高市早苗氏との決選投票を制し、5度目の挑戦でついに自民党総裁の座を射止めた石破茂氏。過去最高の9人の候補が立つという乱戦でしたが、そのさなかに永田町には「興味深い資料」が流れていたと言います。当選挙の開票前に執筆された今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』では、ジャーナリストの有田芳生さんがその資料を誌面で公開。さらに近く行われる衆院選で萩生田光一氏との対決を選択した自身の心情を記しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:新総理誕生と総選挙で「歴史の圧縮過程」は流れが早まる
年内総選挙は必至。新総理誕生で早まる「歴史の圧縮過程」の流れ
9月23日に行われた立憲民主党の代表選で野田佳彦候補が枝野幸男候補を決戦投票で破り、新代表に選出された。27日の夕刻にこのメルマガが読者のみなさんに届く時間には、自民党新総裁が決定して、10月1日に招集される臨時国会で新総理に選出される。石破茂候補、高市早苗候補、小泉進次郎候補のいずれかが新総理になろうとも、論戦のなかで解散、総選挙を口にしていたから、時期に微妙な差は生まれるが、年内総選挙は必至と見てよい。
石破、高市、小泉VS野田を頭にいだく総選挙は、私の読みでは政権交代には至らない。だが与野党の議席差いかんによって、来年7月の参院選で「ねじれ」が起きる可能性が生まれ、再び総選挙に向かう雰囲気が出てくるだろう。私が強調している「歴史の圧縮過程」がいよいよ早まる。政権交代への「最終決戦」だ。そのプロセスを判断していくためにも自民党内の権力構造の現状を知っておくのがよい。
総裁選の大きな特徴は、これまでの派閥がほぼ解体した状況で闘われた。「しばり」がないから9人もの候補者が立候補した。20人の推薦人を確保するときには、たとえば麻生派からは小林鷹之候補と河野太郎候補が名乗りをあげた。従来の「派閥の論理」ではありえないことだ。しかし最終盤になって麻生太郎議員は派閥メンバーに第1回投票から高市候補に投票する指示を出した。果たして一枚岩は保てるのだろうか。総裁選は麻生支配崩壊の号砲になるかもしれない。
「怪文書」的資料が予測していた総裁選の合従連衡
総裁選のさなかに興味深い資料が永田町で流れた。各陣営の推薦議員の名簿と、決選投票になった場合に林芳正支持議員は石破茂候補にそのまま流れるのではないかと合従連衡の予測を示した図表だ。
しかし決選投票に高市早苗候補が残った場合は、右寄りの保守思想で共通する「安倍派」議員はこぞって投票するだろう。安倍晋三政権が近隣諸国と摩擦を強めようとも、その思想で日本を進めていこうとする勢力の価値観と利益は一致する。国会議員でいえば高市候補の推薦人になった杉田水脈議員が典型だ。憲法改正や古い家庭の価値観を守るため、選択的夫婦別姓に反対する日本会議であり、組織的規模は小さいが統一教会が高市早苗的思考である。北朝鮮による拉致問題の解決のために前向きな石破茂候補に、櫻井よし子氏や民間団体の「救う会」や「家族会」が猛反発するのも、安倍晋三的価値観の幻影にほかならない。
小泉進次郎候補の場合は、その思想が形成途上にあり、世間受けを狙うポピュリズムゆえに、確固とした立場もない。それに対して野党第1党の立憲民主党と野党は自民党に対峙していけるのか。
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「おやっ」思わせる内容があった立憲民主党の人事
立憲民主党の人事で「おやっ」思わせる内容があった。幹事長に小川淳也、政調会長に徳重和彦氏が就任した。ところが大串博志代表代行の担当は「党務統括」、長妻昭代表代行は「政策統括」だ。党務を担当する幹事長、政策を担当する政調会長の上に「統括」者がいる体制なのだ。
小川幹事長は熱血漢で好感が持たれるが、その熱情ゆえに不安がある。重徳政調会長は、憲法改正、原発再稼働論者だから、立憲民主党の理念や政策とは齟齬がある。そこを抑えるための人事だろう。
野田佳彦体制は発足から総選挙の洗礼を受けることになる。岸田文雄総理のもとで総選挙を行えば70議席ほど失うという調査があった。新総理となれば、それでも30議席減という。選挙は予想ではなく政党間の総力をあげた闘いだ。その結果をいまから予測するのは無意味だろう。
私は萩生田光一議員が地盤とする八王子市(東京24区)で立つ。「人生後期」の仕事だ。
「敗れることが恥なのではない。敗れるかも知れないことを恐れて闘わないことが恥なのである(山口正之)」。
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※ 本記事は有料メルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』2024年9月27日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は、初月無料の定期購読にご登録をご登録の上、9月分のバックナンバーをお求め下さい。
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