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過去の常識は通用しない。定年後の人生を豊かにする“定活”の進め方をお金のプロが伝授

人生100年時代とも言われる長寿社会にあって、多くの方が懸念事項として挙げるのが老後資金の問題。定年後の第二の人生を豊かに過ごすためには、どのような準備が必要となってくるのでしょうか。今回、すべての働く方に定年活動すなわち「定活」を勧めているのは、ファイナンシャルプランナーで『老後資金は貯めるな!』などの著書でも知られ、NEO企画代表として数々のベストセラーを手掛ける長尾義弘さん。長尾さんは記事中で「定活」の重要性を訴えるとともに、その具体的な方法をレクチャーしています。

プロフィール:長尾 義弘(ながお・よしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』『定年の教科書』(河出書房新社)、『60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)。共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

定年後の生活をしっかり自分で見つける方法~過去のロールモデルでは通用しない!

国民的アニメの「サザエさん」に登場する、サザエさんのお父さんの波平さんは54歳です。いまの54歳の人に比べれば、ずいぶん高齢のような感じを受けます。

しかし、この当時の昭和30年代というのは、定年退職が55歳、男性の平均寿命というのは、64~68歳ぐらいだったのです。

つまり退職間近で、退職後は隠居という感じの生活が10年くらい続くということです。

ところが現在、多くの会社では60歳定年制になっていて、再雇用ということで実質65歳まで働いています。男性の平均寿命は81歳なので、定年後の生活は16年以上ということになります。

いまや定年後の生活というのは、隠居ではありません。

つまり、自分の親たちの世代とは、まったく違う定年後の生活になっているのです。

いってみれば、過去のロールモデルが通用しない時代なのです。

では、これから定年を迎える人はどう考えればいいのか具体的に説明していきましょう。

2人の1人は70歳まで働いているのが現実

「定年退職」したとしても、仕事を完全に辞めてしまうという人はあまりいません。多くの人は定年後も仕事をしているというのが一般的です。

では、実際にどのくらいの人が、どのくらいまで働いているのでしょうか?

総務省の「労働力調査(2021年)」によると、男女平均の就業率は、60~64歳は71.5%、65~69歳は50.3%、70~74歳は32.6%、75歳以上は10.5%です。男性の就業率は、60~64歳は82.7%、65~69歳は60.4%、70~74歳は41.1%、75歳以上は16.1%です。

定年を迎えて、それで仕事が終わりという時代は終わり、実質は再雇用で65歳まで働くというのが、ほぼ一般的になっています。さらにこのデータでもわかるように、男性の約6割は70歳まで働いているのが現実です。さらにいうならば、75歳まで働いている人は、なんと4割もいるということです。

ご自分の周りを、少し見てください。職場でも再雇用の人が増えていると思います。さらには、コンビニで、高齢者の女性が働いていたり、ファミレスでも高齢者のバイトを見ることも少なくないはずです。また駐車場とか、工事現場での交通誘導員は、高齢者がとても多くなっています。

長く働くのは、経済的理由と生きがいのため

20代から60歳までの約40年間を働いてきて、70歳まで働くとしたらまだ10年間の就労期間があるということです。

「定年後の働き方」を考えるというのも、一昔前の世代では経験をしなかったことでしょう。

では、なぜ、そんなに長い間働くのでしょうか?

60歳以降も働く理由のトップは、経済的な理由です。老後資金が心配ということでしょう。その次が生きがいということになります。人のために役立つとか、社会との接点を持つというのは、いつまでも元気に過ごせる秘訣かも知れません。

定年以降の選択肢の広がる働き方ができる

さらに60歳以降も、10年、15年働くということなのですが、さすがに「そんなに働けるのか?」「そんなに長く働けない!」なんて思うかも知れません。

すると定年後の働き方というのは、どんなふうに考えればいいのでしょうか?

定年前のような働き方とは、ちょっと働く意味とか、働く内容などが変わってくると思います。

では、現役時代(定年前)とは何が違ってくるのでしょうか?

まず、65歳からは年金の支給があるので、収入が少なくても生活を維持できるようになるということです。いままで働いてきた分、厚生年金もあるので、ある程度の生活は年金だけでもできるようになっているので、あとはそれにプラスする分の収入があればいいのです。

多くの場合、再雇用などでは、給与が下がることが多いですし、年齢とともに収入は下がります。でも多くを稼ぐ必要はないので、現役時代のようにフルに働く必要がないので、週に何日かという働き方もできるようになります。その分、自分の時間を増やすことができます。

働き方の選択肢が広がるということです。

さらに、いままでは子どものため、家族のためということで、自分を犠牲にしながら働いてきたということもあります。ところが子どもが独立したのであれば、その必要はありません。今度は自分のために働くという選択肢ができるのです。

さらに、ずっと会社員として頑張ってきたという人は、組織のため会社のためという働き方をしてきたのではありませんか。

でも、それからも開放されているのです。自分の肩書きも捨てることになりますが、やはり自分のためという働き方の選択というのが重要になります。

第二の人生を豊かなものにするためにも「定活」は必要

働くというのは、なにも会社員である必要はありません。

フリーランスや自営業として、また起業するという働き方だってあるのです。自分は、何ができるのか?何がやりたかったのか?これから自分と社会の接点をどうやって作っていくのか?などなど、働きながら、自分の生きがいを見つけていくことが大切になってきます。

そう考えていくと「人生100年時代」。60歳定年としたら、残りは40年も残っているのです。ぜひ一度ここで、第二の人生の働き方、生き方を整理する必要があります。

定年前に、自分の人生を振り返ってそれまでの人生を振り返りながら、ノートなどに書き出して整理する必要があるのです。これが「定活(定年活動)」です。
この「定活」をすることで、第二の人生が豊かにうまくいくかどうかが決まってきます。

「定活」には、重要な三つの項目があります。「お金」「仕事」「生きがい」です。今回は仕事を中心に説明しましたが、この三つの項目をキチンと棚卸しすることがとても重要です。

先月発売しました私の近著「定年前後の手続きガイド2023年版」には「定活ノート」が付録として付いています。

定年前後の手続きガイド 2023年版 書き込み式「定活」ノート付き

プロフィール:長尾 義弘(ながお・よしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』『定年の教科書』(河出書房新社)、『60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)。共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

image by: Shutterstock.com

長尾 義弘

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