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サイゼリヤの社員登用試験で「ペーパーテストがなくなった」驚きの理由

サイゼリヤの創業者・正垣泰彦氏に口説かれて、13年間も同社の社長を務めたという堀埜一成氏。彼から見たサイゼリヤ、そして彼が変えたサイゼリヤはどのようなものだったのでしょうか?そのことについて書かれた話題の本を、無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の著者である土井英司さんが詳しく紹介しています。

【良本です。】⇒『サイゼリヤ元社長が教える年間客数2億人の経営術』

サイゼリヤ元社長が教える年間客数2億人の経営術

堀埜一成・著 ディスカヴァー・トゥエンティワン

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、年間客数2億人、国民的人気を誇るイタリアンレストランチェーンに成長した、サイゼリヤの経営の秘密に迫った一冊。

著者は、創業者・正垣泰彦氏に口説かれ、2009年から2022年まで13年間社長を務めた、堀埜一成氏です。

京都大学農学部卒業、京都大学大学院農学研究科を修了し、味の素で発酵技術研究所の研究室長まで行った著者が、正垣氏に口説かれて入社するのですが、そのエピソードが既に面白い。

「食堂業の産業化をやってくれ」と言われ、入社したらなぜか農業をやらされ、のちに「おまえみたいなやつは、デカい話をしたら来るんだよ」と言われたという話は、噴飯ものでした。

ちなみに、この時連れて行かれた1人数万円はする高級ホテルのディナーで、正垣氏は「これ、うまくないだろ?」と言って、著者を驚かせたそうです。

要するに、「売るための料理」と「毎日食べるための料理」は違う。おいしさの定義が違うというわけです。

まさにポジショニングの違いですね。

サイゼリヤは、創業者・2代目ともに理系出身の経営者ですが、そのロジカルを極めた経営術が、本書では公開されています。

なぜ広告を打たないのか、なぜミラノ風ドリアを税込300円で出せるのか、なぜキッチン面積を最小化し、客席を最大化できるのか、なぜ大企業なのに社内政治が存在しないのか……。

創業者、正垣氏の本も驚きの連続ですが、2代目社長・堀埜氏の経営アプローチも負けないぐらいぶっ飛んでいて魅力的です。

読んで初めて知ったのですが、じつは土井プロデュースの書籍『ワンランク上の問題解決の技術《実践編》 視点を変える「ファンクショナル・アプローチ」のすすめ』が、サイゼリヤの経営に影響を与えていたとのことで、嬉しく思いました。

ぜひ、創業者・正垣氏の名著『サイゼリヤ おいしいから売れるのではない売れているのがおいしい料理だ』と併せて読んでみてください。

サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ

ワンランク上の問題解決の技術《実践編》 視点を変える「ファンクショナル・アプローチ」のすすめ

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

広告に回すお金があったら、少しでもいい食材を使って、お客さまに還元する

一度会長に「なんで社内政治がないんですかね」と聞いたことがあります。すると、「上に行けば行くほど、しんどくなるようにしてあるから。人間、暇になると政治をするから、暇がないようにしておけばいいんだよ」と言っていました

店を視察に行ったとき、パートさんに「なんで社員にならないの?」と聞くと、「ペーパーテストがあるから」という答えが返ってきたので、「じゃあ、それなくすわ」というわけで、パートやアルバイトが社員になるときのペーパーテストを廃止し、学歴も不問にしました。そのかわり、職場の仲間5人の推薦状を持ってきたら社員にするということにしたのです。(中略)入社してから、仲間に書いてもらった推薦状を本人に渡すと、みんな涙を流します。自分のことを、こんなふうに思っていてくれたんだということがわかって、スタッフ同士の結束が固まるという思わぬ効果もありました

サイゼリヤには原価計算がない、ノルマがない、社内政治がない

サイゼリヤの基本理念は「人のため」「正しく」「仲良く」という3つの言葉からなっています

厨房は利益を生まないコストゾーンなので、狭いに越したことはない。浮いた面積をプロフィットゾーンである客席に充てれば、その分、儲けが出やすくなります

特定の地域にまとめて出店すると、その分、商圏が狭くなるため、利用頻度が高くないと成り立ちません

そこで、いままで1週間しか使っていなかったコンバインをせめて3カ月は使おうと考えました。全部一斉に植えて一斉に刈り取るのではなく、時期をずらして稲刈りするように変えるのです。そのために、北海道の早生種を持ってきたら、ちゃんとお盆には収穫できるところまで稲穂が育ちました

田植え機も使用期間の短い機械ですが、コンバインのように使用期間を延ばす方法は採らず、田植えそのものをなくすことを考えることにしました

どうやって開店準備作業を短縮化するのか。まず目をつけたのが掃除機です。(中略)掃除機は結局、何をしているかというと、ゴミを移動させているわけです。ゴミを移動させるだけやったらモップでもええやろ、ということで、1メートル幅のモップを導入しました

目視確認が必要なものは、目の高さに置くのが基本

役職に「長」がつくと、人に命令することが仕事だと勘違いする人がいる

商品開発から出店戦略、コスト削減の工夫、マネジメントまで、数ページ読む度に「へえー!」「ほう!」が連発する、THEビジネス書でした。

正垣氏の本ではわからなかった、正垣氏の思想や言葉、エピソードが紹介されており、読み応えのある内容です。

経営人材になるために、どんな思考が必要か、その要諦がわかると思います。

ぜひ、読んでみてください。

image by: James Jiao / Shutterstock.com

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Amazon.co.j立ち上げに参画した元バイヤー、元読売新聞コラムニスト、元B11「ベストセラーBookV」レギュラーコメンテーター、元ラジオNIKKEIレギュラー。現在は、ビジネス書評家、著者、講演家、コンサルタントとして活動中の土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介。毎日発行、開始から既に4000号を超える殿堂入りメルマガです。テーマ:「出版/自分ブランド/独立・起業」

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【著者】 土井英司 【発行周期】 日刊

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