デモ参加の翌日、警察が自宅に。完璧に構築された中国監視システム

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2億台ものカメラが街のあらゆる場所に設置され、完璧に近い監視システムが構築されている中国。そんな社会の「刃」が、ここに来て一般市民に向けられる事態となっています。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、北京での抗議デモ参加者の身に起きた恐怖体験を、米有力紙オンライン版記事を引く形で紹介。さらにこの問題は中国に限ったこととは言い切れないとし、テクノロジーの進化を享受するすべての人間に対して警鐘を鳴らしています。

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中国政府の国民統制はジョージ・オーウェル『1984年』の世界そのもの

「ゼロコロナ」政策を推進してきた中国。行動制限やロックダウン(都市封鎖)などへの抗議活動が各地に広がっています。

政府は不満を沈静化させようとして、規制を徐々に解除しています。広州市は複数の地区で封鎖を解き、外食禁止を解除しました。

北京市当局もこれまで全市民に事実上義務づけてきた数日ごとのPCR検査について、長期間外出しない高齢者や幼児などは免除すると通知しています。

民衆の不満を考えて妥協しているようにみえる中国政府ですが、その一方で抗議活動への封じ込めには、最先端技術を使って弾圧しています。

以下、ニューヨークタイムズのオンライン版12月3日の記事抜粋です。

中国の警察が電話機と顔写真を使って抗議者を追跡した方法

 

中国当局は、週末に行われた抗議デモの後、全方位を見渡せる監視装置を使って、抗議する大胆な人々を見つけようとしています。

 

日曜日、北京で中国の厳しい共産主義政策に抗議に行ったとき、張さんは発見されないように準備して来たつもりだった。

 

顔には目出し帽をかぶり、ゴーグルをつけていた。私服警官に尾行されそうになると、藪の中に潜り込み、新しい上着に着替えた。

 

その夜、20代の張さんは逮捕されずに帰宅し、事なきを得たと思った。

 

しかし、翌日、警察から電話があった。

 

彼の携帯電話がデモのあった場所にあったことが探知されたので、彼が外出していたことがわかった、という。

 

その20分後、彼は住所を伝えていなかったにもかかわらず、3人の警官が彼のドアをノックした。

 

今週、中国全土の抗議者たちから同様の話が聞かれた。

 

警察は、顔認識や携帯電話、情報提供者を使って、デモに参加した人々を特定してきた。

 

通常、彼らは追跡した人に二度と抗議しないことを誓わせる。

 

デモ参加者は、追跡されることに慣れていないことが多く、どのようにして自分たちが見つかったのか、困惑の表情を浮かべている。

 

さらなる反響を恐れて、多くの人が、抗議活動の調整や海外への画像拡散に使われていたテレグラムのような外国のアプリを削除している。

 

中国の警察は、世界で最も洗練された監視システムを構築している。街角やビルの入り口には数百万台のカメラが設置されている。

 

強力な顔認識ソフトウェアを購入し、地元市民を識別するようプログラムしている。特殊なソフトウェアが、拾い集めたデータや画像を解析している。

 

監視システムの構築は秘密ではないが、中国の多くの人々にとって、監視システムは遠い存在に感じられていた。

 

「何も悪いことをしていないのなら、隠すことはない」という考えのもと、多くの人がこのシステムを支持してきた。

 

先週行われた取調べは、その考えを揺るがすものかもしれない。中国の最も裕福な都市に住む多数の中産階級に、監視国家が正面から向けられたのは初めてのことだ。

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