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カネが絡まぬハズはない。恐ろしい統一教会「養子縁組問題」の犯罪度

数々の疑惑が噴出し続ける旧統一教会問題にあって、先日新たに国民が知ることとなった「養子縁組あっせん疑惑」。教団は信者間の養子縁組の存在は認めているものの、あっせんは一切行っていないと主張していますが、果たして真実はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』ではかつて旧統一教会の信者だったジャーナリストの多田文明さんが、「教団主導の養子縁組は昔から存在する」と断言。さらにあっせんに関して金銭の授受がないとは考えられないとして、その理由を自身の体験を交えつつ紹介しています。

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養子縁組問題、文化庁の質問権行使、政府の驚きの救済法案、次々に噴き出す旧統一問題!

1.養子縁組問題で、教団を追い詰められるか!?法令違反を問われる可能性も

養子縁組問題という新たな火種が旧統一教会に浮上しました。

都道府県の許可を受けずに、養子縁組のあっせんを一定の目的を持って反復継続的に、旧統一教会が組織的な仲介を行った場合、養子縁組あっせん法違反を問われる可能性があります。2018年以降に関する件に関して、厚生労働省も調査に乗り出しています。

霊感商法では、数多くの被害を生み出して社会問題化していますが、神のためなら何をしても構わないという、この世の法律を軽視してきたこれまでの姿勢が、今回の事態を生んでいると考えます。

養子縁組あっせん法に違反は、1年以下の懲役または、100万円以下の罰金に処するとなっており、決して軽くありません。教団の対応しだいでは、教会本部への刑事罰もありえるのではないかと考えています。それは後ほど。

教団主導の養子縁組は昔から存在します。

離教した信者の取材からも、1980年~90代の合同結婚式で引き合わされた男女が多くなったことで、子供の生まれない家庭も多く出てきたことにより、養子に出されるケースが出てきていることがみえてきています。当初は、生まれた子を養子に出すことが多いとの印象を受けますが、しだいに子供が生まれる前から、養子の約束をしているケースが増えてきたように感じています。

すでに「旧統一教会の養子縁組問題で解散請求命令へのカウントダウン?もはや逃げ道なしか。根底に教祖の教えも存在」のヤフーニュースでも書きましたが、2014年に光言社から発行された「侍義生活ハンドブック」(光言社)からもそれがわかります。

「養子の約束を交わすのは、捧げる前の妊娠前が最も望ましく、遅くとも出産前には決定し」とあり「両家で合意がなされたら、必ず家庭教育局に報告が必要です」となっています。

さらに「両家の合意がなされたら、『養子縁組申請書』と家族写真を本部家庭教育局に提出し、会長に承認をいただきます」と続き、教団の承認が必要であることが書かれており、養子縁組に組織的に関与していた実態も浮かび上がってきます。

この背景には、文鮮明教祖の「産児制限禁止」の言葉によるところが大きいと感じています。「統一教会員たちは産児制限をしてはいけません」「サタン世界はますます産児制限をして、私たちはますますどんどん生んで…」という言葉もあります。それゆえに、10人近くの子供を持つ家庭もあります。こうなると、ただでさえ献金で生活が苦しいなかで、子供を育てることができずに、養子を決断する人もいるのではないかと思います。

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2.教団はお金を受け取っていたのか。ここが焦点!

ここからは記事では書き切れなかったことも載せておきます。

同法では、無報酬でもあっせんを反復継続的に行っていた場合、法に違反することもありえますが、さらに「仲介業者は省令で定めた手数料以外の金銭の受け取りをしてはならない」とも定められています。

さて、教団はお金を受け取っていたのでしょうか。ここも焦点の一つになると考えます。

教団は「金銭の受け取りはない」と、回答するかもしれませんが、これまで、霊感商法や高額献金でお金を集めてきた教団ですので、お金の授受がないのは、どうにも考えられないと思っています。

同書籍には、「感謝献金・特別献金」の下りには次のように書かれています。

「教会員や祝福家庭は、名節などの際、神様と真の父母様への感謝を込めて特別献金を捧げます。(中略)名節の時だけでなく、人生の様々な節目で恩恵をうけたり、導きを感じたりしたときにも、私たちは自由に献金を捧げます。例えば、子女の誕生、入学、卒業、就職、病気快復、祝福結婚、聖和などの機会に、その恩恵に感謝して、献金を捧げるのです」

私自身も合同結婚式に参加するにあたって、140万円の祝福献金を求められました。式に参加する日本人信者は全員、教団にお金を捧げなければなりません。その延長線上にある、神の子を養子として、別な家庭から迎えることになれば、当然、教団への何かしらの献金が要求されるのではないかと思います。

同書には、次のような記述もあります。

「養子縁組が成立したあと、お産にかかる費用一切は、基本的には養子を授かる側がもちます。しかし家庭教育局からの承認を受けるまでは、金銭の授受は行いません」

金銭授受に関することも、こと細かに書かれています。

先に「(養子を)捧げる家庭は妊娠前あるいは、妊娠後のできるだけ早い時期に、相手の家庭と約束を交わし『相手の家庭の子女である』という自覚をもって、養子の準備を進めてことが理想的です」と教団が推奨していることを話しました。

なぜ、妊娠前からなのかといえば、これまで教団が献金をさせるための様々な方便を考えてきたことから考えれば、信者から養子縁組を名目に献金させようとする仕組みを作ったのではないかと考えています。

とすれば、養子縁組あっせん法、養子縁組あっせん法が施行されたのは2018年ですが、今も変わりなく続いている可能性は大いにあります。

おそらく厚生労働省の質問に対して、教団側は、いつもの「本人の自由意志による献金だ」との話をしてくるでしょう。しかし、その額がある程度、決まっていたり、ほぼ全員が寄付をしていれば、仕組まれたものであることが分かります。

今、文化庁が宗教法人の解散命令請求に向けての質問権を行使しています。これはお金の流れを把握する質問もあるといいます。もし全国の教会へのお金の流れのなかに、信者からの養子縁組に関する献金がなされていれば、それこそ教団の関与は濃厚となると思います。

お金の流れは嘘をつけませんので、合わせ技での不法行為の発覚に期待しています。

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3.当初の政府の救済新法案では誰も救えない。マインドコントロールの意味を理解したうえでの法案に!

政府から出された救済新法には絶句しました。「誰も救えない救済法案であってはならない!」と厳しい口調でテレビでも話しましたが、被害の状況を全く理解しないで、会議室の机の上だけでつくった法案に思えたからです。

この法案を最初に見た時、「踊る大捜査線」の青島刑事の有名な台詞を思い出して、一人叫んでいました。

「事件は会議室で起きているんじゃない。現場で起きているんだ!」

被害者の事情をしっかり見聞きしてほしいと思います。

いずれにしても。このままの法案では、救える人がほとんどいません。すでにヤフーコメントもしましたが、消費者契約法に「霊感」における取り消し権がありましたが、ほぼ運用されなかった法律でした。それと同じ状況になると思います。

先日の「首相、自主的な寄付『規制困難』…本人が『困惑していない』主張なら家族の請求も困難」(読売新聞)のニュースで、岸田首相は「自主的な寄付を法規制の対象とすることは憲法上、難しいとの認識をした」という発言をしたそうです。

河野大臣からも、困惑せずに寄付する行為について「その権利に立ち入るのは難しい。家族といえども阻害することはできない」とも。

まだまだマインドコントロールの実態を十分に理解されていないことを感じます。

教団は「自主的」を装っているのです。ここが他の宗教団体の寄付とは大きく違っている点です。それを一緒くたにした発言に思えます。

信者らは、すでにサタン世界の中にいる罪人であると教えられ、すでに困惑させられて入信させられているのです。信者らが行う寄付や献金はもはや「自主的なものではない」のです。表面上、自主的な献金に思わせている行為が、旧統一教会が行わせている献金における重要な点になります。

そこが抜け落ちたままの救済法案では、多くの人は救われず、教団のお金の集めの活動は今後も続くことになります。

現法案では規制事項も多く、これまで法の目をかいくぐってきた教団にとって、なんとも脱法行為をしてお金集めをしやすい内容になっています。もっとマインドコントロールについての理解を高めて、法の網をやすやすと抜けられない法案にしなければなりません。

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image by: Sun Myung Moon, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

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悪徳業者などへの潜入取材した数は100ヶ所以上。数々の現場経験と被害者への聞き取り取材から、詐欺・悪質商法に詳しいジャーナリストとして一線で活動し、多数のテレビ・ラジオに出演している。現在はヤフーニュースのオーサ・公式コメンテーターとして、コメントやニュース記事を執筆中。消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」(2017年~18年)の委員も務めた。雑誌「ダカーポ」にて、悪徳商法に誘われたらついていく連載を担当。それをまとめた著書「キャッチセールス潜入ルポ~ついていったらこうなった」(彩図社)はフジテレビで番組化され、ゴールデン枠の特番で第8弾まで放送された。新刊11月予定「信じてみたら、ダマされる。~元統一教会信者だから書けたマインドコントロールの手口」(清談社清談社Publico)

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