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韓国が“国家消滅”の危機。隣国で進む急激な少子化の裏にある「あの宗教」

日本を遥かに上回るスピードで進む韓国の少子化。その深刻さは両国ともに変わりはありませんが、背景に目を向けると「大きな事情の違い」が見えてきます。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、韓国の出生率が0.78にまで低下した理由を紹介。さらに同じく少子化に頭を痛める中国と韓国の共通点を解説しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年5月31日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録の上、5月分のバックナンバーをお求め下さい。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

日本を上回る異常なスピード。韓国の少子化の裏にある儒教の害悪

少子化嚴重 南韓青少年人口比例15.3%不到40年前一半(重度の少子化 韓国の青少年人口は15.3%で、40年前の半分に)

韓国青少年政策院と女性家族部が30日に発表した「青少年統計2023」によると、韓国の出生率の低下により、総人口に占める青少年(韓国の統計基準では9歳から24歳)の割合は、40年前の総人口の36.8%の半分以下の15.3%にとどまっていることがわかりました。

40年後には、人口に占める若者の割合はさらに減少し、10%程度になると推測されています。

韓国の「韓聯社」の報道によると、韓国青年政策院と女性家族省は5月30日に「青年統計2023」を発表、そのなかで、韓国の青年人口が総人口に占める割合は15.3%となり、昨年より0.5%減少、1983年の半分以下の約791.3万人であることを明らかにしました。

今から40年前の1983年当時、韓国の若者人口は総人口の36.8%を占め、約1,419万6,000人でした。

韓国では少子化が止まらず、2022年の出生率は0.78で7年連続で過去最低を更新し続けています。しかも、2015年には1.24だった出生率が、わずか7年でその6割程度まで減少してしまったことになり、少子化のスピードが半端でないことがわかります。

韓国の出生率0.78で、7年連続過去最低を更新-少子化の主な原因と今後の対策について-

日本も現在の岸田政権は「異次元の少子化対策」を打ち出していますが、それでも1.37(2021年)程度はありますから、韓国の0.78がいかに低いかがわかります。

数年前から、韓国にはフェミニズムの嵐が吹き荒れています。長年、儒教の影響下にあった韓国では、女性は子どもを生むためだけの存在で、結婚しても男性方の「家族」とは認められず、夫の姓を名乗ることは許されないという時代が続きました。そのために韓国では夫婦別姓になったとも言われています。

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韓国に押し寄せたフェミニズムの大波

こうした儒教にもとずく男尊女卑の気風が韓国では長く続いており、これに対する反発が渦巻いていました。そして2016年、ソウル・江南駅付近で女性殺人事件が起こります。この犯人が「女が憎い。女なら誰でも良かった」と語ったことから、ミソジニー(女性嫌悪)の犯罪として位置づけられ、フェミニズム運動が一気に広がっていきました。

その後、『82年生まれ、キム・ジヨン』など、フェミニズムに関連した小説も大ヒットしました。

フェミニズムが一気に「爆発」した韓国特有の理由

また、この時期には日本のフェミニズムの大御所にして「おひとりさま」を世に広めた、上野千鶴子氏の著作が韓国でもベストセラーになっています。

こうしてフェミニズムの大波が韓国に押し寄せたことで、韓国の男性は「生まれながらにして女性差別者」という気運が高まると同時に、男性による過去の女性蔑視的な言動を糾弾するMeeToo運動も活発に展開されるようになりました。

その結果、男性側も女性側も結婚意識が薄れ、非婚化が進み、急激な出生率低下に繋がったと言われています。

上野千鶴子氏は著書『発情装置 新板』(岩波書店)の「自著解題」で、欧米ではフェミニズムの領導によって「性革命」が起こり、離婚率と婚外子出生率が増えましたが、日本ではこうしたことの代わりに、非婚率と出生率の低下が起こったと述べています。

非婚率の上昇と出生率の低下を、わたしは「性革命」の二つの指標──離婚率の上昇と婚外子出生率の上昇──の、日本型の機能的等価物だと考えている。
(『発情装置』 新版)

こうしてみると、フェミニズムが韓国で猛威を振るったことによって、非婚と出生率の低下が起こることは必然だったといっていいでしょう。

ちなみに以前のメルマガでも取り上げたように、上野千鶴子氏の著作は現在、中国でもブームになっています。

【関連】フェミニズムは都合が悪い。中国共産党が上野千鶴子氏の著作を発禁にする日
上野千鶴子さんの「フェミニズム本」が中国でブーム 家父長制が根強い国で受け入れられる背景とは

中国も長年の一人っ子政策による今後の少子高齢化を非常に警戒しており、いまや3人生むことを奨励し、子育てする家の家計を圧迫する塾を廃止するなど、なんとかして出生率を上昇させることに躍起となっています。しかし、上野千鶴子氏の著作が流行り、「おひとりさま」が肯定され、「性革命」によって韓国や日本と同様、非婚化と出生率の低下へと邁進することになるでしょう。

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いまだ「儒教の害悪」から抜け出せていない中韓両国

ましてや、中国も韓国同様、長い歴史の中で儒教の影響下にあり、共産主義ではあるものの、男尊女卑の気風はいまだ色濃く残っています。とくに地方の農村などでは、女児よりも跡取りとなる男児が尊重され、女児を妊娠したとわかると、堕胎することも少なくありませんでした。

これにより男児と女児の人口構成比がいびつとなり、男性の人口は女性より3,000万人も多く、「男余り」で結婚できない男性が溢れるという事態になっています。

中国がついに人口減少へ…そのウラで「男が余りまくる」という“大問題”が起きていることをご存知ですか?

ここへさらに女性の側から「おひとりさま」やMeeToo運動がブームになれば、更に非婚と少子化が進むことは間違いないでしょう。私が以前のメルマガで「習近平政権は上野千鶴子氏の著作を発禁にするかもしれない」と半ば冗談、半ば本気で書いたのも、中国にとっては極めて深刻な事態を招来する可能性があるからです。

韓国の出生率0.78というのは、2人の男女から生まれる子どもは1人以下ということです。このままいけば急激な人口減少は避けられず、現在の約5,000万人の人口は2100年の時点で2,678万人と、半減すると予測されています。戦争や北朝鮮のような飢餓もないのに、わずか80年ほどで、人口が半減するのです。

「100年後には人口半減」…主要国最低の出生率、韓国社会が直面する”八方塞がり”の大問題

親北派でリベラルな文在寅政権下であまりにフェミニズムが激化したため、保守派の尹錫悦政権へと政権交代が起こりました。尹錫悦政権では、リベラル色の強い女性家族省の廃止を公表しています。

こうした事態を「他山の石」として、日本の岸田政権も「異次元の少子化対策」に打って出たといえるでしょう。

もっとも、日本は韓国や中国ほど儒教に毒されてきませんでした。独善的な儒教は中華思想の基となり、また、儒学者を尊ぶ一方で労働を軽視してきましたが、日本人には中華思想的な考えもなければ、労働を軽視するようなこともありませんでした。むしろ技術ある労働者は匠として尊敬されてきました。

ある意味で、現在の韓国や中国でのフェミニズム台頭や著しい少子化は、長く続いた儒教社会と男尊女卑への反発が招いたという意味で、じつはいまだ小中華も大中華も「儒教の害悪」から抜け出せていない、ということが言えるでしょう。

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