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ボッタクリ賃貸の末路?不動産業者がスプレー缶を爆発させがちなワケ

飲食関係以外で「スプレー缶を爆発させがちな業種」ナンバーワン?そんな悪しきイメージが、16日の東京・六本木のビル爆発火災で不動産業界に定着しつつある。毎度、従業員が廃棄処理に追われているイメージがある大量の「スプレー缶」は、いったいどこからやってきたのか?

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「スプレー缶」と不動産屋の危ない関係

東京・六本木の6階建てビルで16日、爆発火災が発生し3人がケガを負う事故が発生した。火元は同ビルに入居する不動産業者で、従業員が室内で「スプレー缶」に穴を開けてガスを抜く作業をしていたところ引火したとみられる。

不動産業者と「スプレー缶」といえば、今から4年前の2018年12月、北海道札幌市で発生した爆発火災が記憶に新しい。

この事故では、木造雑居ビルに入居していた「アパマンショップ」が、隣接する居酒屋などを巻き込んで跡形もなく消し飛び、奇跡的に死者は出なかったものの計52人が負傷。従業員は店内で「スプレー缶」を噴射して空にする作業をしていた。

東京消防庁は、「スプレー缶取扱いの注意点」の中で、中身を噴射させて缶を空にする場合は必ず「火気のない通気性の良い屋外」で作業するよう呼びかけている。

また、スプレー缶の具体的な廃棄方法は地域によってルールが異なるが、札幌のアパマンショップ爆発火災以降は、缶の「穴開け」は不要、もしくは禁止とする自治体が主流だ。

今回、換気の悪い室内でスプレー缶を処理しようとしたのは危険極まりない行為だが、そもそもなぜ不動産業者は、従業員が業務時間中に処理に追われるほど大量の「スプレー缶」を抱えているのだろうか?

爆発火災は「消毒・除菌代」ボッタクリの末路か

六本木の出火原因になった「スプレー缶」の詳細は明らかになっていないが、不動産業者が大量に扱う「スプレー缶」として最も可能性が高いのは、物件入居前の「消毒殺菌」や「消臭除菌」に使用する噴射型スプレー製品だ。

実際、札幌のアパマンショップ事故では、未使用の消臭除菌スプレー缶が爆発火災の原因になったことが警察の捜査で明らかになり、大きな批判を浴びた。

「賃貸物件を契約する際に『消毒・除菌代3万円+税』といった費用を請求されることがありますが、実はこれが不動産仲介・管理業者の貴重な収入源になっています。高額なだけに、確かな技術を持った専門業者が丁寧に施工しているイメージがありますが、実際にはシロウト従業員がスプレーをセットしておわり、ということはザラなんですよ」(元不動産情報誌編集者)

ある「全量噴射型消臭・除菌スプレー」の1本あたりのコストは1000円台だという。個人で使用するぶんには便利な製品かもしれないが、不動産仲介・管理業者が「消毒・除菌代」といった仰仰しい名目で数万円を請求するのは、人件費を考慮しても“ボッタクリ”の感が否めない。

爆発しないだけマシか?「鍵交換費用」の闇

同編集者はさらに続ける。

「スプレー缶と違って爆発しないぶんだけマシですが、たとえば『鍵交換費用』も不透明な項目のひとつですね。現在最も普及しているディンプルキーは、シリンダー部分を含めて規格化されているので、自社が管理する複数の空室物件同士で『交換』が効く。この場合、新しい鍵を購入する必要すらなく、作業もごく短時間で終わります」(前同)

賃貸物件の原状回復ガイドライン制定や民法改正など規制強化が進んだことで、入居者が退去する際の“ボッタクリ”は難しくなった。 近年では、敷金・礼金なしのいわゆる「ゼロゼロ物件」も珍しくないが、不動産屋はこういったところで細かく“利ざや”を稼いでいるわけだ。

これらは経営上、やむを得ない面もあるだろうが、わずかな利益を求めるあまり、自社の店舗や事務所を爆発炎上させてしまっては本末転倒だ。

不動産業界はそろそろ“ボッタクリ”体質をあらため、「消毒・除菌代」や「スプレー缶」の処理を透明化するべき時期に差し掛かっているのかもしれない。

image by: shutterstock.com

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