MAG2 NEWS MENU

日経平均株価を「買い遅れた人」が損をしない投資術。「バブル初動を無視しても十分儲かる」データで分かった成功パターン

2024年の日経平均株価は年初から急騰し連日の高値更新に。3万7000円の大台目前ではさすがに上昇一服となり、足元は3万6000円前後で推移していますが、「まずい!買い遅れた」と慌てている方も少なくないのでは?はたして現在の株価水準は高いのか安いのか、今から投資するならいつのタイミングがいいのか――メルマガ『Prof.サカキの市況展望 プラス 教授に質問!』の著者で、会計学博士・税理士(資格保有者)・マネー評論家の榊原正幸さんが、貴重なデータを元に解説します。

※本記事は有料メルマガ『Prof.サカキの市況展望 プラス 教授に質問!』2024年1月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:榊原正幸(さかきばら まさゆき)
会計学博士、税理士(資格保有者)、マネー評論家。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授、東北大学大学院経済学研究科教授を務めた経験から「MOTO教授(元・教授)」の肩書きで活動。資産形成のノウハウを発信し、60歳前後でリタイアする「21世紀の日本を生き抜く方法」を自らの経験と株式投資のプロの視点から提唱している。

(1) 過去1ヵ月間の日経平均株価の推移

本記事は2024年1月15日26時に執筆されたものです。最新情報はメルマガをご参照下さい

1月1日にも無料メルマガを配信しましたので、ここでは1月4日以降の日経平均株価の推移を辿ってみます。

1月4日の大発会の日は、前日比で270円ほど低く寄り付きましたが、1月1日に能登半島で震災があったことを受けて、寄り付きの直後から株価は急落して「32,693円」まで下がりました。

その急な下がり方は、やや不自然で、震災を受けた狼狽売りのような下落でした。

その安値を尻目に、その後、日経平均株価は、ほぼ一辺倒に上昇して、1月15日には「35,800円を超える水準にまで上昇してきています。

日経平均株価の日足チャートが、昨年の年末の時点において、2023年10月末の「二番底」を底にした、「上に放れる三角保ち合い」を形成していたため、年初 からは上に放れる可能性が高いと予想していました。

年初こそ、震災の影響で低く始まりましたが、予想通り、というか、予想以上に強く上に放れて一気に上昇してきました。

今年の年初からは、「新NISA」が始まったということもあって、個人投資家の買い意欲も旺盛となり、それを当て込んだ外国人投資家の買いも入っていると伝えられています。

ドル円相場も、まだ比較的円安の水準(144円-145円)にありますので、外国人投資家は、ここから先の円高基調を当て込んでいるということも考えられます。

外国人投資家にとっては、為替が円高に振れれば、それだけでも為替メリットが得られますので、初期の円高局面、すなわち、「まだ円安水準にあるが、これから円安に進むであろうと想定される局面では、外国人投資家は買いを強めてくる、というわけです。

(2) 日経平均株価の行方

しかしながら、買われた後には、売りが待っています。ですから、「高値追いは禁物」です。

為替がある程度円高に振れた場合には、外国人投資家は買ったものを売ってきます。ですから、高値圏では、

という5つを徹底する局面です。

そして、こういった状況になりますと、「日経平均株価は、どこまで上がるのか!?」が気になります。

そこで、いつものように客観的かつ冷静に、高値の予想をしてみます。

当面の高値は「36,300円前後」ではないかと予想しています。15日の日経平均のEPSの値が「2,269円」ですので、日経平均のPERの値高値の値を「16.0倍」とすると、

2,269円 × 16.0 = 36,304円

となるからです。

また、本日の13時12分に「36,008円」の高値が付きましたので、本日が当面の最高値になる可能性もあります。「36,300円前後」と「36,008円」は300円くらいしか違いません。その違いは1%以内ですから、そのくらいは、ほぼ誤差です。

そしてここで、本日の終値ベースでの日経平均の諸指標を見ておきます。

PERの値:15.82倍
PBRの値:1.40倍

<オシレータ指標>
RSIの値:69.83(週足)
RSIの値:77.26(日足)
ストキャスティクスの値:96.93(週足)
ストキャスティクスの値:95.58(日足)

PERの値が「15.82倍」を超えたのは、昨年の9月20日以来です。昨年の9月14日から20日までが、「15.91倍~16.11倍」でしたが、9月15日の「33,533円」が終値ベースの当時の最高値になっています。

その19日後の10月4日には「30,487円」まで下がっています。19日で「9.1%」の下落です。

また、PERの値が「15.82倍」を超えたのを探しますと、コロナ時代の異常時を除くと、「2018年1月23日」に1日だけ「15.81倍」を付けたのと、「2017年4月25日~28日」に3日だけ「15.92倍~16.11倍」を付けたのくらいしか見当たりません。

日経平均のPERの今の水準は、6~7年ぶりの高値なのです。

ただし、その前を遡ると、2016年12月1日~2017年3月末までは、「15.80倍~16.64倍」を付けでいますので、日経平均のPERの値に関しては、「時代によってレンジが変わる」ということも言えます。

ただ、それにしましても、2016年12月16日に、当時のPERの値の最高値である「16.64倍」を付けていた日のPBRの値は「1.37倍」ですので、本日のPBRの値が「1.40倍」であることを勘案しますと、やはり本日の水準は、かなり高いと言わざるを得ません。

なお、日経平均のPERの値とPBRの値は、アベノミクスの開始時から2015年の夏までの2年8ヵ月は、非常に高水準の時期が続きました。「非常に高水準」というのは、次のようなものです。

2012年12月12日から2013年5月22日まで
「野田元総理の自爆テロ解散」~「2013年5月 バーナンキショック」前まで
PERの値は「15.42倍~23.41倍」
PBRの値は「 0.99倍~ 1.49倍」

2014年10月31日から2015年8月10日まで
「黒田バズーカ2(ハロウィン緩和)」~「2015年 チャイナショック」前まで
PERの値は「15.28倍~18.19倍」
PBRの値は「 1.34倍~ 1.56倍」

このように、政治経済の大きな潮流の変化がある時には、日経平均のPERとPBRの値は水準を切り上げる時期があります。

ですから、これから先の半年か1年くらいの間は、日経平均のPERとPBRの値が、その水準を切り上げる時期になるのかもしれません。

それにしましても、日足と週足のオシレータ指標(RSIとストキャスティクスの値)は、すべての値が猛烈に高いです。

ですから、ここはやはり「高値圏である」という認識が必要でしょう。

なお、もしもこのままどんどん上がっていくような場合でも、過去の経験から、「大きく下がるのを待てばいい」ということがハッキリわかっています。

上記の「アベノミクス」やの「ハロウィン緩和」の時でさえ、では、株価上昇開始から6ヵ月後に「バーナンキショック」、では、株価上昇開始から9ヵ月後に「チャイナショック」がぞれぞれ起こって、株価が急落しています。

そういった急落が起こってから冷静な分析をして、底値を見極めて、仕切り直せばいいのです。

22日と23日には、日銀の政策決定会合があります。そこで、想定外の発表があれば株価は調整局面に移行します。日銀は、どうせ「見せかけの政策」しか打ち出さないでしょうから、大きな暴落はないでしょうし、むしろアク抜けして、24日からはさらに上昇速度を早めるかもしれません。

しかし、その次には第3四半期決算シーズンがあります。よほど良い決算内容でない限り、日経平均株価全体がどんどん上がっていくのは、かなり無理があるでしょう。

先のことは神様しかわかりませんが、過度な楽観は禁物です。

この記事の著者・榊原正幸さんのメルマガ

初月無料で読む

(3) 過去のデータを調べてみましょう

すぐ上の(2)でも少し見ましたが、このメルマガの最後に、「過去20年における株価の大幅な上昇局面と、その後の下落」について調べてみました。

ここでの「大幅な上昇」の定義は、「年初来高値を上に抜けて、3ヵ月以上連続して上昇した場合」とします。

そして「上昇率」は、上昇前の安値から最高値までで計算します。過去20年の月足チャートで調べました。

上昇1.2005年4月~2006年4月(13ヵ月)
・上昇要因:プチバブル
・株価:10,770円~17.563円
・上昇率:63.1%

下落1.2006年4月~2006年6月(3ヵ月)
・下落要因:プチバブル崩壊
・株価:17.563円~14,045円
・下落率:20.0%

上昇2.2006年6月~2007年2月(9ヵ月)
・上昇要因:プチバブル2
・株価:14,045円~18.300円
・上昇率:30.3%

下落2.2007年6月~2007年8月(3ヵ月)
・下落要因:サブプライムローン問題
・株価:18.297円~15,262円
・下落率:16.6%
ただし、この後はサブプライムローン問題からリーマンショックの大暴落へ。

上昇3.2009年2月~2009年8月(7ヵ月)
・上昇要因:リーマンショックからの回復
・株価:7,155円~10.767円
・上昇率:50.5%

下落3.2009年8月~2009年11月(4ヵ月)
・下落要因:民主党政権への失望
・株価:10.767円~9,076円
・下落率:15.7%

上昇4.2012年10月~2013年5月(7ヵ月)
・上昇要因:アベノミクス
・株価:8,488円~15.924円
・上昇率:87.6%

下落4.2013年5月~2016年6月(2ヵ月)
・下落要因:バーナンキショック
・株価:15.924円~12,415円
・下落率:21.8%

上昇5.2014年10月~2015年6月(9ヵ月)
・上昇要因:アベノミクス2 ハロウィン緩和
・株価:14,529円~20.952円
・上昇率:44.2%

下落5.2014年8月~2014年9月(2ヵ月)
・下落要因:チャイナショック
・株価:20.946円~16,901円
・下落率:19.3%

上昇6.2017年9月~2018年1月(5ヵ月)
・上昇要因:世界同時株高
・株価:19,239円~24.129円
・上昇率:25.4%

下落6.2018年1月~2018年3月(3ヵ月)
・下落要因:NY市場の急落
・株価:24.129円~20,347円
・下落率:15.7%

上昇7.2019年8月~2019年12月(5ヵ月)
・上昇要因:NY株高
・株価:20,110円~24.091円
・上昇率:19.8%

下落7.2020年2月~2020年3月(2ヵ月)
・下落要因:コロナショック
・株価:24.091円~16,358円
・下落率:32.1%

上昇8.2020年10月~2021年2月(5ヵ月)
・上昇要因:コロナバブル
・株価:22,948円~30.714円
・上昇率:33.8%

下落8.2021年2月~2021年7月(6ヵ月)
・下落要因:コロナバブル崩壊
・株価:30.714円~27,272円
・下落率:11.2%

上昇9.2023年1月~2023年6月(6ヵ月)
・上昇要因:インフレの本格化
・株価:25,661円~33.772円
・上昇率:31.6%

下落9.2023年6月~2023年10月(5ヵ月)
・下落要因:欧米のインフレ懸念
・株価:33.772円~30,487円
・下落率:9.7%

そして、

上昇10.2023年10月~現在(4ヵ月)
・上昇要因:インフレの本格化2
・株価:30,487円~36.008円
・上昇率:18.1%

となっています。

データの羅列になってしまってわかりにくくなってしまったので、上昇1.から上昇9.までの「上昇期間と上昇率」をまとめてみます。

「上昇期間」
上昇1:13ヵ月
上昇2:9ヵ月
上昇3:7ヵ月
上昇4:7ヵ月
上昇5:9ヵ月
上昇6:5ヵ月
上昇7:5ヵ月
上昇8:5ヵ月
下落8:6ヵ月
上昇9:6ヵ月

こうしてまとめてみると、上昇期間は、「5ヵ月~9ヵ月」ということがわかりました(例外が13ヵ月)。

ということは、現在が「4ヵ月」なので、「少なくとも、あと1ヵ月は上昇基調が持続する」ということになります。この調査からは、

「若干の調整を入れながら、FOMCが利下げを開始するであろう『3月』か、本決算が出尽くす『5月』くらいまでは上昇基調が続くのではないか」

という推論が成り立ちます。

次に、上昇率をまとめてみます。

「上昇率」
上昇1:63.1%
上昇2:30.3%
上昇3:50.5%
上昇4:87.6%
上昇5:44.2%
上昇6:25.4%
上昇7:19.8%
上昇8:33.8%
上昇9:31.6%

こうしてまとめてみると、上昇率は、「30%~63%」ということがわかりました(両端の「87.6%」と「19.8%」を例外として除外しました)。

ということは、現在が「18.1%」なので、「少なくとも、上昇率が30%になるまでは上昇基調が持続する」

ということになります。この調査からは、

「若干の調整を入れながら、30,487円 × 1.30 = 39.633円くらいまでは上昇基調が続くのではないか」

という推論が成り立ちます。

ここでの調査からは、「3月から5月に向けて、上昇基調が持続する」という結果が出ました。

この記事の著者・榊原正幸さんのメルマガ

初月無料で読む

しかしながら、繰り返しになりますが、「過度な楽観は禁物」です。

次に、「下落率」をまとめてみます。

「下落率」
下落1:20.0%
下落2:16.6%
下落3:15.7%
下落4:21.8%
下落5:19.3%
下落6:15.7%
下落7:32.1%(コロナショック)
下落8:11.2%
下落9:9.7%

最近の2つの事例の下落率が低めで、10%前後ですが、それ以外の下落率は「15.7%~21.8%」です。

ということは、仮に「39.600円」くらいまで上昇したとしましても、その後には「10% or 15% or 20%」の下落が来るのではないか、ということになります。それぞれの下落率ごとに計算しますと。

ということになりますので、最高値を付けた後には、1月15日の高値の「36,008円」よりは低い水準になることが予想されます。

ですから、ここは冷静に見守るべき局面であろうと考えています。最悪の場合でも、「1回転見送るだけ」なのです。

私の経験では、アベノミクスのスタート時に、あれほど一辺倒に上昇することが予測できず、日経平均株価が「11,500円」を超えた辺りで、多くの持ち株を売却して様子見に徹したので、「1回転見送って」しまいました。

しかしながら、インフレ政策を確信し、諸指標を確認した上で、2013年6月のバーナンキショックの安値からは、再始動することができました。

ですから、「1回転見送っても」、チャンスはまたやって来ます。

「株式市場は逃げていかないよ」

というのは、こういう時に思い出すべき言葉であろうと思います。

この(3)での調査結果のとおりに、これからも上がっていく可能性もありますが、いつ下落に転じてもおかしくはないので、細心の注意が必要です。

この記事の著者・榊原正幸さんのメルマガ

初月無料で読む

1989年バブルの高値は例外なので、「35年来の高値」は、意味がない

市況展望は以上ですが、今回は、オマケがあります。

最近、「バブル以来、35年ぶりの高値」とか「38,900円のバブル超えも!?」といった言説をよく耳にします。

しかし、「1989年バブルとの比較」は全く意味がありません。これが、結論であり、是非お伝えしたい真実です。その理由の1つ目は――(※本記事は有料メルマガ『Prof.サカキの市況展望 プラス 教授に質問!』2024年1月16日号の一部抜粋です。本記事の続きや、今後順次配信される最新分析にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

この記事の著者・榊原正幸さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: chaponta / Shutterstock.com

榊原正幸この著者の記事一覧

2021.4-現在 還暦を前に早期退職して、MOTO教授として幅広く活動を展開 2004.4-2021.3 青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授 2003.10-2004.3 東北大学大学院経済学研究科教授 2001.7 英国レディング大学より博士号 (PhD, 会計学専攻)を 授与される 2001.2-2001.3 フランス・国立レンヌ第一大学経営大学院客員教授 1997.4-2003.10 東北大学大学院経済研究科助教授 1990.3 名古屋大学大学院経済学研究科博士課程 (後期課程) 単位取得満期退学 1984.3 名古屋大学経済学部卒業 1961.6 名古屋市生まれ

 

「MOTO教授」の榊原です。「MOTO教授」というのは、「元・教授」を私なりに表現した新しい肩書きです。 株式投資で資産形成をして、老後の資金を準備して、60歳前後でリタイアする「21世紀の日本を生き抜く生き方」を、自らの経験と株式投資のプロの視点から提唱していきたいと思っています。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 Prof.サカキの市況展望 プラス 教授に質問! 』

【著者】 榊原正幸 【月額】 ¥500/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 1日 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け