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チャーハン王に俺はなる!リーマンの聖地・新橋で行列を作るチャーハン専門店は何が違うのか?

サラリーマンの聖地と呼ばれる新橋のビルで、あえてチャーハン1種類だけで勝負する専門店。無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者で、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、そのお店の戦略と「行列を作る理由」について解説しています。

激安新橋で強気の勝負! チャーハン王に俺はなる!?

シンプルでいて、奥が深く、簡単なようで、難しい。

そんな中華の代表料理で、天下を取ろうとするお店があります。

東京都港区新橋、ニュー新橋ビル地下1階「チャーハン王」。

ここは、おやじビルとも呼ばれる、サラリーマンの聖地。おやじが喜ぶお店の激戦区でもあります。

その中に飛び込んだ「チャーハン王」は、中華料理のお店ではなく、チャーハンだけの専門店。

しかも、たった1種類のチャーハンで勝負しています。

世の中にチャーハン好きは多いと言えど、そうそう頻繁にチャーハンを食べるものでしょうか。

特にこのお店は、バリエーションもなく、味はひとつ。

しかし、このお店は行列ができることで有名です。

頻繁に食べたくなるほどの魅力があるということでしょうか。

お客さまが注文するのは、「チャー王セット 1050円」。極上チャーハンと鶏スープの組み合わせ。

チャーハンと一緒に食べるサイドメニューとして、「くりーむちーずのニンニク醤油漬け」「炙りチャーシュー」「ザーサイもやし」があり、あとはドリンクのみ。

究極のチャーハン専門店と言えます。

では、なぜ1品で勝負するのか。

味に対する自信とともに、1品をアピールすることのインパクトを狙ったのではないでしょうか。

チャーハン専門店とするならば、さまざまな味があっても良いのですが、それでは「好みで選んで!」という、消極的なアプローチとなります。

そうではなく、「うちの味はこれだ!」という自信満々な姿勢が、お客さまの心を射抜いているのです。

その自信に値する美味しさがあるからこそ、行列となっているのです。

ここのチャーハンの作り方には、中華の料理人でも驚くような秘密があります。

玉子とご飯、蒲鉾、ねぎをラードで炒め、塩、胡椒、醤油、うま味調味料で味つけするのですが、もう1つ調味料が加わります。

「黒毛和牛のペースト」。誰も聞いたことがないものだと思います。

黒毛和牛のミンチと玉ねぎ、キャベツ、ニラなど、10種類の野菜をペースト状にしたものです。

しかも、完成までに3日間掛かります。

これを使うことで、どこでも味わったことのない、唯一無二のチャーハンができあがるのです。

こうした手間が掛かるので、1050円という、ちょっと高めな値段になっているのです。

それを知らない人には、チャーハンの1000円超えは高いと感じるかもしれません。

しかし、味を知って、美味しさに納得した人は、高いとは思わないのです。

強気で勝負した結果、大繁盛店となったのです。

ただし、成功の要因はチャーハンの味だけではありません。

緻密な戦術を仕掛けていたのです。

「チャーハンの味変」と「旨み凝縮の鶏スープ」です。

お店にテーブルには、塩、胡椒、自家製酢醤油、特製ラー油が置かれ、食べている途中の“味変”をお奨めしています。

メニューの裏に、“食べ方指南”として書かれています。

まずは、鶏スープを飲んでくださいと。

このスープは、福岡産の鶏がらを2日間煮込んで、3種の塩で味つけし、すりごま、ねぎを入れています。

次に、チャーハンをそのまま半分ほど食べたら、残り半分に自家製酢醤油を掛けて食べます。

さらに、好みで特製ラー油を掛けて食べるのです。

ほとんどのお客さまが、指南通りの食べ方をして、大満足で帰って行きます。

たった1種類のチャーハンですが、黒毛和牛のペーストで独自の味わいを出し、味変をお奨めすることで、飽きさせない工夫もしています。

1品で勝負するには、大きな自信だけではなく、きめ細かな戦術も重要なのです。

このお店は、それを見事成し遂げています。

「チャーハン王」。その名に恥じぬよう、今後の発展を期待します。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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