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“殺人未遂いじめ”を6年間も放置。NHK報道を受けた和歌山県海南市の信じ難い公式コメント

これまでニ度に渡りお伝えしてきた、和歌山県海南市立小学校で発生した「重大事態いじめ」を巡る学校と同市教育委員会の言語道断ともいうべき姿勢。しかしここに来て、海南市側がまたも許しがたい暴挙に出たようです。今回のメルマガ『伝説の探偵』では、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、同市がHPに掲載した明らかに事実と異なる内容の文書を紹介。さらに国や県に対して、適切かつすみやかな対応を強く求めています。

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懲りない教育委。和歌山県海南市いじめ放置事件のNHK報道を受けた市の信じ難い公式コメント

昨年9月に「伝説の探偵」で連続して取り上げた「海南市いじめ放置事件」。

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いじめの内容はまさに壮絶、息継ぎもできぬほど暴力が続き、恐怖で支配される中、増水して超危険な用水路を飛べと強要されるなど、生命の危機があったとも言えるいじめの数々の被害を被害児童は受けている。

地元の保護者が代わる代わる車で送迎していたということもあり、公然の事実として、いじめが存在していたのだ。

さらに、教員による授業妨害、学校によるいじめの隠ぺい、市の教育委員会によるいじめの隠ぺいと、文科省などからも「適切ではない」と評され、専門家からも「適法な対応ではない」と評される状態であるにもかかわらず、未だに頑としていじめの対応をしないのだ。

NHKでは4年放置とされたが

2023年1月になってから、先行で報じたのは、地元のNHKであった。

彼らの取材を受けていることは2022年中から、私は被害保護者さんから聞いていたが、年始の一発目から地元では大きな反響があったようだった。

さすが、NHKである。

その記事で、小学2年生からいわゆる第三者委員会を設置するように求めていて現在6年生であることから、「4年放置」と見出しが出たわけだが、いじめ放置の状態の期間を考えれば、ほぼ6年放置していたことになる。

こうした放置は現在全国的に報じられているが、4年以上も放置した事例はほぼ皆無と言える。ここまでくれば、法に欠陥があるのではないか?という議論も飛び出してきてもおかしくはないだろう。

さらにいえば、日本が国として批准している「子どもの権利条約」として、いじめ被害者であるこどもの権利を寧ろ攻撃している教育委員会、つまりは独立した行政機関が存在していることも意味しており、これが明らかになっても、未だに何のお咎めもないという散々たる問題も孕んでいるといえるだろう。

一方で、未だに加害についての教育指導を受けていない加害児童については、いじめ予防としての教育の機会の損失を、大人の保身のために被っている状態である。

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NHKに続き、新聞各社、他局も取材に

NHKに続き、他局も続々と取材に動いている。その中で、「実は他にも不登校になっていたり転校している子がいますよね」「他の学年で学級崩壊が起きているの知ってましたか?」などの話まで出ているが、この学校も海南市教育委員会も自らの過ちを省みることはないようだ。

例えば、冒頭に取り上げているまぐまぐニュースで最も反響があった「担任教員が廊下と教室の間を張り紙で塞ぎ、いじめによる被害で教室に入れないけれど、それも授業を受けたいと勇気を振り絞り不当だと思いながらも廊下から授業を受けている被害児童」について、校長はすぐに謝罪して取り下げたというが、実際は全く違う。

Aさんとガラスに紙を貼られてその隙間から授業を受ける様子=Aさん家族提供

代理人弁護士が抗議をすると、校長はこう言ったそうだ。

「学校の運営に口出しするな」

「担任の自由な学校運営(である)」

海南市教育委員会の担当は、今回のいじめ放置問題で提出されている医療機関からの「診断書」に信ぴょう性の問題があると主張するが、いずれも「校医でもある医師、県の施設の医師、兵庫県の施設でもありPTSD専門機関」である。

こどもへの聞き取りを保護者が拒否しているというが、被害児童が3年生当時に聞き取りには応じているし、4~6年生の間、被害児童本人がいじめアンケートに「いじめあり」と回答し、調査を求めているが、調査をした形跡すらないである。

ちなみ、確認する限りであるが、およそ1年分の資料がゴッソリないのだ。紛失や破棄ではなく、資料などは作っていないといういわゆる不作為の状態であった。

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懲りない実態

そして、2023年1月9日、私は今年初の開いた口が塞がらないという光景を目にする。

海南市HPより


今回のいじめにかかる報道について

 

令和5年1月3日の報道をはじめ、マスコミ各社から標記の件についての報道があり、市民の皆様にご心配をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。

 

さて、報道では、教育委員会が、いじめに係る調査等を何もせず放置しているようにも読める記載がありますが、教育委員会は、当初から何回もいじめ調査を行い、事実確認を行っています。

 

また、教育委員会としては、今日まで、いじめ被害を訴えている児童保護者からの要望にも配慮のうえ対応しており、今後も当該児童が健全な学校生活を送り、成長することができるよう、できるかぎりの対応を継続して行ってまいります。

 

この記事に関するお問い合わせ先

 

教育委員会 学校教育課

郵便番号:649-0121

海南市下津町丸田217番地1

電話:073-492-3348

メール送信:gakko@city.kainan.lg.jp

今回のいじめにかかる報道について

組織として機能不全、後日、本人からも保護者からもコメントが出るはずだが、今言えることは、「開いた口が塞がらない」ここまで腐っているとは、教育機関としてそのあり方すら問題になるのではないかということだ。

被害児童は、あまりの配慮のない学校と海南市教育委員会の対応に深く傷ついており、登校するのは学校の配慮ではなく、本人の努力と保護者の努力以外のなにものでもない。

むしろ学校は、これを妨害するばかりなのだ。例えば、被害児童の保護者は、車で被害児童を送り、近くで待機するために駐車場を借りているが、こうした対応をするなと学校は被害保護者に禁止を伝えているなどしている。

まだまだ掘れば掘るほど出てくる妨害や隠ぺいの数々。

そして全国的に似たような事例が次々と出てくる状態、まさに2023年「異次元の教育問題」に「異次元教育委員会」がどう向き合うのか!そして、これまで無視し続けてきた「異次元の」地元議会と、絶対にやらん!と発したという異次元市長が、人気取りのためにこれを利用するのか?

しっかりと見ていきたいと思う。

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編集後記

予定していた静岡県湖西市のいじめ事件の第二弾は、取材回答がないこととお正月を挟んでということなので、次回に予定しまして、今回は海南市の対応について取り上げました。

ほんと、どうしようもねぇーな。なんですが(江戸っ子のため本音が江戸っ子言葉)。

文科省、こども家庭庁さん、これなんとかしてくれよっ!!って思うし、和歌山県知事さん!和歌山県教育委員会さん、もう出番じゃないか!と思います。

そして、文教族で、いじめ問題をやっている国会議員の皆さん、これ、もう法改正しないと、次々起きるんじゃないのか?と思うわけです。それこそ、異次元の委員会でも開いて、話し合ってください。(異次元の○○というのが、私のツボに入ってます。笑)。

現場はもういっぱいいっぱいどころではありません。そもそも私もいじめ問題に介入しているNPO法人ユース・ガーディアンも交通費を含めて無償での対応です。そして、自慢じゃない(むしろ恥じています)が、誰一人給与を頂いたことすらありません。

我々を真似て無償と謳い、実際は報酬を取る団体もありますが、私共はサイアク、自腹を切って手弁当で対応することもあります。これ、単純に志のみが原動力です。

そうした意味で1つ、為政者である方には一言言いたい。

できない理由を探す時間があったら、四の五言わずに、今救いの手を求めている被害者の手を取ってくれ、と思うわけです。

大手メディアが取り上げて、ここまで酷いとわかってきて、それでも、市のホームページでちゃんとやっていますと嘘をつく市の教育委員会…、それでも、いいのか、日本の教育。

ここまでくれば、海南市教育委員会の問題から超え、海南市自体の自治体としての発信の問題です。こんな暴走、前代未聞ですよ。

付け加えれば、別件になりますが「高知県小学生水難事故」高知県南国市教育委員会、お前らに時間という概念はあるのか???もう2年半以上、第三者委員会をやると言って放置しているが、これ自体がニュースだぞっと…。

と言いたいことは山ほどありますが、今日はこの辺で。

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image by: 海南市役所 - Home | Facebook

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社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
まぐまぐよりメルマガ(有料)を発行するにあたり、その1部を本誌でレポートする社会貢献活動に利用する社会貢献型メルマガ。

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