日本ではなかなか見られない婚前契約書ですが、昨今は結びたいと考える人も多いようです。今回のメルマガ『探偵の視点』では、著者で現役探偵の後藤啓佑さんが、婚前契約書の内容とそのメリットについて語っています。
結婚前の契約書について
今回は、先月質問の多かった「婚前契約書」についてです。
海外の先進国では割と見かけることが多い婚前契約書ですが、日本ではなかなか見ることはありません。
しかし、時代の流れか、しっかりと結んでから結婚したいと考える方は多くなってきているようです。
そんな注目の婚前契約書について、見ていきましょう。
「婚前契約」とは簡単に言うと、結婚後のトラブルを防ぐ為に“結婚前”に夫婦の間でする契約のことです。
結婚後も夫婦間で契約することはできるのですが、実は民放の規定に「結婚後の夫婦間の契約は、いつでも取り消すことができる」という規定があるので、取り消されてしまう可能性があるのです。
そして、結婚前に口約束をしても、「言った言わない」でなかなか決着がつかないことは想像できますよね。
そんな時に便利なのが、書面で残す「婚前契約書」なのです。
婚前契約の内容ですが、もちろん夫婦それぞれの部分はありますが、基本的には下記が含まれることが多いです。
- 離婚の条件→財産分与についてや、共有財産についてなど、離婚時に揉めやすい金銭関連が多いです
- 家計について→どちらがどのように負担していくのか?をあらかじめ決めておきます
- 子育ての役割分担→一方が大きく負担しがち。最初に役割を分担しておきます
- 家事の役割分担→一方が大きく負担しがち。最初に役割を分担しておきます
- 親族との付き合い方→お正月には絶対に会いに行く、介護はどうするなど
- 浮気があった時→浮気をしたらどうなるか?“500万円を支払う”などが多いようです
- 契約違反について→これらの契約に違反した場合に、金銭的な請求ができるようにしたり、条件をさらにつけたりします
このような内容が盛り込まれることが多いです。
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書面に残すメリット
これらを書面に残すメリットは、それぞれのネガティブな事象の“抑止力”になるということです。
あらかじめペナルティがはっきりと決まっていれば、内容に従う方向に進んでいく可能性が高いですよね。
特に、あらかじめ決めていないと曖昧になりがちな家事や子育ての役割分担は、契約があることによってストレスが溜まりにくくなるのではないでしょうか。
しかし、この契約は絶対的なものではなく、当然効力が発揮されないときもあります。
例えば、家計について。当初は夫が全額負担をするという契約であったとしても、途中で働き方が変わり、妻も働くようになり、夫が家事を分担することになった、という経緯があれば、それは負担額も改めて考えようよ、となると思います。
又、親戚と喧嘩をしたにも関わらず、契約にお正月に会う、とあるから絶対に会わなければいけない。という場合でも、裁判などで嫌がっている人を無理矢理合わせるということはできません。
婚前契約書は強制力ではなく、あくまでも契約内容を破棄される“抑止力”になるということです。
本質は、”お互いが幸せな結婚生活を送る為”に“トラブルを防ぐ”目的で交わされる契約だです。
決して相手を縛り付けるものではありません。結婚前に、よく協議して作成するのがいいでしょう。
以上、婚前契約書についてでした!
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