世界3大投資家の一人で、「投資の神様」とも言われるウォーレン・バフェット。10代の頃からお金儲けが大好きだったウォーレンの投資の歴史をたどった一冊を、今回のメルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』で紹介しています。投資の「元手」となる最初の1億ドルを幼いウォーレンは何をして稼いだのでしょうか?
【一日一冊】ウォーレン・バフェットはこうして最初の1億ドルを稼いだ
グレン・アーノルド 著 岩本正明 訳)/ダイヤモンド社
ビル・ゲイツ財団に400億ドル(5兆円)以上寄付したという投資の神様、ウォーレン・バフェットの投資の歴史をたどります。
さて、質問です。10代のウォーレン・バフェットが取り組んだ金儲けは、次の中のどれでしょうか?
・新聞配達
・ゴルフボールを拾って販売
・ピンボールマシンのレンタル
・古いロールスロイスをレンタル
答えは、上記すべてです!子ども時代のウォーレン・バフェットは金儲けが大好きな少年だったのです。
大学生になったバフェットは、ベンジャミン・グレアムの著作『賢明なる投資家』を読んでバリュー投資という考え方に感動し、グレアムから直接授業を受けています。そしてグレアムの会社で2年間仕事をして、グレアムの引退を機に、25歳のバフェットは独立するのです。
バフェットがグレアムのもとで働き始めて2年ほど経ったころ、グレアムは引退した。そしてバフェットも職を失うことになる(p68)
面白いのは、投資の神様ウォーレン・バフェットであっても間違いを犯し、苦労しているということです。
例えば、風車を販売しているデンプスター・ミルの株式過半数を購入したときは、赤字の会社のリストラを断行し、地元住民の反発をうけました。最終的には地元住民に事業資産を売却し、投資資金を3倍にしましたが、地元住民や従業員から憎まれることに恐怖を覚えたというのです。
また、現在投資会社となっているバークシャー・ハサウェイを買収した理由は、オーナーがバフェットと相談し、約束した買取価格11.5ドルに対し、11.375ドルで買い取ると発表したからです。約束を守らなかったオーナーに対し怒りを感じたバフェットは売却を中止し、バークシャー・ハサウェイを買収することにしたのです。
結局、感情的な理由で業績の悪いバークシャー・ハサウェイに投資することになったバフェットは同社のリストラを進め、浮いた資金を投資していくことで、投資会社として発展させてきたのです。
驚くべきことは、これらの失敗が致命傷にならなかっただけでなく、失敗を反省して同じようなことが起こらないように修正しているところでしょう。投資スタイルも運用する資産が大きくなったこともありますが、グレアムのバリュー投資から、その企業の将来性を総合的に勘案して投資するようになっています。
普通の会社を非常に魅力的な価格で買うよりも、非常に魅力的な会社を普通の価格で買ったほうが何倍もいい(p148)
この本を読んでわかるのは、神様ウォーレン・バフェットであっても短期的なマーケットの動きを予想することはできないということです。マーケットは多くの参加者の人気投票であり、よく間違うのです。それでも3年、5年、10年というスパンで見れば、株価が本来の価値に近づいていくだろうということは間違いないのです。
だからウォーレン・バフェットであっても詳細な分析を行っているし、確実に間違いないという確信を持てるまで投資していません。そして、一度投資したら、間違ったと思わなければ、いつまでも持ち続けるのです。
最近、ウォーレン・バフェットは日本の主要商社の株式を買い増し、6%以上保有しているという。日本の商社の経営を評価しているのは当然のことですが、過度な円安が購入のチャンスであり、安すぎる日本円が調整されることも織り込んでいるのでしょう。
ウォーレン・バフェット本としては読みやすい本でしたので、★4としました。アーノルドさん、良い本をありがとうございました。
【私の評価】★★★★☆(85点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
★★★☆☆(読むべき一冊です)
★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
☆☆☆☆☆(こういう本は掲載しません)
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