全長33mのカウンター。そこに40人程度のお客さんがずらりとならんでお酒を嗜む……そんな一見異様ともいえる光景を大阪で見ることができます。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさんが紹介するのは、元パチンコ屋さんを改装して作ったという居酒屋。一見さんも入りやすく、かつその人たちが常連になってしまうという、お店のマーケティング方法とは?
驚異の集客力!!全長33mのカウンターに、酔客40人が並ぶ!
人びとに愛されている居酒屋さんはたくさんあり、多くの常連さんに守られて、長年営業を続けています。
しかし、時代の流れとともにお客さまの数は減り、やがて暖簾を下ろす時期がやって来ます。
これは運命とも言えることですが、古いお店には独特な雰囲気があり、一見さんが入りづらいことも影響している場合があります。
老舗と言われるお店は、常連さんに紹介してもらう以外に、来訪するキッカケがありません。
酒が良い、料理が旨い、店主の人柄に惹かれる。
そんな内側の情報は、お店の外観を見てもわかりません。
つまり、お店の前を通り掛かった人が、興味を持って、積極的に暖簾をくぐる可能性は少ないということです。
常連さんに守られながらも、一見さんが次々に増えていかなければ、お店の永続は望めないのです。
大阪市天王寺区に、近鉄上本町駅直結の地下飲食店街があります。
ここの一角に、ひと目で酒好きの人を惹きつける居酒屋さん「天山閣ハイハイ横丁」があります。
駅周辺地下街などでよく見掛けますが、お店と通路の間に壁がないタイプの居酒屋さんです。仕切りは暖簾だけ。
なぜ、このお店がひと目で人を惹きつけるのか?
通路から見えるお店のカウンターの長さに驚いてしまうのです。
全長33m。暖簾の長さも33m。
このカウンターに、40脚の椅子がズラリと並んでいるのです。
これを初めて見た関西人は、「なんや、これ?」「ウソやろ!」「ホンマか?」「笑わせよんな!」と驚くことしかできません。
このインパクトに、他で出逢うことはありません。
入らずにはおれぬほど、興味を持ってしまいます。
日本一長いカウンターだと言われています。
この見た目に惹かれて入る一見さんが多くいるのです。
カウンターの向こうは調理場ですが、もちろん細長い造りになっています。
なぜ、こんな細長いお店を作ったのでしょうか。
実は、偶然と計算の産物なのです。
元々この場所はパチンコ店だったのですが、閉店した時に、お店のオーナーが買い取り、その使い途として居酒屋さんを考えたのです。
しかし、ほとんどの部分は別の業種で使い、一部だけを居酒屋さんにしました。
その一部の使い方が斬新だったのです。
パチンコ台が並ぶ、お店の一番端の部分、すなわち通路だけを居酒屋さんにしたのです。
パチンコ台がズラリと並ぶ光景を見て、人びとが酒を飲むカウンターが浮かんできたのです。
この長さのカウンターを作れば、面白いのではないかと。
実にユニークな発想です。細長いお店を作ってしまう決断がお見事です。
その狙いは大当たり。物珍しさで注目度が高くなりました。
見た目だけかもしれませんが、一見さんに対する集客力は充分に発揮しています。
しかし、一度訪れると、何度もリピートしてしまい、やがて常連さんになってしまいます。
それほどの魅力を持ち合わせているのです。
まずは、安さと料理の種類の多さ。
アルコール類は250円~。料理は280円~で、約70種類。
メニューのほとんどが、200~300円台になっています。
ふらっと立ち寄ることのできる、嬉しいお店です。
大瓶ビールは、アサヒスーパードライかキリンラガーが選べる心配り。
ビール1本と料理一品で、サッと帰る人もいれば、友人同士でじっくりおしゃべりする人たちもいます。
地下街通路から直接カウンター席に入ることができる気軽さから、頻繁に利用する人が多いのです。
昼12時から夜10時までの営業ですが、昼飲みのお客さまが多いことに驚いてしまいます。
1日中お客さまの絶えない、大繁盛店だと言えます。
全長33mのカウンターが、毎日お客さまに磨かれることを待っています。
※メニュー例
・出し巻き玉子・どて焼き・ポテトサラダ・ゲソ塩焼き・小芋の煮つけ・鶏の肝煮・ちくわ天・牡蠣フライ・マグロしそ巻き・鯖のきずし・鱚の天ぷら・蛸つくり・手羽先餃子・鰯の香味揚げ・ホタテフライ など
image by: WildSnap / Shutterstock.com