ウインタースポーツを楽しむ上で重要な道具の数々。今回は、MBAホルダーで無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者である青山烈士さんが、スキーヤーの間で話題となっているある小さなパーツを分析しています。
道具の重要性。スキーヤー向け独自技術「ステルステック」を分析する
今号は、アルペンスキーヤーのブーツのフットベッド(中敷き)に付ける小さなパーツを分析します。
● 国立大学法人北見工業大学とブレイン株式会社の共同研究により生まれた「ステルステック」
上達したいスキーヤーをターゲットに「独自技術」に支えられた「スキーが上達する」「滑りが変わる」「スキーが楽しくなる」等の強みで差別化しています。
スキーヤーの間で「ステルステック使ってる?」という形で、話題となり注目を集めています。
■分析のポイント
初めて「ステルステック」を見た時、そのサイズの小ささに驚きました。
スキーブーツのパーツということで、ある程度の大きさのものを想像していたので、ギターのピックほどの大きさのものとは思いもしませんでした。
ギターのピックのようなものをスキーブーツの中敷きに着けたとして、スキーが上達すると想像できますでしょうか。
少なくとも、スキーの素人である私には、想像を超える世界の話です。
ちなみに、ギターのピックも、厚さや硬さによって、音に影響があるようですが、それも、素人にはわからない世界ですね。
小さなパーツである「ステルステック」によって、スキーヤーのパフォーマンス向上につながるという結果を見て、改めて思うのは道具の重要性です。
様々なスポーツに共通することだと思いますが、トップ選手ともなれば、技術面や体力面で大きな差はつきにくいでしょうから、非常にわずかな差で勝敗が決まるはずです。
そのわずかな差を生み出すために、小さなパーツが役立つのであれば多くの選手は必要とするはずです。
そして、使用する選手が増えてきて、使用する選手が勝つようになれば使用していない選手も使用せざるを得ない状況になるでしょう。
マラソンや駅伝で話題になった「厚底シューズ」も同じような事象が起こっていたように感じます。『厚底シューズ』を履いたランナーが結果を出すことで、周りの使用率もどんどん上がっていきました。
「厚底シューズ」の場合は、外から見てわかりますが、「ステルステック」は、外からはわかりません。なので、スキーヤーの間で「ステルステック使ってる?」という話題が増えていったのでしょう。
今後、外からは見えない「ステルステック」がどのように拡がっていくのか注目していきます。
◆戦略分析
■戦場・競合
・戦場(顧客視点での自社の事業領域):スキーの技術向上を実現
・競合(お客様の選択肢):スキーブーツの加工 など
■強み
「スキーが上達する。滑りが変わる。スキーが楽しくなる」
・ポジションが安定する
・滑りが安定する
・雪面を速く捉えることができる
・高速で鋭いターンが可能になる
・小回りがしやすい
・ミスが減りタイムが縮まる
・ゲレンデスキーヤーなら谷回りが楽になる
★上記の強みを支えるコア・コンピタンス
・国立大学北見工業大学(冬季スポーツ科学研究推進センター)と、ブレイン株式会社が5年をかけて研究・開発
・国際特許取得 特許番号:6791506
上記のような、独自技術が強みを支えています。
■顧客ターゲット
・技術を向上したいスキーヤー
・上達したいスキーヤー
・タイムを縮めたいスキーヤー
・スキーをより楽しみたい方
◆戦術分析
■売り物
「ステルステック」
ブーツのフットベッド(中敷き)に付けるパーツ
・滑走のスピードアップを実現するRASEタイプ(レース用)
・技術選・一般スキーヤー向けのモデルのTECHNICALタイプ(基礎用)
→ターン前半の谷回りの荷重移動(クロスオーバー)が格段にしやすくなるため、技術選の演技や初・中級者の上達に特に効果が認められる
■売り値
・RASEタイプ(レース用):2個1セットで 3,500円(税別・送料込)
・TECHNICALタイプ(基礎用):4個1セットで 4,500円(税別・送料込)
■売り方
・売り文句
「この小さなパーツは、異次元の鋭いターンを、どんな雪質でも実現する、スキー界の革命的アイテムです」
・「全日本スキー技術選手権大会」で3連覇を果たした武田竜選手が利用。
・様々なメディアで紹介される。
■売り場
・公式オンラインショップ、スポーツショップなど
※ 売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。
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