昭和の時代では受け入れられていたものが、今ではすぐにクレームとなってしまう─。メルマガ『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』著者の吉田さんは、自身の娘との会話の中から現代が傾きはじめている「ホワイト化社会」について思いを綴っています。
岡田斗司夫氏が予測した「ホワイト化社会」が、あと10年もすれば成立してしまうことについて
皮ジャンを着て、ヘッドフォンを付け、水中眼鏡を付けた男が眠りから目を覚まし、冷蔵庫の扉を開き、新聞紙を首から下げ、トマト、コンビーフ、リッツ、魚肉ソーセージに次々とかぶりつき、口で栓を開けた牛乳で喉に流し込む。
知っている人にはすぐにピン!と来るだろう。
そう、「傷だらけの天使」
このオープニングが好きでYouTubeで観ていた。
「傷だらけの天使」は、1974年10月から1975年3月にかけて、1話完結の全26話が日本テレビ系で放送されたTVドラマだ。
音楽が好きだった。元ザ・スパイダースの井上堯之と大野克夫が担当。軽快なタッチのオープニングテーマ曲は、いまだにテレビCMなどで流用されたりもしている。聴くだけでなつかしさがこみ上げてくる。
ドラマの内容は、探偵事務所で働く男二人が、暴力団抗争から捨て子の親探しまで様々な案件に関っていく、そんな中での二人の怒りと挫折を多彩なストーリーと個性的な演技によって描く。そんな内容だ。
また、衣装協力としては、懐かしい「BIGI」 がクレジットされており、ファッションデザイナーの菊池武夫が担当していたから覚えていた。萩原健一演じる木暮修の服やスタイルは、当時の若者に多大な影響を与えた。
別にこのドラマについて書くわけではない。このドラマを観ていた時に今年大学二年生になる娘がこう言ってきた。「キショ」。
“キショ”とは、わかりますかね?簡単に言えば、「気持ち悪い」こんな意味です。決して親に反抗的でもなんでもない娘が開口一番こう言ったので、俄然、興味が出てきた。
「え!?コレ、良くない?お父さんの昭和時代の人気のドラマのオープニング」
「は?全然」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
理由を聞くと、口の中にいろいろ突っ込んで汚らしい。髪の毛がボサボサで不潔・・・・等々。
この強引で乱暴な口に放り込むのが「男らしく・カッコいい」と思っている昭和の男たちがいた。
この変なカッコつけていない自然なヘアースタイルが女々しくなくていい。と思っている昭和の男たちがいた。
確かにそんな基準があって、変に優しくて女々しい男より、香水つけて気障な男より、大事なのは中身であって、外見ではない!!などという基準が確かにあった。
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この娘とのやりとりをしていて急に思い出したことがあった。それは、「ルパン三世」のアニメの中で次元大介がタバコをポイ捨てするシーンに対してクレームが来たということだ。
ずいぶん時代は厳しくなったものだ、などと素通りしたが、それも昭和の価値観なのだろうか。
続けて、こんなこともフラッシュバックした。
定食屋。昔の定食屋は「汚いけど美味い」店が確かにあって、外見なんか関係ないよね、中身だね、なんて風潮があったものだ。
しかし、昭和と現代とのギャップ、というか壁が確かにハッキリとできてきていて、今は味の前にその店が綺麗で整理されて、尚且つ、スタイリッシュでないと、もう近づきたくもないらしい。
もしかしたら、これは、コロナ禍で加速されたのかもしれない・・・
そんなことがあって、仕事の合間にYouTubeで何となく見つけたのが「ホワイト化」という言葉だった。
面白そうなので観てみた。
岡田斗司夫という人が配信している。確か昔、マーケッターの神田昌典さんのオーディオ教材にゲストとして出ていた人だ。
ようは、「オタク」 オタキングの代表ということでアニメや漫画の解説をしているYouTube。しかし、内容を観てみて驚いた。この現代社会の変調を見事に解説していたからだ。
少しまとめると、こんな感じ。
社会がホワイト化するとは一言で言うのは難しい。「清潔さが求められるようになる」とか「不潔がより許容されなくなる」という感じだという。
物理的な清潔もそうですし、人の発言や行動の内容においても清潔感が求められる。求められるというか「清潔であることが当たり前だ」という具合に基準値が上がっていき、不潔だと思われたものは社会からミュート・ブロックされてしまう。
何々、まさにそれは現実の目の前で起こっていることではないか!?
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例えば、
1.外見は汚いけど料理がうまいような飲食店はもう流行らなく、見た目がキレイな店がイコール美味しい店と判断される
2.昔に比べて人前で不潔な服装や行動をするおっさんは減っているし、人前で鼻毛を抜いたり屁をこいたりできなくなっている
3.昭和のアイドルと比べると令和のアイドルの方がルックスのレベルが高い
4.女性は脱毛するのが当たり前になってきているし、男性も美容や脱毛をする人が増えている
5.タレントは浮気や不倫をすると叩かれるようになっているし、テレビの芸人は他人をイジったりバカにしたりと笑いのとり方が使えなくなっている
などだという。
まさにこれだ!現代はすでに「ホワイト化社会」になっている!!
こうやって社会がホワイト化することがホワイト革命と呼ぶらしい。更に突っ込んで調べてみた。
岡田斗司夫は、着々と「ホワイト革命」が進行していると説明している。
「ホワイト革命」って何だろう?
どうやら、「ホワイト革命」というのは、世の中の価値観が「ホワイト」優先の方向へ進んでいく動きのことを指しているようだ。
「ホワイト」というのは、その言葉の持つイメージ通りの意味でいい様子。ブラック企業の反対のホワイト企業、とかで使われる「ホワイト」とのことだ。
その「ホワイト」という中身には、「清潔さ」も含まれるという。
より目に見える部分、耳に聞える部分、いわゆる「外側」のホワイトさが重要であることを強調していた。
別に外面と内面を分ける必要はないのかもしれないが、これからの社会は、外観だったり発言や言動だったりといった、「外面」のホワイトさがより重要になってくるのだそうだ。
ホワイトさが大切だということはわかった。しかし、あらたまって「革命」などと名付けたということは社会的にも、文化的にも大きな変革だということなのだろう。これまでも、皆思っていたことのようにも、思えるのだが。
岡田斗司夫は、40代50代以上の世代の人々の中には、汚いものや不潔なものの方にこそ本音や本質があると考えている部分がある、と説いている。
少しはこのホワイト化には慣れていたはずの自分だが、確かに言われてみると、そうかもしれない、と感じるから滑稽だ(笑)
言われてみて、自分自身に問いただしてみれば、見た目がキレイで整ったもの、とても清潔なものには、どこかウソが混じっているんじゃないか、と身構えてしまうようなところが確かにあるのかもしれない。
そんな自分が娘とのやり取りにさえ気づかされた「ホワイト化」・・・それは確かに存在していた。韓流アイドルを熱いまなざしで見ている娘を見ていて、一体どこが良いのか全く分からん!男は中身だぜぇ!などと思ってたのだから(笑)
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岡田斗司夫は動画の中で、「この先は、社会全体が『見た目が良いもの(清潔なもの)が正しい』という価値観に変わっていく」と断言していた。
社会のありとあらゆるものがホワイト化されていくという。それが「ホワイト革命」なのだろう。
そして、2030年から2040年くらいの間には「ホワイト社会」が成立する、と岡田斗司夫は続けて説いていた。
間をとって、2035年といえば今から12年後だ。12年後にはこの「ホワイト革命」どころか、社会全体が「ホワイト化」していくということ!!
確かに、昨今のスシローペロペロ事件しかり、芸能人の不倫に対しての異常なほどのバッシングしかり。社会のホワイト化はすでに進行中であり、今後しばらく求められる清潔度の基準が上がっていくことはほぼ確実のようだ。
有名人やトップアイドルは既に人前で変な行動や発言ができないのは理解できるが、あれがすべての一般人に適用されるようなイメージなのだろう。少し、ゾッとする。つまりみんな聖人にならざるを得ない世界観ではないか。
確かに、昨今の「治療院・サロン」におけるホームページなどをみていると、「美容院」や「エステサロン」のような小奇麗にまとまっているサイトが確かに多くなった。
トップページに出てくる若い院長も韓流?的なヘアースタイルが増えていると感じるのは自分だけであろうか?
そのたびに、なんか、「違う」と感じていた自分が「違う」のだろうか。
いやいや、世の中には、波があって逆らえない。
今スグにできることは、院を徹底的に清潔かつ、整理整頓することと、自分のヘアースタイルや服装、目に見えるすべてをもう一度仕切り直してみるとするかな。
なんたって、『中身』の熱意だけは『外側』に出て来づらい。とにかく、このホワイト化の波に乗って、『外側』をほどほどに見栄え良くすることを少し意識する良い機会となった。
『外側』だけで『中身』を判断される「ホワイト化社会なのだから、仕方ないだろう。
くそ!!『中身』では負けないぞい!と思うことにしておこう!
あれ!この根性的言葉も昭和感覚!?・・・・だな。静かに、クールにスルーしよう(笑)
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