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「愛子さまお相手リスト」デマ記事を何度も掲載する『週刊新潮』の差別体質

一部で加熱する、愛子内親王殿下の「お相手」を巡る報道。しかしそのどれもがスキャンダル記事の域を出ないどころか、悪質な「差別」を助長するものも存在するようです。今回のメルマガ『小林よしのりライジング』では、漫画家・小林よしのりさん主宰の「ゴー宣道場」参加者としても知られる作家の泉美木蘭さんが、昨年からリライトを重ね「お相手記事」を掲載し続ける「週刊新潮」と、その記事の内容を強く批判。「門地による差別」を商売に利用する同社の悪質さを糾弾しています。

「愛子さま」やんごとなき「お婿さんリスト」という連続やっつけリライト記事で差別を助長する『週刊新潮』

今週発売の「週刊新潮」3月30日号掲載『「愛子さま」やんごとなき「お婿さんリスト」』なる特集記事を読んで、あまりの内容に仰天したので記録に残しておきたいと思う。

「週刊新潮」は、2週間前の3月16日号でも『「愛子さま」御所でお見合い!?』という特集を組んでいるが、この記事は、男系デマ大好き団長(略してDDD団)八木秀次が巻き散らかすトンデモ妄想を元に製作されている上に、同誌が1年前の2022年2月3日号に掲載した「旧宮家の『男系男子』皇籍復帰の最筆頭『賀陽家』とは」(デイリー新潮2022.2.3)という記事のほぼ焼き増しで、取材は一切なしという酷さだった。

■「皇室ジャーナリスト」の発言

「週刊新潮」2023年3月16日号

 

「旧11宮家の中で独身の若い男系男子を有するのは賀陽家、久邇家、東久邇家、竹田家の4家で、計10人ほどとみられます」

 

「そのうち賀陽家には、現在の皇室に最も近い20代の男系男子が二人いるのです」

 

「週刊新潮」2022年2月3日号

 

「11宮家のうち、現時点で独身の若い男系男子がいるのは賀陽家、久邇家、東久邇家、竹田家の4家。 あわせて10人は下らないといいます」

 

「4家のうち、現在の皇室に最も近い男系男子を擁するのは、賀陽家なのです」

■「賀陽家親族」の談話

「週刊新潮」2023年3月16日号

 

兄弟と対面したことのある賀陽家の親族によれば、「二人とも見栄えがよく、身のこなしもきちんとしています。ちょうど年も釣り合うので、将来もし愛子さまのお相手になるようなことがあっても恥ずかしくないのではと思います」

「週刊新潮」2022年2月3日号

 

兄弟と対面したことのある賀陽家の縁戚も、「きちんとして見栄えもする坊ちゃんたちです。二人とも、もし皇室に入って愛子さまのお婿さんになるようなことがあっても、決して恥ずかしくない振る舞いが身に付いています」

そもそも記事に登場する「皇室ジャーナリスト」が、ジャーナリストでありながら匿名という時点で信用性ゼロ。そんな人物が実在するのかどうかもわからない。

おまけに、1年前の記事ではそのジャーナリストの発言としてカギ括弧で引用していた部分が、今年の記事では編集部による地の文にそっくり変わっているなど、新要素がない上に、まったくテキトーにリライトしただけというプロ意識の欠片もないものだった。

ライジング前号の「ゴーマニズム宣言 第492回」で伝えられているが、八木秀次は、週刊誌が自分への電話取材だけで、その発言をある時は「宮内庁関係者」、ある時は「官邸関係者」によるものとして勝手に使っていて、たとえカギ括弧で引用された発言だとしても正しいという訳ではないとあっさり自白していたらしい。

そんな八木が次々と登場する「週刊新潮」の内容など、一切信用できない。

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3月30号掲載の愛子さま人気に乗じたゲスいデマ記事

こんなデタラメ記事だが、今週発売の3月30日号『「愛子さま」やんごとなき「お婿さんリスト」』は、再び愛子さまデマ記事が目玉特集となっている上に、めったにやらない表紙見出しまでつけられていた。

「週刊新潮」の表紙は、基本的に表紙絵と題字のみのシンプルな構成になっている。よほど自信のある売れ筋の特集を組んだときは、表紙の左端にその見出しが入るが、1~2ヶ月に1回程度だ。

「コロナワクチンの闇」に関しては、連続で良い記事を書いて、表紙見出しで売り出していたので評価したいが、3月30号は『「愛子さま」お婿さん候補の注目株』。愛子さま人気に乗じたゲスいデマ記事で売る気マンマンだし、それだけ大衆が欲しがる内容という証拠でもある。

しかもこの号、またまた焼き増しっぷりがすごすぎて仰天する。

しょっぱな飛び出すのは、やはりこの人、「さる皇室ジャーナリスト」だ。

「週刊新潮」2023年3月30日号

 

さる皇室ジャーナリストが言う。「旧11宮家のうち、独身の若い男系男子を擁するのは賀陽家、久邇家、東久邇家、竹田家の4家で、あわせて10人前後とみられます。なかでも愛子さまと年齢的にも釣り合いそうな年代のご子息が二人もいるのは賀陽家だけ。おまけに賀陽家の男子は、現在の皇室に最も近いのです」

「週刊新潮」2023年3月16日号

 

「旧11宮家の中で独身の若い男系男子を有するのは賀陽家、久邇家、東久邇家、竹田家の4家で、計10人ほどとみられます」

 

「そのうち賀陽家には、現在の皇室に最も近い20代の男系男子が二人いるのです」

「週刊新潮」2022年2月3日号

 

「11宮家のうち、現時点で独身の若い男系男子がいるのは賀陽家、久邇家、東久邇家、竹田家の4家。あわせて10人は下らないといいます」

 

「4家のうち、現在の皇室に最も近い男系男子を擁するのは、賀陽家なのです」

当主の賀陽正憲氏が天皇陛下のご学友で、かつて紀宮さまのお相手候補として取り沙汰されたことがあるという紹介文もほぼ同じ。正憲氏が陛下とお会いになる際に、2人の息子を同席させたことがきっかけで愛子さまとの交流が深まっているという、謎の「兄弟まとめてお見合いストーリー」も健在で、2週間前の記事とどこが違うのかがわからなかった。

さらに、今号では、内閣官房の皇室典範改正準備室が作成した「皇位継承順位系図」が掲載され、「愛子さまとお見合いしている賀陽家の男子は皇室に最も近い」という印象操作を行っているのだが、こちらは2週間前を飛び越えて、1年前の2022年2月3日号に掲載されていたもののリメイク版である。文章はこうだ。

「週刊新潮」2023年3月30日号

 

47年当時の「皇位継承順位系図」が、その事実を如実に物語っている。一昨年開かれていた政府の有識者会議において、事務局である内閣官房の皇室典範改正準備室が作成し、示した資料だ。ご覧のように、賀陽宮家の当主だった賀陽恒徳氏(78年に77歳で死去)から連なる男子には、系図の中で最上位の順位がつけられている。

「週刊新潮」2022年2月3日号

 

昨年末まで開かれていた有識者会議において、事務局である内閣官房の皇室典範改正準備室が作成した資料には、離脱した11宮家もあわせた47年当時の「皇位継承順位系図」が示されている。 図では、賀陽宮家の当主だった賀陽恒憲氏(78年に77歳で死去)から連なる男子に、4家の中で最上位の順位がつけられているのだ。

ひええええ!新入りバイトでもできそうな、やっつけ感満載のリライトがひでえ!

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さる皇室ジャーナリストが語った「他ならぬ小室問題」

「週刊新潮」2023年3月30日号

 

皇籍離脱の時点で賀陽宮家恒憲王の順位は8番目だったが、7番目の山階宮武彦王に男子がなく、賀陽宮家の6人の男子に次の順位が割り振られていった。現在の系図に当てはめても、賀陽家の男子の皇位継承順位は最上位となるわけである。

「週刊新潮」2022年2月3日号

 

「皇籍離脱の時点で賀陽宮恒憲王の皇位継承順位は8番目。筆頭は明仁親王(上皇さま)で、6番目が寛仁親王でした。7番目は山階宮武彦王となっていますが、男子が生まれなかったため、賀陽宮に生まれた6人の男子が、長兄から順に9~14番目まで皇位継承権を有していました。 この順位は引き継がれるため、世代が移っても賀陽家の男子の皇位継承順位は、他の旧宮家の男子よりも高いと考えられます」(八木秀次)

なんと!1年前は、すべて八木秀次の発言だった!

記事全体に八木臭が漂いすぎて、どこが八木でないのかを言い当てるほうが難しそうだが、まず、男系男子限定の皇位継承順位を示しながら、「どうだ、ほかの宮家には男子が生まれなかったが、賀陽宮家には男子が6人も生まれたから皇位継承順位の高い男子ばかりいるんだぞ」と言われても困る。

さらに、賀陽宮は1947年に皇籍離脱しており、宮号はなくなって「賀陽家」を名乗る一般国民になっているのに、勝手に令和5年の現在まで、さも皇位継承順を引き継いでいるかのような書きぶりで、「現在の系図に当てはめても、賀陽家の男子の皇位継承順位は最上位となるわけである」などと意味不明な屁理屈を練り出し、ドヤ顔で「門地による差別」をかましてみせるトンデモ具合がすさまじい。

皇族ではない一般国民の賀陽家の人々に、「皇位継承順位」なんてあるわけがない。デタラメもいいところだ。

一方、先週発売された「女性自身」3月28日・4月4日合併号では、「愛子さまのお相手は、週刊新潮が言ってるような賀陽家男子じゃありませーん。ウチの情報筋によれば、池坊家の華道王子S氏でーす!」という対抗・便乗・偽スキャンダルが掲載された。

「週刊新潮」はこれに言及しているが、内容はというと、「女性自身」に書かれていることと、ネットで検索すれば誰でも読めるような情報が再構成されているだけ!もちろん、本人取材はなしというお粗末さだ。

ただ、華道「池坊」の家元が、500年を超える池坊の歴史で初の女性であるというプチ情報が含まれており、へえ、古風な華道界でも女性の時代が来てるのね、とは思った。

記事の締めには、またもや八木臭漂う「さる皇室ジャーナリスト」が登場し、若干21歳の愛子さまに早くもお相手探しの話が浮上するのは、「他ならぬ小室問題」があるからだと語り出す。さる八g……いや、さる皇室ジャーナリストの弁はこうだ。

「眞子さんは終始、自由恋愛を貫いたわけですが、結果として皇室がどれだけダメージを被ったことでしょうか」

はああああ!?

さも起こるべくして起きたことであるかのように霞の向こうを眺めているが、自分こそ小室さんバッシングに加担した急先鋒とも言える人間じゃないか。

だいたい、バッシングのはじまりは、週刊誌記者が小室さんの母親の元交際相手に取り入り、発言をそそのかしてスキャンダルをでっちあげたことだった。その上、記者は、弁護士免許も持たないのに「代理人」になりすまして、さらに大炎上させるべく誘導していったのだ。

そこから、なんの罪も落ち度もない二人に徹底的にダメージを負わせるために、数々のメディアが叩きまくり、日本全体で眞子さまを精神的に追い込んで、国内にいられない状況まで作り出した。

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「門地による差別」で商売する「週刊新潮」の悪質

バッシングを受けて、眞子さまは結婚にまつわるほとんどの儀式を行うことなく皇籍を離れてしまったが、さる皇室ジャーナリストは「二度と繰り返すわけにはいきません」とし、「その轍を踏まぬように」、周囲が「旧宮家」や「旧華族」などの家柄に絞って、愛子さまのお相手を探すのは「道理」だと言う。

はああああ!?

家柄がどうとか、血筋がどうとか、稼ぎがどうとか、一切関係なく、純粋に「小室圭さん」というひとりの人間を見る恋愛を貫いたのが眞子さまではないか。

それに対して、みっともない差別心丸出しで、「家柄ガー!」「血筋ガー!」「稼ぎガー!」「かつての皇位継承順位ガー!」と言い放ち続け、今度は愛子さまにも同じ道を強いてやろうとする自分の醜さに、「さる皇室ジャーナリスト」も「週刊新潮」もまったく気づいていない。

記事のラストには、「八木秀次」が実名で登場し、眞子さまの結婚について、「“皇族も我々と変わらないじゃないか”という思いを広めてしまった」「国民は興ざめし、“威厳的部分”に大きな傷が残ってしまった」などと述べている。

「皇族も我々と変わらないじゃないか」という感覚は、もともと大衆のなかに潜んでいる陰湿で下卑た性根から来るものだ。目立つ人間、有能な人間、羨ましく思う人間を叩いて引きずり下ろしたい、落ちぶれる姿を見て快感を得たい。その大衆の欲望を全開にさせるべく、「徹底的に叩いていいぞ!みんなで血祭りにしよう!」と扇動することで商売しているのが、皇室に関するデマをばらまく週刊誌であり、そのためのネタを情報提供しているのが八木秀次だ。

バッシングを楽しんだ大衆は「興ざめ」したのではなく、血祭りに大興奮した上で、無責任に飽きただけ!「大きな傷が残ってしまった」のではなく、大きく傷つけるためにバッシングしたのが事実!しかもその傷は、ほかの皇族方の将来へも大きすぎる禍根を残してしまっている。

なにもかもが自分たちの陰湿な差別心と下卑た性根が引き起こしたことで、皇室の繁栄などまったく考えてもいないくせに、しれっとテキトーなリライト記事で、「門地による差別」をゴリ押しして商売しようとする「週刊新潮」。この悪質さにはガンガン対抗していかなければならない。

(『小林よしのりライジング』2023年3月28日号より一部抜粋・文中敬称略)

2023年3月28日号の小林よしのりさんコラムは「八木秀次って馬鹿なのか?知ってたけど」。ご興味をお持ちの方はこの機会にご登録の上、3月分のバックナンバーをお求め下さい。

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image by: kuremo / Shutterstock.com

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【著者】 小林よしのり 【月額】 ¥550/月(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4火曜日 発行予定

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