一生に何回もあるわけではない大きな買い物といえば不動産。そして、それを売ることも、何回も機会があるわけではありませんよね。だからこそ、後悔はしたくないと思いませんか? 今回、メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』の著者、本のソムリエさんが紹介するのは、プロが家の売り方を詳しく教えてくれる一冊です。
【一日一冊】絶対に後悔しない家の売り方
齋藤智明 著/秀和システム
高齢化が進む中で、親や自分の持っている不動産を売りたい!処分したい!という人は多いのではないでしょうか。本のソムリエの両親は元気ですが、あと30年もすれば、そうした問題が顕在化してくるはずです。
この本では、タイトルどおり不動産を売るときに注意すべき点を教えてくれます。
まず、基本的なことですが、不動産を売るならまず声をかけるのはお隣の不動産を持っている人です。隣接地であれば、駐車場として使えるかもしれないし、マンションを建てるなら土地は広い方が有利だからです。
そして売値については、その土地の相場観を持つことが絶対条件です。相場観を持つためには、駅前の不動産屋の店頭広告を眺めるだけで十分だという。仮に徒歩圏内に不動産屋がないなら、近くの不動産屋に直接電話して相場を聞いてもよいとのことです。
戸建てや土地の場合、買主として最初に声をかけるべき相手はお隣さんです。不動産には「隣の土地は借金してでも買え」という格言がある(p20)
次に実際に不動産を売ろうとするなら、いい営業マンのいる不動産屋に売却依頼しなくてはなりません。では、どうやっていい不動産屋を見分ければよいのでしょうか。
そのポイントは、不動産屋の店頭広告が情報が常に入れ替わっているかどうかです。仮に同じ格安物件がずっと貼り出してあるところは、物件に問題があるか、「おとり広告」の可能性があります。店頭の情報を常に入れ替えている不動産屋は誠実であり、管理がしっかりしていると考えられるのです。
また店頭広告を観察するなかで、不動産屋の社員や事務所の雰囲気、整理整頓・掃除などの管理方法を見ていれば、その不動産屋がどういった会社なのか感じられるはずです。
こうして信頼できそうな不動産屋を決めたら、一社だけに依頼する「専任媒介」で依頼することを著者はオススメしています。「専任媒介」にするのは、複数の不動産屋に依頼する「一般媒介」では、不動産屋にやる気がでないからです。
「専任媒介」とすれば、不動産屋は、家を高く売ることで手数料が増えるわけで、売主と不動産屋の利害が一致し、前向きに不動産を売ろうとしてくれるのです。
誠実で、お客様第一主義の営業マンは「ブレーキが踏める」…「この不動産は売らないほうがいいですよ」と言える営業マン(p96)
不動産屋は手数料商売ですので、ノルマに負われる厳しい商売です。そのためノルマ達成のために、「3,200万円で売れます」と断言する営業マンも少なくないという。その一方で、「この不動産は売らないで別の方法もあります」と売主ファーストで提案してくれる不動産屋もいるという。
そうしたよい不動産屋に出会えるかどうかは運かもしれませんが、不動産の相場観を持って騙されないように準備し、不動産屋を見極める目を持つことは運ではないと思いました。
基本的な内容でしたので、仮に不動産を売る可能性があるのであれば、これくらいの知識は持っておきたいものです。
齋藤さん、良い本をありがとうございました。
【私の評価】★★★★☆(80点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
★★★☆☆(読むべき一冊です)
★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
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