東京・新橋にある一軒の居酒屋では、高校の「同窓会」が毎日のように開かれています。そんなに同窓会ってあるの?と疑問を抱くでしょうが、その方法を聞いて納得。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、 その居酒屋に人々が集まる理由を紹介しています。
出身校の仲間に出逢える居酒屋。「寄せ書きノート」に誘われて
最大公約数的サラリーマンの聖地、東京都港区新橋。オフィス街であり、飲み屋街でもあります。
夜になれば、「サラリーマンと言えば……」というイメージの人たちが次々に姿を現し、飲み屋さんに吸い込まれていきます。
その中のひとつ、「有薫酒蔵(ゆうくんさかぐら)」。九州の郷土料理とお酒を提供するお店です。
このお店の特徴は、毎日“同窓会”が開かれていることです。
幹事のいる正式なものではなく、自然と同じ出身校の人たちが集まって来るのです。
なぜ、そんなことが起きるのでしょうか。
それは、このお店に一風変わった仕掛けがあるからです。
「寄せ書きノート」。
学校別のノートがあり、自分の出身校のノートを見たり、書き込んだりできるようになっています。
そのノートには、学校に関すること、先生のこと、同級生のことなどが書かれており、青春の想い出が蘇ったり、懐かしい人の現在を知ることもできます。
自分のことを書き込んでおけば、誰かが発見して、繋がりが復活するかもしれません。
仕事や人生に疲れているサラリーマンにとって、若き日の記憶は、ひとときの癒しにもなります。
母校のノートを肴にお酒を飲めば、楽しい時間が過ごせます。
「寄せ書きノート」の始まりは、ひとりのお客さま。
福岡県出身で、頻繁にやって来ては、同郷の人がいれば、いろんな話をしていました。
九州弁でしゃべり、話題も豊富で面白く、その人のファンもできるようになっていました。
そこで、話をしたい人が増え過ぎたために、ノートに書いて、やりとりするようになったのです。
その人が来ていなくても、楽しい時間が共有できるようにしたのです。
主に同じ高校の人が多かったため、「高校のノート」となっていきました。
このことがキッカケとなり、全国の高校別のノートもでき、寄せ書きの輪が広がっていったのです。
このノートが話題になると、自分の高校のものがあるかもしれないとやって来る、新規のお客さまも増えていきました。
やがて、「寄せ書きノートのあるお店」として、知られるように。
高校は、全国で約5,300校ありますが、このお店にあるノートは、約3,400校分。全国の6割をカバーしています。
これは、何も意味するのか。
常連さん及び見込み客の多さを表しています。
「おの店に行けば、想い出と再会できる」
「会ったことのない先輩・後輩と出逢える」
まさに、同窓会です。
青春の想い出で一杯飲りたい人はたくさんいます。
かなり高い集客力となっているのではないでしょうか。
予約しなければ入りづらい状況となっています。
このお店は地下街の奥の奥にあるのですが、お客さまの絶えない繁盛店なのです。
他にはない特色があれば、不利な立地条件でも、お客さまは来てくれるということです。
今後もノートは増え続けるでしょう。そして、お客さまにも愛され続けることでしょう。
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