夏の甲子園で、京都国際が関東第一を2-1で破って初優勝した。決勝にふさわしい大熱戦だったが、SNSでは「選手たちに罪はないが、京都国際を素直に祝福する気分になれない」といった投稿が急増。同校の校歌を発端に“高校野球の政治利用”をめぐる議論が活発化している。
夏の高校野球、京都国際が初優勝も「選手たちに罪はないが」批判急増
第106回全国高校野球選手権大会の決勝戦が23日、甲子園球場で行われ、京都国際高校(京都代表)が関東第一高校(東東京代表)を延長10回タイブレークの末2-1で破り、春夏通じて初の優勝を果たした。試合は白熱の投手戦となり、どちらが勝ってもおかしくない紙一重の熱戦に観客らは惜しみない拍手を送った。
ところが、試合終了直後からX(旧ツイッター)では、「京都国際の初優勝を祝福する気分になれない」という趣旨の不穏な投稿が急増した。
《なぜ夏の高校野球で外国が優勝?選手に罪はないが、さすがにおかしいだろ》
《夏の甲子園で京都国際が初優勝。球児たちに罪はないが、正直いい気分はしない》
《選手たちに罪はないが、腹が立つから校歌の前にチャンネル変えた》
《頑張った生徒たちに罪はないけど、あのハングル校歌には罪がある》
《神聖な甲子園が韓国に汚された。選手に罪はないが最低の結果になった》
《球児に罪はないが、政治的主張が盛り込まれたあの校歌は看過できない》
これらの投稿の多くは、お約束のように「選手(球児、生徒、子ども)たちに罪はないが」という“但し書き”がついているのが特徴的だ。
韓国語の校歌が「高校野球の政治利用」と批判されるワケ
選手たちに罪がないとすれば、人々は誰のどんな“罪”を問題視しているのだろうか。ネットメディア編集デスクが説明する。
「京都国際高校の校歌は韓国語で、その歌詞に“東海(トンへ)”という言葉が出てきます。これは日本海の海域を指す韓国側の勝手呼称で、韓国政府は長年、日本海の呼称を“東海”に変更するよう国際機関や各国に働きかけてきました。わが国や国際社会においては、すでに『日本海』の呼称が定着しているため無茶な要求でしかないのですが、甲子園で京都国際が勝つたびに、この“東海”という言葉を含むハングル校歌がNHKなどで放送されることになる。これを韓国による“高校野球の政治利用”であると警戒する人々が、京都国際の初優勝を素直に喜べないと嘆いているわけです。とはいえ、野球に打ち込む球児たちを叩くのはさすがに気が引けるため『選手たちに罪はない』が前提になる。じゃあ誰が悪いのかというと、韓国政府、日本政府、NHK、高野連、学校など、人によって批判の矛先は様々のようです」(ネットメディア編集デスク)
京都国際の前身は在日韓国人向けの民族学校だ。1947年に京都朝鮮中学として開校し、1958年に京都韓国学園として学校法人認可を受けた。その後2004年に学校教育法上の一条校として一般に門戸を開放。近年、男子生徒の多くは野球部員となっており強豪校として知られる存在に。そのようなルーツから校歌は現在も韓国語になっているが、甲子園に登場するたびにネットで炎上する状況となっている。
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京都国際へのヘイトスピーチを懸念する声も
いっぽうで、京都国際に対する「ヘイトスピーチ」を懸念する声もSNSでは少なくない。
《毎度毎度、選手たちが一番傷つくタイミングで文句を言う恥ずかしい連中だな》
《「選手に罪はないが」と前置きすれば、いい年した大人が何を言っても許されると思ってるのかね》
《あの素晴らしい決勝戦を見た後に校歌に難癖をつけるメンタルが気持ち悪い。そっちのほうがよっぽど“高校野球を政治利用”してるよ》
《選手に罪はない、はそのとおり。罪があるとすれば、ヘイトスピーチを垂れ流しているあなたたち自身でしょう。無自覚の差別発言ほど怖いものはありません》
先のネットメディア編集デスクの見解。
「京都国際の校歌には、“東海”という呼称が出現するものの、歌の中で直接『ああ~日本海ではなく東海と呼べ~』などと政治的主張を展開しているわけではありません。あくまで“自分たちはそう呼んできた”呼び方として使われているだけです。そう考えると、肝心の決勝戦の試合内容を語らずに、校歌にばかりケチをつける行為は過剰反応ですし、結局は偏見や差別ではないか、という指摘は当然ありうるところでしょう。ただし、政治プロパガンダにおいては、単に呼称を連呼するだけでも十分な宣伝効果が見込めるのも事実。校歌に違和感を表明する人々にも一理あるんですよ。となると、とどのつまり、『選手たちも目にするであろう今のタイミングで、わざわざ政治的な議論をする必要があるのか?』というTPOの話に行き着いてしまう気がしています」(ネットメディア編集デスク)
今日のところは京都国際の偉業を素直に称え、日本海の呼称問題についてはまた日をあらためて――というのが、私たち大人のあるべき態度ということか。
韓国のユン大統領、炎上騒ぎに燃料投下
ただ、そのためには、韓国側にも一定の配慮が必要かもしれない。
尹大統領は「京都国際高校の韓国語の校歌が球場に力強く響き渡った」として、「優勝を心からお祝いします」と祝福しました。
また、「過酷な環境で成し遂げられた奇跡のような快挙は、在日同胞に誇りと勇気を与えた」とし、「野球を通じて日韓両国がさらに近付いて欲しい」とコメントしています。
出典:京都国際、甲子園優勝 尹大統領が祝福「奇跡のような快挙 韓国語の校歌響き渡った」-テレ朝news
韓国のユン大統領が早速、京都国際の優勝に寄せた祝福メッセージだ。野球を通した日韓友好を謳っているにもかかわらず、細かい“炎上要素”がこれでもかと詰め込まれている。天然なのか意図的なのか。大統領のメッセージという時点で政治色が強くなることは避けられないだろう。これ以上、話がこじれないように祈るばかりだ。
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X(旧Twitter)の反応
甲子園決勝
2年連続不快で終わった
去年は慶應の応援団
大人たちの大人気ない何も聞こえないほどの声援で仙台育英を萎縮させた今年は京都国際
生徒には罪はないが校歌の歌詞に込められた反日イデオロギーである— ただのたろう (@yahho15570778) August 23, 2024
京都国際に対するヘイトスピーチが急増してるが、高野連や自治体や政府がはっきりとヘイトスピーチを許さない姿勢を公表すべきだ。朝鮮学校に対する執拗なヘイトスピーチもそうだが、標的にされているのは青少年だよ。なぜ社会はこれらを放置(容認)しつづけるのか。大人が責任を果たせ。 https://t.co/w0OFQLEJxU
— ゲンヤ (@GenyaFukunaga) August 23, 2024
日韓の絆ねー
政治主張禁止の甲子園で、何の罪も無い高校生に、やれ東海とか、神々しい我が祖国とか、対立を生む内容の校歌を韓国語で歌わせて“絆”って何でも京都国際を叩くと、五輪の時に“フランスは欧州の韓国”とか言ってたガチのレイシスト、所謂ネトウヨの烙印を頂戴してしまう。困ったもんやね https://t.co/CrNkiLCr1z
— ym (@stoneax_graph) August 23, 2024
あった。京都朝鮮学校襲撃ヘイトクライム実行犯の、元在特会チーム関西所属のレイシスト西村斉。高校野球にかこつけたヘイトスピーチの嫌がらせ行動をする異常者です。今ネットで京都国際にヘイトスピーチで喚いてるネトウヨの、まさしく代行者ですね。腐ったヘイト相互関係。https://t.co/Zjl4J7miIF https://t.co/MvxU9zzuuH
— エルネスト金 (@honda_ryoh88922) August 23, 2024
京都国際の校歌に難癖付けてる連中は校歌が英語だったら何も言わないと思う。ただのヘイトスピーチやんけ。ああいう連中こそ日本の恥だわ。
— 珊瑚 (@nyan_nyan5656) August 23, 2024
京都国際は校歌の話題だけでよかったものを、ユン大統領が登場人物として出てきて一気にややこしくなったな
— ㋿シェル (@reiwashell) August 23, 2024
「曲に罪はない」
名曲「私がオバさんになっても」を歌うことに対する葛藤、思いを語った森高千里は、最後にこう締めくくった
「私はライブを続ける限り、歌い続けます!」
— 森高千里学者Ph.D.チサトロジスト®︎の森高千里論 (@chisatologist) August 22, 2024
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image by: MAG2 NEWS編集部