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現役市長「大暴走」の異常事態。静岡県湖西市いじめ事件の被害児童保護者をSNSでブロックした証拠画像

先日掲載の「学校は隠ぺい、校長が妨害。静岡県湖西市市立中いじめ事件の信じがたい事実」でお伝えするや、たちまち大きな反響を呼んだ教育現場のいじめに対する呆れた反応。しかしその首長の対応も、彼らに引けを取らないほど酷いものだったようです。今回のメルマガ『伝説の探偵』では、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、湖西市の市長がいじめ被害者家族に取った仕打ちを画像とともに紹介。さらに当案件に関して文科省が開示した資料に対し、いじめ解決の最前線に立つ人間として抱かざるを得なかった感情を吐露しています。

【関連】学校は隠ぺい、校長が妨害。静岡県湖西市市立中いじめ事件の信じがたい事実

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助けを求めた、いじめ被害児童の保護者を市長がSNSでブロック。静岡県湖西市市立中いじめ事件続報

前々回取り上げた、静岡県湖西市でいじめの第三者委員会が設置されている事件の続報。

【前々回の記事】学校は隠ぺい、校長が妨害。静岡県湖西市市立中いじめ事件の信じがたい事実

校長の暴走ぶりは、どうなっているんだ!と多くの反響があった。

しかし、暴走は校長にはとどまらない。

この校長は、いじめ発生の令和元年のみならず令和3年にも書面で、「いじめはなかった」と残しているが、現実にいじめはあったわけで、こうした対応がより深刻な二次被害になってしまったことは否めない。

にもかかわらず、この校長は、その後、保護司や委嘱事業の委員など退職後もしっかりと、こども関連事業に携わっている。

こうしたことは他の地域でもよくあるが、問題を起こした校長が次の人事でなぜか出世したり、天下り先にしっかりと着任してしまう。隠蔽をしても嘘の報告書を書いても、何のお咎めもない、無法地帯とはまさにこのことだろう。

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助けを求めるいじめ保護者に市長はブロック

湖西市では市長は再任し、湖西市のために働くと誓っているそうだが、湖西市民がいじめの被害となり、校長や学校が隠ぺいをして、いじめ重大事態となるこの件について、当初はこのような見解を示したのだ。

被害側と市長のやり取り~スクリーンショット

「こんにちは。学校や教育委員会は丁寧に対応していると認識しています」

していたら、市長に直接直訴しない。これは、被害保護者が市長のSNSに直接質問した答えだ。

話をさせて欲しい。助けて欲しいと懇願する被害保護者に、市長はこう返したのだ。

被害側と市長のやり取り~スクリーンショット、上:被害保護者、下:市長の回答)

「…ブロックさせて頂きますのでご承知おきください」

話しにならん。この市長が子育てや教育事業の重要課題と言える「いじめ防止」を語ったら、どうも胡散臭く聞こえてしまうほど、あまりに冷たい対応だと言えるだろう。

日本の首長はあまり「いじめ防止対策推進法」を知らない。いや、読んでいるかもしれないが、自らの役割や立場、権限や機能を踏まえるまでの理解がない。
だから、よく理解し動く首長と、読みもせず全く動かない首長、なんとなくうまくいってそうな仕組みだけパクってみようとする首長では、いじめ対策の成果が大きく異なるのだ。

いじめ防止対策推進法には他の法令と同様にその成立までの経緯があり、その目的は、第1条に一番大切なことだから、規定されている。

(目的)
第一条 この法律は、いじめが、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであることに鑑み、児童等の尊厳を保持するため、いじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策に関し、基本理念を定め、国及び地方 公共団体等の責務を明らかにし、並びにいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針の策定について定めるとともに、いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。

本件において、被害者は学習における支援という支援は全く受けていない。

そして、いじめ防止対策推進法は、被害者を支援し保護する目的が目的に書かれているわけだ。この市長のやり取りでは、さも被害者が大騒ぎしているだけのような印象ではないか。

そうでなければ、令和元年のいじめが、おおよそ3年後の2021年11月に第三者委員会を発足した説明はつきづらいだろう。つまり、行政側の体制にも大きな瑕疵があると言わざるを得ないのだ。

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文科省は真っ黒開示回答

一方、令和元年湖西市重大事態いじめ事件においては、文科省もその指導として入っている。適正に法に則り対応してくださいという指導はいい。やれることはやってくれていると言えるが、その開示資料は、真っ黒塗だ。

文科省の記録開示回答の一部

いじめ防止対策推進法が実施されるまでには、与野党の超党派国会議員による会議が行われていた。その中では当然に、「被害者側の知る権利」にも言及があり、最大限の配慮が約束されていたはずなのだ。

まさにその旗振り役で、各自治体の教育機関にその見本を示すべき文科省が、真っ黒のり弁開示であったことは、極めて残念でならない。

ただ1つわかったことと言えば、本件には極めて評判が悪い支援団体が介入していたということで、文科省と教育委員会の会議に参加していたとその団体の長は被害保護者に話していたが、参加者の記録にはないことから、何もしていないということだけが分かった。

第三者委員会が終わったらマスコミコメントはぜひ自分に!とその団体の長は言い残していたそうだが、目的は目立つことであったのだろうか…。これも残念としか言いようがない。

第三者委員会の課題

第三者委員会設置におよそ3年、その間、保護者と被害者本人は被害に苦しみながら、思いつく限りに最大限に被害から抜け出す方法を模索し、必死に動いたわけである。

その救済に誰が動いたのだろうか、誰が助けたのだろうか。

被害者は望んで被害者になったわけではない。加害者の選択のみによって、甚大な被害を被ったのである。

法もある、役割もある、権限権能もある中で、その役割が果たされていたのかも含め、第三者委員会には、時間をかけた分、しっかりとした調査と検証、専門家としての分析をしてもらいたいところである。

被害側に指摘されて調査対象漏れや不十分なところを補填しているようだが…(汗)、次掲載では、被害側から直接の声を届けたい。

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編集後記

今、すごい市長とか区長とか呼ばれている首長は、SNSをやるならば、それこそ丁寧な対話をしています。できないなら、DMなどは開けなければいいわけです。

いじめ問題は、社会問題になっていますが、具体的にその対策を自治体でやっているところは指で数えられるほどしかありません。

成果を上げているところと言えば、どうでしょう。もっと少ないと言えます。

今回湖西市の市長さんは一方の意見のみでは判断できないという話をメディアの取材で答えていますが、すでに市教委から話を聞いているわけですから、では、もう一方の被害者からの話はシャットアウトしているわけですから、話の筋が通らないと思います。

そもそも、市の教育委員会担当者は、窓口にもなり得る立場にもかかわらず、第三者委員会の調査対象であることを理由に、必要な回答を被害側に答えていません。

国立教育政策研究所など、各機関の調査や統計によると、いじめの被害経験や加害経験は、およそ9割のこどもがあると回答しています。つまり、こども政策にとっては、ゼロいじめなのか、withいじめなのかはわかりませんが、成果を期待できるいじめ対策や予防の運用は不可欠だと言えます。

私は現場にいて、様々な自治体や教育委員会などに当たりますが、あまりの感度の低さに辟易としています。

毎回思うのは、なんでここにきて「いじめ防止対策推進法の解説をしなきゃいけないんだ!」です。

その窓口に座るなら、相談する側からすれば専門部署です。もっと勉強してほしいです。

でもね、いじめ対策推進法って公布は2013年なんですよね…いつになったら、解説しなくていいことになるやら…。

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image by: 湖西市長 影山剛士 - Home | Facebook

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社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
まぐまぐよりメルマガ(有料)を発行するにあたり、その1部を本誌でレポートする社会貢献活動に利用する社会貢献型メルマガ。

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