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大学進学率は韓国以下。日本の教育が先進国でも最低レベルに落ちているワケ

さまざまなデータにおいて先進国からの転落を感じさせるわが国ニッポン。もう一度本当に豊かな国を目指すには、子どもたちへの教育が欠かせないはずですが、子育て支援に関する話も高等教育支援まではなかなか到達しません。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では、元国税調査官の大村大次郎さんが、先進国の大学進学率と高等教育費の財政負担率のデータを紹介。国が高等教育への支出を惜しみ、親世代の賃金は上がらないのに授業料は高騰、有利子の奨学金で多くの学生が借金を抱える状況に「日本の終焉」を見ています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2023年2月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

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高等教育への国の支出は最低レベル。大学生を借金漬けにする日本

今回から数回に分けて「国際データで見る日本の終焉」と題しまして、データを用いて日本のヤバい部分を追究していきたいと思っています。

まず最初は教育です。教育というのは、国のカナメです。教育が行き届いている国、教育が進んでいる国の方が、産業は栄えているし、国力は充実しています。それは古今東西の国々の状況を見れば明らかです。

特に高等教育というのは、国の行く末を左右するともいえます。国民が充実した高等教育を受けられているかどうかが、その国の未来を表しているのです。

その高等教育の充実度をはかる基本的な指標「大学進学率」を見てみましょう。下はOECD加盟国の大学進学率です。

OECDの大学進学率(30カ国データ中)
  1位  オーストラリア    91%
  2位  アイスランド     80%
  3位  スロベニア      79%
  4位  ニュージーランド   74%
  5位  ポーランド      73%
  6位  デンマーク      71%

 

14位  イギリス       34%
18位  韓国         55%
21位  日本         48%
22位  ドイツ        48%
OECD平均           57%
(出典 OECD Erucation at a Glance2015)

これを見ればわかるように、日本の大学進学率は先進国の中ではかなり低くなっています。日本はOECDの調査対象30カ国の中でワースト10位で48%なのです。

これはOECDの平均よりも約10ポイントも低く、隣国の韓国よりも低くなっています。日本人は、いろんな面において「韓国よりは上だ」考えているようですが、国の根幹である教育分野においても、日本は韓国に劣り始めているのです。

このデータにはフランス、アメリカが含まれていませんが、フランスもアメリカも大学進学率は60%を超えており、日本よりは高いのです。

またこのデータではドイツは日本より低くなっていますが、ドイツには、伝統的に大学と同等の専門学校が多いためです。統計によっては、この専門学校も大学に含まれることがあり、ユネスコの統計ではドイツの大学進学率の方が日本より高くなっています。

しかも正確な比較はできませんが、中国にも大学進学率で日本は抜かれていると推測されています。

ご存じのように日本は急速に少子高齢化が進んでおり、子供は少なくなっているのです。にもかかわらず、その少ないはずの子供たちにまともに教育を受けさせることさえしていないのです。

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高等教育への財政支出は先進国最低レベル

なぜ日本の大学進学率が低いか、その要因の一つとして国が高等教育費をケチっているということがあります。下は、高等教育費(義務教育以上の教育費)に国や自治体がどれだけ費用の負担をしているのかの割合です。

OECD諸国の高等教育費の財政負担率(33カ国中)
  1位  ノルウェー     96%
  2位  オーストリア    94%
  3位  フィンランド    93%
  4位  ルクセンブルグ   92%
  5位  アイスランド    89%

 

24位  イタリア      62%
27位  カナダ       49%
29位  韓国        36%
30位  アメリカ      35%
32位  日本        32%(ワースト2位)
33位  イギリス      25%
OECD平均          66%
(出典 図表でみる教育OECDインディケータ(2018年度版))

これを見ると日本はOECDの中でワースト2位であり、高等教育費の32%しか財政による支出はされていないのです。OECDの平均が66%なので、なんと半分以下です。

イギリスやアメリカもかなり少ないですが、欧米の場合は、寄付の文化があり、大学などの高等教育機関に寄せられる寄付金も多いのです。しかも、キリスト教など宗教団体が、大学などを運営しているケースも非常に多くなっています。そのため高等教育費の家計による支出というのは、かなり抑えられているのです。

日本の場合は、寄付の文化もなく、宗教団体運営の大学なども少ないので、国が負担しなければそれはすぐざま家計による支出の増大に結びつきます。日本が大学進学率が低いことを前述しましたが、その要因の一つにこの公的負担の少なさが挙げられるのです。

高等教育への公的負担の少なさは、日本の大学教育に大きな影響を与えています。というのも近年、日本の大学の授業料は高騰しているのです。国立大学の授業料は、昭和50年には年間3万6千円でした。

しかし、平成元年には33万9600円となり、平成17年からは53万5800円にまで高騰しています。40年の間に、12倍に膨れ上がったのです。バブル期の大学生と比較しても、現在は約2倍です。この授業料の高騰のため、大学に行けない若者が激増しているのです。

また大学に行くために、多額の借金をする若者も増えています。現在、50万人以上の大学生が「有利子の奨学金」を受けて大学に通っているのです。

この「有利子の奨学金」というのは、奨学金とは名ばかりで、実際はローンと変わりません。厳しい返済の義務があり、もし返済を怠れば、法的処置さえ講じられます。

この「有利子の奨学金」を受けている50万人以上という数字は、大学生全体の約の5分の1です。彼らは大学卒業時には、数百万円の借金を抱えていることになります。

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image by:Wiennat M/Shutterstock.com

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