米国の「一帯一路」批判は的外れ。追加関税に中国が見せた余裕のウラ側

President Xi Jinping of China during a state visit on August 22, 2023 in Pretoria, South Africa.
 

数字が続伸したのは5月の貿易が好調だったためだが、輸出をけん引したのは高付加価値、AI、グリーン産業だった。なかでも注目されたのが船舶、EV、家電であり、それぞれ対前年比で100.1%、26.3%、17.8%という大きな伸びを示している。

地域別にみると、「対ASEAN、対ラテンアメリカ、対アフリカの輸出が好調だった」(税関総署統計分析司司長呂大良)というから、中国にとって重要な貿易パートナーが、従来の欧米中心から、明らかに新興国・発展途上へと変化していることがわかるだろう。

また「一帯一路」参加国との貿易の伸びも顕著だ。今年5月までの貿易総額は8兆3100億元で、対前年比で7.2%もの増加となった。いまや「一帯一路」参加国との貿易額は、全貿易額の47.5%を占めるまでになっている。

アメリカに続いて欧州委員会(EU)もいま、中国製品の排除に向けて不穏な動きを見せるなか、中国は「一帯一路」をフル活用して、新興国・発展途上国との関係を強め、新たな市場の開拓に動いている。

その「一帯一路」についてジョセフ・バイデン米大統領は、「いまや誰もが嫌悪し、葬られた構想。アフリカで何が起こっているか? それを見れば明らかだ」と批判した。だが、6月7日の中国外交部の定例会見で毛寧が「『一帯一路』をどう評価するのか。それについて発言権があるのは参加国の国民だけだ」と反論したように、参加国のなかで、バイデンが評したような意見を持つ国が多いかといえば、決してそうではない。

前述したように「一帯一路」参加国との貿易は、順調に伸び続けているからだ。西側メディアでは、中国と「一帯一路」参加国は「債務の罠」による加害者と被害者の関係だと報じられることが多い。だが、そうであれば声を上げるべきは被害国であって西側先進国やメディアではない──(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2024年6月9日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Muhammad Aamir Sumsum / shutterstock.com

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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