットカードが財布の中に眠っているという方、多いのではないでしょうか。しかしそんなカードを解約しないまま持ち続けていると、思わぬトラブルが発生してしまうこともあるようです。株式会社Money&You代表取締役で資産運用のプロ・頼藤太希さんは今回、クレジットカードの放置が引き起こしかねない5つの問題を取り上げ詳しく解説。さらにどんなカードを優先して処分すべきかについてレクチャーしています。

クレジットカードの放置は危険!解約しないと発生する5つの注意点

みなさんはクレジットカードを何枚持っていますか?

1枚だけというよりも、複数持っている人がほとんどでしょう。

一般社団法人日本クレジット協会の2021年の調査によると、発行枚数は2億9,531万枚、この発行枚数を成年年齢の人口で割ると、1人あたりの保有枚数は2.8枚となります。

でも、複数のカードを上手く使い分けている、使いこなしている人は少数ではないでしょうか?

「年会費がかからないから使わず放置してしまっている」「年会費がかかるにも関わらず使わず放置している」、実はどちらも注意点があります。

今回はクレジットカードを放置すると生じる5つの注意点を解説します。

■クレジットカードを解約せず放置すると生じる5つの注意点

注意点1:不正利用されるリスクがある

「クレジットカードを知らないうちに不正利用された」

そんなニュースを目や耳にすることがよくあります。一般社団法人日本クレジット協会の調査によると、クレジットカードの不正利用によって被害を受けた金額は、年々増加傾向にあるのです。

● クレジットカード不正利用被害額

一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害額の発生状況」より

偽造カード被害やその他不正利用被害は年々減っていますが、番号盗用被害は年々増えているのがわかります。これはクレジットカードの現物を使わず、番号だけを利用して決済されるものです。

使わなくなって、放置しているクレジットカードの番号が何らかの形で悪意のある人に知られるだけで、不正利用にあう危険性が高いというわけです。

とはいえ、クレジットカード会社側でも、不正な利用を監視しています。

例えば、高額な決済が続く、普段使用しない地域(海外など)で決済された時には、使用中止の措置が取られます。しかし、すべての不正な利用が未然に防げるとは限りません。普段管理していないクレジットカードであれば状況の確認をしないでしょうから、不正に気づけない可能性もあります。

注意点2:年会費で損してしまう

クレジットカードのなかには、利用の有無に限らず年会費が発生するカードがあります。

「学生は無料」「初年度年会費のみ無料」「1年間に1回でも利用したら無料」など、条件付きで年会費無料となるクレジットカードが多いため、いつの間にか年会費が発生するようになったことを見逃しているケースもあることでしょう。

特に学生時代に使っていたクレジットカードを社会人になっても使い続けている場合は注意です。年会費がかかることを理解した上で使っているのならば良いですが、年会費がかかるならば、還元率や付帯サービスが良いクレジットカードに切り替えても良いかもしれません。

注意点3:新しいクレジットカードを作りにくい

クレジットカードを5枚以上所有している場合、新たにクレジットカードが作りにくいということがあるかもしれません。クレジットカードを多く持っているほど、契約者が借りられる限度額を示す「総与信枠」が大きくなってしまうからです。総与信枠とは、クレジットカードの契約者に与えられる限度額のことで、総与信枠はその人が持っているすべてのクレジットカードの与信枠の合計です。キャッシング枠が設定されているクレジットカードを保有している場合は、キャッシングを利用していなくても、借入があると見做されます。借入が多いとクレジットカードを作りにくくなります。

注意点4:住宅ローンなどの審査に通りにくい

クレジットカードの利用残高が多い場合、住宅ローンなどの審査に影響が出ます。特に、キャッシング枠がある方、分割払いやリボ払い残高がある方はその金額が借入とみなされます。

上でも解説した通り、キャッシングを利用していなくても、借入があると見做されます。リボ払いは、恒常的に利用していると、信用力が下がり、住宅ローン審査時にリボ払い残高がなくても、住宅ローンの審査落ちや借入金額の希望が通らない可能性もあります。

放置しているクレジットカードの中で、キャッシング枠が設定されている場合は、優先的に解約をしておきましょう。

注意点5:支出管理が雑になるうえ、ポイントも貯めにくい

クレジットカードは利用明細があるので、支出管理に役立ちます。しかし、クレジットカードが複数あれば、それだけ管理が大変です。引き落とし日もカード会社によりばらばらで銀行口座の残高不足にならないよう注意しなければなりません。

また、ポイントを貯めるという視点でも、複数クレジットカードを使用している場合は分散してしまい貯めづらいというデメリットがあります。

支出管理に生かすのも、効率よくポイントを貯めるにも、クレジットカードの枚数は絞るのが大切な視点です。

■クレジットカードの解約で優先すべきカードはこれ!

クレジットカードは発行するカード会社によって、交通系、流通系、通信系、銀行系、石油系など、さまざまなジャンルがあります。例えばデパートやスーパーで買い物をするなら対象の店舗で割引の受けられる流通系カード、ネットショッピングをするなら通信系カードという具合に、よく使うシーンを想定して絞り、使っていきましょう。

クレジットカードは2枚に絞るのがおすすめです。1枚でももちろん良いのですが、2枚保有で国際ブランドを別々のものにしておけば、利用できる店舗が広がります。海外旅行した際にも安心です。1枚はシェアの多いVISAにしましょう。もう1枚は同じくシェアの多いMaster Cardか、国内利用が多いなら、利用可能店舗数の多いJCBがいいでしょう。

解約を優先したいクレジットカードは次のとおりです。

お手持ちのクレジットカードを2枚にまとめ、それを集中的に使うことで、お金の流れもわかりやすくなりますし、ポイントもまとめやすくなるのでおすすめです。

公共料金の支払いなど固定費の支払いは、1つのクレジットカードにまとめ、お得にポイントを貯めたいところです。

クレジットカードの解約手続きは、電話やネットなどで簡単にできます。電話の場合は、各社の問い合わせ窓口に電話して解約したい旨を伝えれば5分程度で完了します。自動音声で対応しているカード会社もあります。

クレジットカードをたくさん持っていても、デメリットしかありません。不要なクレジットカードは早めに解約するようにしましょう。

プロフィール:頼藤太希(よりふじ・たいき)
Money&You代表取締役/マネーコンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『はじめてのFIRE』(宝島社)、『1日1分読むだけで身につくお金大全100』(自由国民社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。

image by: Shutterstock.com

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