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辛坊治郎氏も驚愕!免許不要「電動キックボード」を解禁させた凄いロビー活動と日本の利権縮図

電動キックスケーター(キックボード)に運転免許なしで乗れる新しい制度が、7月1日にスタートします。最高速度は車道で20km/h、歩道で6km/h、ヘルメット着用は努力義務のみ。「日本では法規制に阻まれ普及しない」と見ていた、メルマガ『辛坊治郎メールマガジン』著者の辛坊治郎氏も驚いたという今回の規制緩和、異例の“トントン拍子”のウラには驚きのアイデアがありました。今回、特別にメルマガの内容の一部をご紹介します。

※この記事は『辛坊治郎メールマガジン』2023年2月3日号より一部抜粋したものです。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です

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「電動キック」なぜ異例の速さで規制緩和?

電動キックスケーターに関して、最近、面白い話を聞きました。

私、電動キックスケーターの販売が日本で開始されたころ、「これは日本では法規制に阻まれて普及しないだろう」と考えていました。ところがこれに関して今、驚くべきことが起きています。日本で「法規制が緩和」され、急速に普及する可能性が出てきたのです。

「法規制が緩和」とカギカッコ付きで書いたのには意味があります。ここにこそ、今回皆さんにお話ししたいことの「肝」があるのです。

ちなみに私は、電動じゃないキックスケーターの愛用者です。坂道を下る際には、スノーボードなどと同じ「横乗り系」の楽しみが味わえます。平地や上り坂では足で地面を蹴る必要がありますが、下り坂では何もしなくても一定速度で走ってくれます。

キックスケーターに乗り始めて気が付いたのですが、大きな道路は分離帯を中心に結構大きなかまぼこ型の傾斜が作ってあります。雨水が道路に溜まらない工夫ですね。この道をキックスケーターで渡るときには、中央まではキックする必要がありますが、中央を過ぎると何もしなくても走ってくれます。その上折りたたんで小さな袋に入れてしまえば、そのままバスや電車に乗れますから、自転車よりはるかに拠点間の移動に適しています。自転車ほどのスピードは出ませんが、都市における移動手段としては最適です。

この「電動じゃないキックスケーター」の法的位置はいわゆる「グレーゾーン」で、公道を走ることが合法とは言えないけれど、少なくともこれに乗っていて警察に摘発された例は聞いた事がありません。

一方、電動キックスケーターは従来の日本の規制では明らかに「違法」です。私の若い知人は、かなり前から日常的にこれを移動の手段として使っていますが、「警察官のいそうなところは避けて走る」と言ってます。この一言で電動キックスケーターの日本における位置が分かります。

私はフランスなど、特にヨーロッパを中心に急速に電動キックスケーターが普及し始めたころ、「便利だけど、日本での普及は無理だろう」と考えていたのです。

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「優れた合理性」だけでは、日本での合法化は無理だった

電動キックスケーターは都市における移動手段としてはかなり合理的です。都市部において自動車に乗っている人は大体一人です。一人の移動に、あれだけエネルギー効率の悪いデカい物体が走るのは合理的ではありません。

試しに、御堂筋を走る車の中にいったい何人乗っているかを数えてみてください。そして、その人たちを、あの広い御堂筋の中に配置するイメージを脳内に描いてみて下さい。ごく少数者のためにあれだけ広い空間が占拠されていて、道路などの施設維持に使われる費用を考えると、実にバカバカしい光景が目の前に広がっているのに気が付きます。

バス、トラック、タクシー、物品の輸送などを除いて、一人しか人が乗っていない自動車の通行を都市道路では禁じた方がいいんじゃないかと、私は昔から考えています。

高齢者が公共交通機関を使って歩くようになれば、高齢者が健康になって医療費削減にもつながります。人間、歩くことが何より健康維持に大切です。とはいえ、時間短縮したい場合などに、パーソナルな移動手段として、電動キックスケーターは合理性もあり、実際かなり便利です。だからフランスなどで急速に普及したのです。

ところが日本でこの手の「新型コミューター」が公道を走ることはまず許されません。必ず「公道走行は認められない」という事になります。公道走行が出来ないような乗り物は、移動手段として絶対に普及しません。

だから私は、「日本で電動キックスケーターが移動手段として普及することは無い」と考えていたのです。

また、日本では世論もこの種の新種の物にかなり否定的ですから、世論は規制に味方します。でもねえ、もし今「新種の乗り物」として「自転車」が発明されたとして、日本でどんな扱いになるか想像してみて下さい。

恐らく「危険」「邪魔」等の意見が台頭し、マスコミが「事故多発」と大騒ぎした挙句、世界中の道を自転車が走る時代に、日本だけ「危険」「免許が必要」なんて議論になると思うのです。

日本社会は、特に「いわゆる保守派」の間で、この種の新種の物に対する極めて強いアレルギーがあるのは確かです。「電動キックスケーターの日本での普及についてどう考えますか?」という質問は、特定人物の思想傾向を測る物差しとしてかなり有効です。同種の質問は他にもいくつもあります。

規制を逆手。電動キック推進団体が展開した驚きの主張

さてそんな日本社会で電動キックスケーターが、公道を走るツールとして何故合法化されたのか?この経緯は、現代日本を実によく表しています。

日本で電動キックスケーターの公道走行を目指した人々は、日本の規制社会を逆手に取りました。

正面から「海外並みに公道走行を認めろ」と主張しても、規制の壁に阻まれることを強く認識していたこの人々は、こう主張し始めたのです。「電動キックスケーターのために新たに法規制を作って下さい」

これは凄い発想の転換です。こう主張することによって、交通関係の――(『辛坊治郎メールマガジン』2023年2月3日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。辛坊治郎氏が、電動キックスケーターの規制緩和が一気に進んだ理由や、今後同様のことが起こりそうな分野について、さらに詳しく解説しています。初月無料です)

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image by: 辛坊氏提供

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