MAG2 NEWS MENU

「朝食抜きは糖尿病になりやすい」は本当? 糖尿病医が実体験から回答

忙しければ忙しいほどつい抜いてしまう朝食。朝食抜きで1日2食の生活を続けていると、糖尿病のリスクが高くなるというのが定説のようですが、果たして本当なのでしょうか。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、糖尿病専門医の江部康二医師自身が、朝食抜き生活を続けて糖尿病とメタボを発症したデータを紹介。ところが、1日2食のままでも糖質を制限したことで10キロの減量に成功し他の数値も改善したことから、朝食抜きが原因ではないと、定説を覆しています。

朝食抜きは糖尿病リスクを上げる?

朝食を食べないと糖尿病になりやすいという定説がありますが、本当でしょうか?確かに、私自身も、34歳から朝食は抜きで、昼と夕の1日2食であり、52歳の時に糖尿病とメタボリックシンドロームを発症してしまいました。

このときHbA1cが6.7%、血圧が140-150/85…外来終了後は170-180/100-110。身長167cmで体重は67kg。内臓脂肪CTは126㎠(100以上)。ずっと体重は57kgくらいだったのですが、40過ぎから徐々に太っていきました。

この頃は、病院では玄米、家では胚芽米で、野菜や大豆製品や魚貝や鶏肉をしっかり食べ、四つ足の肉はできるだけ控えて、油脂の摂取も控えていました。いわゆる、ヘルシーな食生活で「玄米魚菜食」的イメージです。

しかし、結局、玄米も胚芽米もデンプンで糖質タップリです。しかも玄米や胚芽米ならヘルシーだろうと積極的に多めに食べていました。糖質セイゲニストの今の私から見たら、穀物タップリの極めて不健康な食生活だったわけです。

さらに、糖質を摂取していて、1日2食で、朝食抜きだと、1日3食に比べると、昼と夕は血糖値が上昇しやすいことは、2015年7月28日に米国糖尿病学会(ADA)が発行する医学誌「Diabetes Care」に発表されたイスラエル・テルアビブ大学の研究で報告されています。

つまり、朝食抜きで、普通に糖質を摂取していると、糖尿病発症リスクが上がるということは確かなようで、私自身がそれを証明したと言えます。しかし、すぐにスーパー糖質制限食を開始したので、3週間後にはHbA1cは6.0%となり、2ヶ月後には5.7%となりました。体重は順調に減って、半年で10kgの減量に成功しました。血圧も正常化して、そのまま73歳現在まで、21年間維持しています。

このように、朝食抜きの1日2食でも、「糖質たっぷり」か「糖質制限」かで、全く結果が違うということです。糖質制限食なら、朝食抜きでも、糖尿病になりやすいということはありません。食後血糖値の上昇そのものが極めて少ないからです。

この記事の著者・江部康二さんのメルマガ

初月無料で読む

そもそも人類は、長い間、昼食と夕食の1日2食でした。朝昼夕の1日3食になったのは、この200~300年くらいです。糖尿病が激増したのは、1日3食になってからですね。

日本では、江戸時代初期までは1日2食で、中期から3食が、一部で開始されたようです。3食が定着していったことには、明治維新後に軍隊ができたことが大きな役割を果たしました。

平安時代や鎌倉時代の1日2食は、朝食が午の刻(正午)で、夕食が申の刻(午後4時)だったそうです。イギリスやフランスなどヨーロッパの国々でも、15~16世紀頃に2食から3食になったので3食の歴史は浅いようです。

なお、野生のライオンは、3日~数日間に1回の食事です。成長したライオンは1回に18kgの肉を食べるそうです。野生の虎は、7~10日間に1回の食事回数のようです。

この記事の著者・江部康二さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: Shutterstock.com

江部康二この著者の記事一覧

(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ 』

【著者】 江部康二 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火・金曜日

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け