誰もが喉から手が出るほど欲しい「売れるアイデア」を一冊にまとめた本が注目を集めています。今回、メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』で土井英司さんが紹介するのは、定価2万円以上の価格ですがそれ以上の価値があると語る『10億アイデアのつくり方』という名の一冊です。
累計7兆円稼いだアイデア発想法⇒『10億アイデアのつくり方』
梅澤大輔・著 橋本陽輔・監修 日本経営合理化協会
こんにちは、土井英司です。
本日ご紹介する一冊は、サンスタートニックシャンプー、ズックリン、カビキラー、固めるテンプル、禁煙パイポなどのヒット商品を手掛け、累計7兆円を稼いだマーケティングの神様、梅澤伸嘉氏の手法を、後継者である著者が詳細に紹介した一冊。
税込2万円を超える高額書籍ですが、それもそのはず、本書には梅澤伸嘉氏が非公開のコンサルティング現場で実際に使っていたノウハウが紹介されているのです。
巻末付録に「秘伝」と赤で書かれた封筒が付いており、その中に秘密の小冊子が入っているのですが。この時点でワクワクしますね。
内容は、シンプルながらお客様の深いニーズを探る方法、そしてそれを商品開発につなげる方法が書かれており、確かにこれなら画期的新商品が生まれるなと思いました。
いわば、できる開発者の頭の中を見える化した感じです。
巻頭資料には、カビキラー、禁煙パイポ、写ルンです、ウコンの力がどんなニーズと思考プロセスから生まれたか、著者秘伝のシートに書き込む形でまとめられています。
このシートが手に入るだけでもめっけもんですね。
さらに本文では、読者が消費者の潜在ニーズを発見するためのキーニーズ法の解説、さらにヒット商品の事例をもとに、キーニーズ法の実践方法を解説しています。
ノウハウが体系化されてじつによくまとまっており、再現性も高そうな手法です。
商品開発部で購入して、部員に向けて研修をやれば、きっと効果が上がると思います。
マーケティングの天才たちの思考プロセスを、チャートで見せられた気分です。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
「10億アイデア」とは、1年以内に10億円を達成する「ニーズ」のこと
「10億ニーズ」の条件
1.未充足であること
2.強いニーズであること
ピラミッドの頂点にある「潜在ニーズ」を手に入れるためには、まずは底辺にある「3つの情報」を手に入れる必要があります。「3つの情報」とは、
・「行動・使い方」情報
・「不快な状況と気持ち」情報
・「ニーズ(~したい)」情報
1.行動観察アプローチ
お客様がふだんやっている行動を観察することから発想をスタート2.使い方観察アプローチ
お客様が使っている商品(サービスを含む)などの使い方を観察するところから発想をスタート3.強み活用アプローチ
自社の「強み」から何ができるかを考えて、お客様の「ニーズ(~したい)」を推測するところからスタート
行動観察アプローチ【ステップ1】のワークシートには、座談会から読み取った、「風呂場のタイルの目地の黒い汚れを、従来の各種(専用でない)洗剤を使ってタワシでゴシゴシこすって洗う」という、消費者がふだんやっている行動を記入します
「不快な状況と気持ち」は、その状況や気持ちが「解消されたら非常にうれしい」とか「解消されたら喜んでお金を払う」というようなものほど、魅力的な潜在ニーズの発掘につながります
消えていった競合商品は、愛煙家の深層心理を理解せず、「タバコはからだに悪い」とか「タバコはまわりに迷惑をかける」と訴え、愛煙家の気持ちを逆なでしたのです。一方、喫煙者の潜在ニーズを知り抜いて商品化した『禁煙パイポ』は、短期間で「禁煙・節煙パイプ」というカテゴリーの代名詞となり、大ヒットロングセラー商品になったのです
商品上の問題ではなく、お客様のニーズを阻害している大きな問題を解決しなければならない
商品が属すカテゴリーに対して、お客様が感じている不快な状況と気持ちを解決しなければならない
商品コンセプトの公式
(1)顧客に与える効用・便益
(2)商品アイデア
(3)新カテゴリー名
最初は「アイデア本に2万円も払うなんて」と思っていましたが、これは確かに2万円以上の価値は優にあると思います。
商品開発部のトップ、経営者がターゲットの本だと思いますが、マーケティングのプロを目指す個人も、思い切って投資してみると面白いと思います。
「秘伝」の書があるので、おそらく中古市場にはあまり出回らないでしょうね。
本書自体が上手いマーケティングをしていると思います。
ぜひ、読んでみてください。
image by: Shutterstock.com