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抗議デモ参加者が行方不明。中国で加速する新たな弾圧と台湾侵攻

あまりに厳しいゼロコロナ政策への不満が爆発し、瞬く間に中国全土に広がった習近平政権に対する抗議デモ。中国政府は7日、その政策の大幅な緩和を発表しましたが、周辺各国は警戒を強める必要があるようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、ゼロコロナ政策の見直しが抗議デモに屈した結果であった場合、習近平氏が威厳回復のための行動を取りかねないとする記事を紹介。台湾侵攻を含め、大きな動乱が起こる可能性を指摘しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年12月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】「白紙革命」でゼロコロナ緩和の一方、加速する新たな弾圧と侵略

中国ゼロコロナ政策に抗議の「白紙革命」 政権批判、プロパガンダ成功が招いた皮肉

すでに多くのメディアが報じていますが、中国のゼロコロナ対策に反対して、中国全土で反政府デモが広がりました。

今回の反政府デモの背景には、ゼロコロナ政策で3年も行動を制限させられてきた人々の不満が爆発したことにあります。デモ参加者が「共産党は退陣せよ、習近平は退陣せよ」と、異例の政権批判を繰り返し叫んでいることも、これまでになかったことです。

人々が行動に出た直接的なきっかけは、新疆ウイグル自治区ウルムチ市の高層住宅で起きた火災だといわれています。

中国、住宅火災で10人死亡 新疆ウイグル自治区

この火災による死者は10名だと報道されていますが、「火災のあった高層住宅の周囲に(住民が外出できないように)柵が設置されているために消防車が近づけず、離れたところから放水している様子が捉えられており、実際には公式発表よりも多くの人が犠牲になったのではないかという声が高まっている」との報道もあります。

中国反政府デモの発火点、高層住宅火災で起こったゼロコロナの悲劇とは

今は、スマホから世界に発信できる時代です。人々は常に動画や画像を撮影し、それをスマホから世界に発信します。警察が、抗議する人々を捕まえてはスマホのアプリを消去させるというニュースもありますが、すべての中国人のスマホをチェックすることなど、警察が何人いても不可能でしょう。

今回のデモの特徴は、学生デモや労働者デモなど、一部の特定の人たちによるデモではないということです。ゼロコロナ政策で非人道的な扱いを受けている人々すべてが不満を限界まで募らせ、各地で爆発させています。

北京の習近平の母校である精華大学の学生たちも、反政府デモを行っていますが、一部報道によれば、学生たちは大型バスで故郷に帰されているとのことです。政府によるこのやり方は、1989年の天安門事件の時とよく似ているとの指摘もあります。

10日間で「白紙革命」を鎮圧せよ 習近平氏が恐れる悪夢

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今回のデモは、「白紙革命」とも呼ばれています。デモ参加者が白い紙を掲げて抗議の意を示したからですが、「『白紙』には、2つの意味があるという。1つは、政府批判の文言を掲げないことで、検閲や逮捕の対象になるのを避ける作戦。そしてもう1つは、そのことから『白紙』自体が言論の自由がないことの象徴となっているという。デモに参加した人は『白紙は、私たちが言いたいが言うことができないすべてを表している』と、話しているという」

“白い紙”掲げるワケ…「共産党 退陣!」「習近平 辞めろ!」中国で異例“抗議デモ”

それに呼応した東京の中国人たちは、新宿で白紙を持って「習近平辞めろ!」と叫んでいました。

【動画】新宿でも中国「ゼロコロナ」に抗議「習近平は辞めろ」

この波は、あっという間に世界中の中国人に広がりました。アメリカや台湾、ドイツなどでも白紙革命を支持し、中国政府を非難するデモが行われました。

アメリカに暮らす中国の“愛国世代” 彼らが見た「白紙革命」
白紙革命》德國柏林近200人聲援 中國大使館前喊要自由

じつは、当初は台湾などでは、このデモに対して冷ややかな見方をする人も少なくありませんでした。というのも、「大陸の中国人は香港で自由を求める人々の声を黙殺、または中国政府の弾圧を支持していたくせに」という思いもあったからです。

ただし、中国国内で厳しい言論統制が行われている現状、中国人が声を上げられなかったのも仕方ない部分もあるのかもしれません。台湾では改めて白紙革命を支持する動きが強まっています。

「白紙革命」を支持 台湾の人権団体、中国の強権統治非難

今回のデモの動きで異例なのは、浙江省政府が人々を擁護する発言をしたことです。以下、報道を引用します。

中国・浙江省政府が「一部地域のコロナ政策は『やりすぎだ』」と批判する異例の文書を発表しました。浙江省政府は29日、「人民が第一であり、コロナ対策が第一ではない」と題した文書を発表しました。

 

中国ではゼロコロナ政策に反発する一連の抗議活動は報道されていませんが、市民らの不満の声に反応をしたとみられます。

 

文書では「一部地域でコロナ対策の名目で権力を乱用し、大衆を苦しめている」とし、さらに「新型コロナだけが病気で、他の病気はどうでもいいという暗黙の了解さえある」と踏み込んだ表現で批判しています。

 

一方で「中国は他国に比べて高齢者の死亡者が少ない」などとゼロコロナ政策の正当性も主張しています。文書は「心を一つにすれば近い将来、平安が訪れる」と結ばれています。

ゼロコロナ「やりすぎ」地方政府が異例の文書 中国

天安門事件が、鄧小平と共産党内部の権力闘争に利用されたように、今回のデモを政治闘争に利用しようとする者がいるのかもしれませんが、習近平の求心力は大きく低下しました。

重慶発と言われているコロナは、世界中を回りまわって、最後に再び中国に戻って、共産党政府を揺さぶっているというわけです。

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アメリカはさっそく次のような声明を出しています。

人々が集会を開き、問題のある政策や法律に対して平和的に抗議する権利は認められるべきだ。ホワイトハウスは平和的な抗議の権利を支持する。

アメリカ政府「平和的な抗議の権利を支持」 中国ゼロコロナ政策へのデモに

中国政府は、抗議デモがさらに全国に広がることを懸念して、一部の地域ではゼロコロナを緩和するところも出てきました。

もちろん中国共産党ですから、宥和政策だけではなく、デモ参加者の逮捕や拘束などの弾圧も進めています。たとえば、ウイグルでの火災事故に対して11月26日に白紙を掲げて抗議した南京傳媒学院の女学生・李康夢氏は現在行方不明となっており、警察に連行された疑いが強まっています。

「白紙革命」第一人 南京女大生李康夢傳被捕失聯

ニューヨーク・タイムズ紙によると、中国の警察は顔認識、携帯電話のメッセージ、情報提供者の報告、さらには携帯電話のメッセージを取得する機器などを利用して、デモ参加者を特定し、二度と集会に参加しないように警告しているとのことです。今後も、デモ参加者が逮捕・拘束される可能性が少なくありません。

【関連】デモ参加の翌日、警察が自宅に。完璧に構築された中国監視システム

民主化や自由を求めて反政府の声を上げた人々の末路といえば、08憲章を発表したことで逮捕され、獄中でノーベル平和賞を受賞し、そのまま獄死した人権活動家の劉暁波氏が思い起こされます。

とくに、12月10日は「世界人権デー」です。そこに照準を合わせて、中国政府はこの混乱を一気に沈静化させる狙いがあるのだと思われます。

ただ、今回のデモは決して一過性のものではないことも確かです。というのも、自由を制限される不満が中国人民の心に鬱積しており、ちょっとしたきっかけで爆発する可能性があるということを証明したからです。

天安門事件の学生指導者だった王丹氏は、今回のゼロコロナ政策の緩和が、白紙革命に屈したことで成し遂げられたということならば、習近平は自らの権威を立て直すために、他の標的を探すことになるが、それが「台湾」である可能性が高いと警告しています。

防疫讓歩後習近平恐找尋「鬥爭新目標」 王丹:台灣應警覺

いずれにせよ、ゼロコロナ政策の緩和で中国国内が落ち着くのではなく、むしろ大きな動乱がこれから始まる可能性が高いということであり、周辺諸国は大いに警戒しなくてはならないのです。

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