コミュニケーションにおいて、ぐだぐだと話し続けるよりも簡潔に要点を話すのは大切なことですよね。スピーチのプロフェショナルである森さんも、トレーニングの際に必ず受講者に伝えているそうですが、実はそこには「落とし穴」もあるそうです。今回のメルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』では、簡潔に話す時に注意しなければならないことを紹介しています。
「簡潔に話す」ことの落とし穴
「簡潔に話す」
これはコミュニケーションにおいては欠かせない命題ですよね。
私も、スピーチトレーニングでは必ず、お伝えしているスキルです。
かくも重要な伝え方の1つ・・・なのですが、実は、簡潔すぎる言葉が思わぬ落とし穴を生むこともあるのです。
特にビジネスシーンにおいては。
シンプルな指示が誤解を生むリスクは、大いにあるのです。
「これ、みんなで考えて進めてください」―でも、結果は?
例えば、あるリーダーがプロジェクト会議で「これ、みんなで考えて進めてください」と言ったとします。
シンプルで明快ですよね。
でも、次の会議で結果を確認したら「なんでこんな結果になったんだ?」
こんなふうに驚いた経験、ありませんか?
皆がバラバラの方向に進んでしまっていたのです。
シンプルで明快なリーダーの指示だったのに、意図せぬ結果が生まれていた。
何が問題だったのか??
リーダーは自分の頭の中で具体的イメージを持っていましたが、言葉は簡潔だった。
その結果として明確な意図が伝わりきらなかったのです。
部下たちはそれぞれに解釈し、結果として全く違う方向に行動を起こして進んでしまったんですね。
簡潔さは大事。でも、詳細確認も大事
簡潔さは素晴らしいことです。
でも、それが相手に伝わるかどうかを把握しておく必要があります。
「皆で考えて」とリーダーが伝えたのなら、具体的に「どの部分を、どのように考えてほしいのか」も伝えましょう。
「次のステップに進むために、この3つのポイントについて具体的なアイディアを出してほしい」
といったように。
さらに、締め切りを決めておく、期待する成果物の形式も明確にしておく、などがあるといいですよね。
「各チームで来週の会議までに具体的な提案書をA4一枚でまとめる。それを会議でプレゼンしてください」
これなら、指示が明確ですよね!
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確認することで、誤解を防ぐ
指示を出したら、その場で確認するのも大切です。
「これで皆さん、やるべきことがクリアですか?」
と問いかけたり、簡単に説明を復唱してもらったりすることで相手の理解度を確認しましょう。
このワンクッションがあるだけで、互いに大きな誤解を防ぐことができます。
相手がどこまで理解できているかを確認する手間を惜しまない。簡潔な中にも明確さを持たせることが、成果を左右するカギですね。
まとめ
簡潔さは効果的ですが、時に「伝わらない」原因にもなり得ます。
簡潔に話したら、その後に具体的に確認するプロセスを持つ。
次に会議で指示を出すとき、少しだけ言葉を止めて、「これで全員が理解しているかな?」と確認してみてください。
そこからコミュニケーションの質が大きく変わりますよ。真に伝わるコミュニケーションのポイントなのです。
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