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下水に溜まった油を「食用」の衝撃。なぜ中国は豊かになっても“毒食品”が流通し続けるのか?

原発処理水の海洋放出を理由に、長らく日本産水産物の輸入を全面禁止してきた中国。しかし同国内では安全とは言い難い食品が流通しているのが現状のようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、そんな中国の衝撃的な「食の現実」を紹介。さらにここまで豊かになった中国で、未だそのような食品が頻繁に出回る理由を考察しています。

※ご高齢ということもあり、今年3月からメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の「ニュース分析」コーナーの執筆をスタッフに任せて、自身は「国家論」の連載に集中していた台湾出身の評論家・黄文雄さんが、7月21日に85歳で永眠されました。今後もメルマガは黄さんの思いを継ぐスタッフにより継続されます。
※本記事のタイトル・見出しははMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【中国】豊かになってもニセ・毒食品が横行する中国の相互不信社会の闇

相互不信社会が元凶。それだけ豊かになっても「毒食品」が横行する中国の闇

下水から食用油を作り、腐った食材は“下痢止め薬”で味付け…海外メディアが報じた中国料理店の呆れた実態

これまでも何度も話題となってきた中国のニセ食品、毒入り食品ですが、最近、再びその話題が世間を賑わせているようです。

発端となったのは、今年の7月、中国国内のタンクローリーが、食用油と燃料油を同じ車で輸送していたことが発覚したことでした。記事によれば、この運転手は中国西部の寧夏から河北省秦皇島まで1,290キロ以上を化石燃料を積んで走った後、タンクを洗浄することなく、河北省の別の施設で大豆油を積み込んだということです。

この運転手は取材に対して、タンクローリーを洗浄せずに食品と化学燃料を輸送することはよくある「公然の秘密」だと話しているそうですが、こうしたことはこれまでも枚挙が暇がありません。

記事内でも出てきますが、これまでもよく知られているのが、「地溝油」(記事内では下水油」としている)です。これは、排水溝や下水溝に溜まった油をろ過・精製して食用油として使われる油のことです。

こうした地溝油は2010年くらいから闇市場で売られ、中国国内のレストランでもよく使われていました。もちろん安全性が確保されているはずもなく違法ですので、中国当局も厳しく取り締まり、販売者に無期懲役の判決が出ることもありました。

中国江蘇省、「地溝油」販売者に無期懲役の判決

とはいえ、大きな利益が出るだけに、同様のニセ商品、毒商品は跡を絶ちません。

その他、「注水肉」というものもあります。牛肉や豚肉に水を注入して、文字通り重さを水増しして売りつけるものです。その他、犬や猫、さらにはネズミの肉など別の肉を混ぜて売る「混合肉」も有名です。

期限切れなんてまだマシ? 中国の水増し“食肉偽装テク”はこんなにスゴい!

冒頭の記事には、2015年に中国の税関当局が大規模な取締を行った結果、40年以上前の1970年代の肉が密かに流通していることが発覚したことが掲載されています。1970年代といえば、文化大革命の前後ということになります。

2007年には、中国のテレビ局・北京テレビが、肉まんの具に段ボールを混ぜてかさ増しする食品偽造についてスクープしましたが、放送数日後に、「報道は捏造だった」として番組職員が逮捕、処分されることがありました。

ニセ食品を報じる側がニセ報道を行ったということですが、それでも「番組自体はやらせであったとしても、実際にニセ食品はよくあること」として、むしろ中国のモラル欠如の実態は本当だと指摘する声も少なくありません。

中国、“段ボール入り肉まん” 報道で波紋

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今後さまざまなモラル崩壊がさらに発生してくる中国

中国がいくら豊かになってもこのような事件がなくならないのは、中国が相互不信社会であるからにほかなりません。清朝末期に中国で20年以上にわたり布教活動を行ったアーサー・スミスは著書『中国人的性格』で「相互不信」に1章を割いています。

同時期、中国や朝鮮、日本を旅したイザベラ・バードも、貧しい日本人が義理堅く、盗みもしないことを、中国人との比較を用いて、驚きをもって伝えていますが、相互信頼社会で治安のいい日本に対して、中国ではつねに安心ができない状況にあることが見て取れます。

被害額ベースで世界の自然災害の2割弱が日本に集中しているほど、日本は自然災害大国です。それだけに、相互信頼は自分の命を守るためにも不可欠です。相手からいつ寝首を掻かれるかわからない不安にあっては、災害における相互扶助などできるはずがありません。

魏志倭人伝には日本の様子について「人はすこぶる恬静なり。争訟は罕(まれ)にして盗賊少なし」と書かれていますが、厳しい自然環境から、人間同士の争いごとが少なくなり、助け合いの精神が生まれたと考えられます。

一方で中国は戦乱のない世はなく、「一治一乱」(統一と分裂)とが世の常でした。地上の資源を求めて争いが起こり、それに打ち勝った者が皇帝として君臨するものの、資源分配をめぐって内紛が起こり天下が乱れ、地方からも資源強奪勢力が台頭し、やがて朝廷が滅んで新たな皇帝が立つという「易姓革命」が繰り返されてきました。

そのため、北宋の太宗は、日本の留学僧・奝然(ちょうねん)が日本の皇室が万世一系であることを聞き、「我々の理想を実現しているのは我々ではなく、夷狄の国である日本だ」と嘆いたとされています。

いずれにせよ、中国の相互不信社会は、いくら豊かになっても変化することはなかったわけです。むしろ豊かになればなるほど、格差が拡大し、むしろ富むものと貧しいものの相互不信は拡大してしまったといっていいかもしれません。

しかも現在の中国は言論統制社会でもあります。言いたいことは表立って言えず、密告も奨励され、きわめて息苦しい状況に陥っています。

これに経済の衰退が続くことで、中国ではさまざまなモラル崩壊がこれからますます発生してくるでしょう。各地で子どもなどが襲われる無差別殺傷事件が頻発しているというのも、こうした中国の歴史的民族性に、経済的、政治的、社会的な閉塞感が加わったことにより、大きな歪みが一気に噴出してきた表れではないかと思われるのです。

いま中国で「無差別殺傷事件」が続発している!「暴走車が人をはねる」「幼稚園や学校を襲撃する」…習近平「報復社会」の最悪な未来

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