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ようやく重い腰をあげた文科省。国立大付属校の“ずさん”ないじめ対応

国立大学の附属学校で起きたいじめ。国の直下にある学校でありながらその対応のずさんさに、文科省がようやく重い腰をあげました。今回は、無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』を発行する、同ネット代表の井澤一明さんが 。文科省が国立大付属校に求めたいじめ対応の徹底についての詳細を紹介しています。

文科省が国立附属校にいじめ対応の徹底を通知

今月の7日に、文部科学省は、附属学校を置く各国立大学法人学長に対して「いじめ防止対策推進法等に基づくいじめ重大事態への適切な対応等の徹底について」という通知と共にいじめ重大事態への対応チェックリストを送りました。併せて公立、私立の学校に対しても、同様にチェックリストを配布しました。

文科省は、通知の中で

この度、国立大学の附属学校において、法に規定するいじめ重大事態が発生した際、法第28条に基づく調査が長期間実施されず、文部科学大臣への発生報告もなされなかった事案があり、その他いじめ防止対策推進法等に基づく対応が徹底されていない事案が散見されていることは、大変遺憾です。

と述べています。確かに、今年の4月には、茨城大教育学部附属小学校が「重大事態」に認定しながらも文科省に報告していなかったというニュースが大きく流れましたし、学芸大附属小学校の対応も問題になりました。

「通知」では、以下の3点を国立大附属校に求めています。

1.いじめ防止対策推進法等の全教職員への周知・組織的対応の徹底及び附属学校のいじめ防止対策組織等の定期的な確認・見直しの実施
2.国立大学の附属学校における積極的ないじめ防止対策の推進
3.文部科学大臣への報告時におけるチェックリストの提出

その中で

一人の教職員が抱え込むのではなく、学校が一丸となって組織的に早期発見・早期対応に努め、いじめを受けた児童生徒を徹底して守り通すことが重要です。

と被害者を守るという姿勢を強調し、加えて、

国立大学の附属学校は、学校におけるいじめの問題に対する日常の取組が公私立を含めた全国の取組状況と比較して、「いじめの問題に関する校内研修会の実施」、「学校いじめ防止基本方針が学校の実情に即して機能しているかの点検や見直し」、「法第22条に基づく、いじめ防止等の対策のための組織の招集」等について実施率が低い状況にあります。

と言わずもがなの指摘ではありますが、国立校のずさんな対応への注意喚起が盛り込まれています。

私たちが受けるいじめ相談事案でも、「国立」の学校におけるいじめに対応する意欲は、公立の学校や私立の学校に比べると著しく低いように感じられます。いじめを解決しようとする意志が伝わってこないのです。できるだけ穏便にして「いじめはなかった」ことにしたいという真逆の意志さえ感じられるのです。もしくは、時間を稼いでうやむやにしてしまおうという国立の学校も現実に存在します。

本来、文科省の直轄とも言える国立の附属校です。それだけの責任があるはずです。「文科省にも相談しましたけど、何もなりませんでした」という相談もありましたので、文科省は、毎年毎年、何件もの被害者、被害者の家族からの相談を受けているはずです。故に、この通知を出した背景には大きな方針転換があったのではと勘繰りたくなる程です。もしくは、何件かの不祥事により文科省への批判があったため、外圧によってやむを得ず通知したのではないかとも思えます。いずれにしろ「遅すぎる」のです。

しかもチェックリストは「いじめ防止対策推進法等に基づくいじめ重大事態調査の基本的な対応チェックリスト」、つまり「重大事態」が前提になっているのです。いじめの対応の基本は「早期発見・早期解決」でなくてはなりません。日々に起きる「いじめ」の対策こそ、一番重要です。したがって、「日常のいじめ」への対処も「もう知ってるでしょう。改めて言わなくてもわかってるよね」とか言わずに何度でも周知すべきですし、その意味では「いじめ重大事態」のチェックリストより重要です。日常のいじめを解決できない学校が「重大事態のいじめ」を解決できるはずはありません。

文科省には、現在まで今までに過去どれだけの子供たち、保護者が苦しんで来られたのかを分かっていただきたいものです。今後、苦しむ子を増やしてほしくはありません。自分の心の痛みとして捉えていただきたいものです。

さあ、夏休みです。お出かけの予定もあると思います。ぜひ、お子さんたちとの時間を大切にお過ごしください。また、何かご心配のことがありましたら、ご遠慮なくご相談いただければ幸いです。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

image by: Shutterstock.com

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