自民党総裁選挙は27日、財政・金融政策面でタカ派の石破茂氏を第28代総裁に選出した。緩和路線の高市早苗氏が優勢とみて騰勢を強めていた東京株式市場は突然はしごを外された格好だ。大引け後に総裁選の最終結果が判明すると、時間外の日経平均先物は急落、為替市場でも急速な円高に。巷では早くも「石破ショック」の声があがっている。だがそんな騒ぎを尻目に、かねて「誰が首相になっても日本は変わらない」と冷静に指摘してきたのはメルマガ『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』の著者で資産運用に詳しい作家の鈴木傾城氏だ。
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
高市早苗、石破茂、小泉進次郎。誰にも日本を復活させることはできない
誰が首相になっても日本を変えることができそうにない。数だけは揃っているようだが、次期首相候補の顔ぶれを見ても、国民の期待に応えられるような人間がいるようには見えない。いずれも抜本的な改革や日本の復活につながるような明確なビジョンを示せていない。
すでに日本は30年以上も機能不全な政治が続いてきているのだが、ここでまた力不足な人間が首相になってしまったら日本の機能不全はもっと続いていく。
そんな中で、少子高齢化が激烈に進んでおり、2024年は65歳以上の高齢者が3,625万人となって総人口の29.3%を占めるまでになった。もちろんこれは過去最高の数字であり、日本の深刻さを示している。
この少子高齢化は、数十年にわたって日本に多くの悪影響をもたらしていく。
生産年齢人口の減少により多くの産業で人手不足が加速し、年金・医療・介護などの社会保障費が急増して財政を圧迫する。高齢者の増加に伴い、医療・介護サービスが間に合わなくなり現場が劣化していく。現役世代が減少しているのだから、年金制度の維持さえも困難になってしまう。
若年層の減少により、イノベーションが起こせなくなり、国外の新技術の開発や導入も遅れ、日本は時代遅れの国になっていく。労働力の減少と消費市場の縮小により、経済成長は悲惨なほど低下していく。
若年層の都市部への流出によって地方の人口減少と高齢化がさらに進み、もはや日本中が限界集落と化す。さらに残った高齢者の死亡に伴い、管理されない空き家が増加し、市町村は維持できなくなって崩壊する。治安や景観も悪化する。
新しい政治家は、こうした日本の深刻な問題を解決しなければならないのだが、ここで無能な政治家や、能力のない政治家がリーダーになるなら、もう日本に見切りをつけたほうが合理的だという話になる。
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